みんなで大家さん「成田借地問題」、あっけない幕切れの舞台裏
関係者の証言によると、NAAは11月上旬までに、条件付きで借地契約の延長に応じる方針を共生バンク側に伝達。造成工事を続けるための資金の裏付けとして、共生バンクに対して銀行の残高証明といった資料を示すよう求めていたとみられる。 これに対して共生バンク側は、かねてより進めていた保有資産の売却に向けた進捗などを共有したようだ。「担当者間のやりとりは協力的なものだった」(関係者)。同25日には、成田市が共生バンクからの工事延長申請を受理したことを、東京新聞が報道。この時点までは、交渉に携わる多くのメンバーが、借地契約は延長されるとの認識で一致していたとみられる。 しかし、NAAの元には、共生バンク側からの資金証明は届かなかった。NAAは27日に決算に伴う定例記者会見を控えていたことなどから、これ以上の判断の引き伸ばしは難しいと判断。前日の26日までに、借地契約の延長に応じない方針を決定したとみられる。工事遂行を担保するための資金証明については、金額にばらつきがあるが、20億〜40億円に達するとの情報がある。 複数の不動産関係者によると、共生バンクは大阪・宗右衛門町の土地を担保にした資金融通や、東京・西日暮里に所有する開発用地の売却に動いていた。特に後者については複数の買い手候補と具体的なやりとりが進んでいたが、希望する金額では買い手が見つからない様子だった。これに先立つ10月22日には、傘下企業が保有する都市綜研千葉駅前ビル(千葉市)を売却しているが、売り出し価格の20億円には遠く及ばなかったもようだ。 ●成田市、なおも工事完成求める 一方、11月25日の時点で、NAAの決定は成田市に通知されておらず、担当職員の中には報道でその内容を知った者もいたようだ。成田市の小泉市長は翌26日の定例記者会見で、残った土地を対象として工事対象範囲を見直すことを含め、引き続き造成工事の完成に向けた推進を求めていく姿勢を示している。 市によれば「完了予定は厳密な意味での許可要件ではないため、延長届は通常、受理される」。折々、工事の進捗などについて報告を受けているものの、「軽微な変更」の扱いとなる。市は共生バンクに資金証明などの提出を求めているが、いったん開発許可を下ろして以降は、それを強制する権限がないとの立場だ。結果として、これまで4回にわたり変更届は受理されてきた。 いわば、アクシデントだった今回の決定。配当遅延や償還停止が続く共生バンクグループに、事業継続の見通しがあるのか。そして、誰がストップボタンを押す最終的な責任を負うのか。その位置づけは、依然として曖昧なままだ。 約4万人の投資家から、総額2072億円(25年3月時点)の資金を集めた不動産クラウドファンディング商品「みんなで大家さん」は、大きな転機を迎えた。
小野 悠史、本間 純