全国544カ所に広がるハローワーク セーフティネットの役割はいま
東京都内の公共職業安定所(ハローワーク)の職員が、偽名を使って求職者になりすまし、求人を出した企業への応募を繰り返していた。面接を受けるなどして採用に至り、その分を就職件数として偽って計上していた。 【画像】職員がなりすましていたハローワーク 偽名で面接、就職件数に計上 公共職業安定所は、厚生労働省が運営する職業紹介機関。職業安定法に基づいて設置され、4月時点で全国に544カ所ある。ハローワークは公募で決まった愛称で、1990年から使われている。 ハローワークでの就職や求人の状況は、厚労省が発表する有効求人倍率などの算出根拠となり、重要な指標とされる。 ■民間サービスの活発化から岐路に 1947年に発足し、戦後の混乱期から「職安」として浸透していった。99年には、一部に限られていた民間の有料職業紹介が原則自由化。民間サービスの活発化とともに官民の共存が図られてきた。 民間サービスは、紹介料などによる利益を見込める求職者への支援に偏りがちとされる。ハローワークには、障害者や生活保護受給者ら就職困難者や、人手不足の中小零細企業を中心に、国が無償で支援する雇用のセーフティーネットとしての役割がある。 一人親家庭の親や65歳以上の高齢者を専門に支援する窓口を置き、インターネットでの求人情報の閲覧に対応するなど、サービスと利便性の向上を進めている。 ハローワークでは職業紹介だけでなく、雇用保険の失業給付の手続きや、就職に必要な技能を習得できる職業訓練、人材不足分野への充足支援などの業務も担う。 ■非正規が6割超 近年は構造的な課題が指摘される。今年3月の衆院厚生労働委員会の厚労相答弁によると、ハローワークの非常勤職員数は約1万8千人で、職員全体に占める割合は約63%(4月時点)。安定雇用を目指す機関の職員自身が、雇い止めなどの恐れを抱える不安定な立場に置かれており、「官製ワーキングプア」とも呼ばれている。(華野優気)
朝日新聞社