校庭や通学路にまでクマが現れる――。今年10月だけでも福島県や山形県などの学校でも相次いで出没が確認され、子どもたちが安心して外で過ごせない状況が続いています。学校では木々の伐採や音楽による警戒など、学校ごとに知恵を絞った対策を進めていますが、学びを止めない工夫と命を守る備えの両立に現場は苦慮しています。前編<「子どもと外遊びもできず“クマうつ”になりそう」 相次ぐクマ出没、わが子の命を「どう守ればいいのか」親たちの悲痛な声>から続く

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保護者の送迎要請、休み時間に大音量の音楽…対応に追われる学校現場
まるでコロナ禍のような制限…休み時間も休日も室内遊びをする子どもたち
桜も伐採すべき? 冬眠の間に学校がすべき対策とは

保護者の送迎要請、休み時間に大音量の音楽…対応に追われる学校現場

 10月下旬、福島市立佐原小学校で、立て続けに校庭や駐車場でクマが目撃されました。学校ではクマ撃退スプレーを用意し、警戒を強めていましたが、実際に敷地内でクマが出没。急きょオンライン授業に切り替え、学校全体が緊張に包まれました。2度目に出没した翌日、小学校周辺でクマ3頭が駆除されたものの、さらに出没する可能性もあるため不安は残ります。吉田牧子校長は「子どもたちもおびえているので、外で一人になることがないよう、送迎時は一人ひとり職員が付き添っています。いつも大人がそばにいる安心感を与えてあげたい」と話します。

 このように子どもたちの安全圏であるはずの小学校周辺や通学路でも、クマの目撃情報は相次いでいます。不審者対策とは異なり、大人が見回りをして防ぎきれるわけでもなく、学校現場では対応に苦慮しています。

 クマ出没非常事態宣言が出ている宮城県加美町。町立宮崎小学校では、10月から校庭に大音量の音楽を流す対策を講じています。運動会で流すにぎやかな曲です。

 人間の存在を知らせるため、「子どもたちが校庭で過ごす朝の時間や業間休み、昼休み、放課後などに流している」(同校教員)といいます。放課後、スポーツ少年団が野球でグラウンドを使うときも、コーチがいない時間帯は音楽をかけます。

「すべてが効果的かはわかりませんが、子どもたちを守らないといけません。クマはどこから現れるかわからないので、危機感を持ちながら見守っています」と教員は話します。

まるでコロナ禍のような制限…休み時間も休日も室内遊びをする子どもたち

 小学生は課外授業や体育など、外で過ごすことも多く、「学びを止めない」ことに試行錯誤する学校もあります。秋田県鹿角市、市立尾去沢小学校の中村聡校長は、子どもたちの安全と学びの機会を守るため、大きな警戒音が鳴る誘導棒を持って校庭をパトロールします。ブナの木などクマが好みそうな校内の木はすべて伐採。6月と9月には下草も刈って、見通しをよくしました。

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大楽眞衣子
ライター 大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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