ポクロウシク方面でロシア軍の進軍が止まって見える本当の理由、地図だけ見て一喜一憂していると本質を見誤ります。実はこれ、実効支配なき「幽霊のような占領」が限界に達しているからです。
現状、ロシア軍が行っているのは数人の捨て駒部隊をバイクや徒歩で突っ込ませるだけの浸透作戦です。彼らは一時的に集落に入り込み、そこにいる証拠を作ることでOSINTの地図を「ロシア支配地域」に塗り替えさせています。しかし実際には後続の補給が続いておらず、孤立無援の状態です。地図上は赤くなっても、現場では確固たる陣地など作れておらず、すぐに排除されるか包囲されるだけの「死に体」を送り込んでいるに過ぎません。
なぜまともな占領ができないかといえば、ドローンが前線後方20〜40キロを完全に監視する「死のゾーン」に変えてしまっているからです。もちろん、この脅威はウクライナ側にとっても同様であり、彼らの補給線も常に狙われています。しかし、この状況下でより過酷で絶望的なのは間違いなくロシア側です。なぜなら、守るウクライナ側は陣地に潜んで耐えることができますが、領土を奪わなければならない「攻め手」のロシア軍には、遮蔽物のないキルゾーンへ自ら歩兵を送り出し、動かし続けるしか選択肢がないからです。
装甲車を使えば即座に破壊されるため、ロシア兵は自分の足で弾薬や水を運ぶしかなく、重火器も持てません。結果、火力不足の歩兵が裸でドローンの前にさらされるという、構造的に詰んだ状況が生まれています。ロシア側はこの歩兵を「人間センサー」として使い捨て、彼らを撃ったウクライナ軍の位置を後方から爆撃する戦術をとっていますが、そもそも接敵する前にドローンで狩られてしまえばその手も機能しません。悪天候という隠れ蓑もなくなった今、攻める側ゆえの出血を強いられ、物理的な限界に直面しているのが現場のリアルな実態です。
ここから見えてくるのは、ポクロウシクの現状こそが、兵站とインフラを叩いてロシアの継戦能力を奪うというウクライナの「消耗戦」戦略通りだという事実です。だからこそ、私たちはロシアがプロパガンダのために塗ったくった戦況図に騙されてはいけません。あの実態のない領域拡大は、来たるべき対米交渉を少しでも有利に進めるための必死の演出に過ぎないからです。表面的な地図を見て「ウクライナ危機」と騒ぎ立てることは、プーチンの虚勢を助け、みすみすロシアを利することにしかならないと知るべきです。