2色だけ選んで雰囲気のある色づかいに!着彩の話
※塗りについての部分をご覧になられる方は、
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「実際の塗り方。」にとぶ事をお勧めします。
はじめに。
色の種類は様々ですが、その1つに「記憶色」というものがあります。
文字通り、記憶の中にあるイメージとしての色のことです。
「りんごって確かこれくらい赤かったよなぁ」という具合。
そして人は、資料をしっかり見ながら絵を描いていても、
記憶の中の色に引っ張られてしまいやすいです。
例えば青空。
普段絵を描かない人が描くと、かなり鮮やかな青になりやすい空ですが、
日中の空の彩度はそこまで高くない事が多いです。
上の図では、一番左の青空以外はかなり色味を誇張していますが、
青空と認識はできると思います。
記憶色の傾向として、鮮やかさが強調されやすく
また記憶者にとって心地の良い色味で覚えられることが多いです。
なので記憶を修正する意識で描くとリアルになりやすいです。
逆手にとって、ちょっと鮮やかに描くと、
幻想的で心地の良い絵に仕上げることもできます。
実際の塗り方。
記憶色は、固有色を鮮やかに強調した色味で残りやすいですが、
絵を描くときに邪魔になることもしばしば…。
だったらいっそのこと固有色のことは考えず、
明部の色と暗部の色の2色だけで描くといいのではないかと思いました。
いざ実践です。
まず好きな2色の色の組み合わせを用意します。
色を選ぶ際に、好きな色をただ1つずつ用意するのではなく、
「2つの色が並んだ時にきれいに見えるかどうか」と
「2つの色が並んだ時に明暗のように見えるかどうか」を
意識しています。
良い組み合わせを見つけることができたら、
あとはその2色でモチーフを塗りましょう。
はじめは、はっきりとした明暗を作るように描くと
描きやすいと思います。
複雑な明暗配置だと、考えることが多くて大変ですからね…。
2色の組み合わせ例も載せていますが、完全に僕の好みです。
2色をベースにして考えたいだけで、
2色しか使ってはいけないわけではないので、
慣れている人は少し色数を増やしてみてもいいかもしれません。
(組み合わせ例の中にも、こっそり色数が多いものもあったり)
明暗が付いたらあとは
上から薄く固有色を乗せて終了です。
響きあっている2色をちゃんと選べているなら、
余計な色を足さなくてもある程度きれいに見えるので、
自信をもって、薄く薄く色を足していきます。
上から色を足していくと当然、色数が増えていき、
色同士を響き合わせるのも難しくなっていきます。
混乱を避けるなら、最初の2色を軸に色数を増やすのがオススメです。
それぞれの色を暖色や寒色方向に延ばしたり、明度を上げたり下げたり…
最初に決めた色と関係する色を作っていくことで、
色のごちゃつきを防ぐことができます。
余談ですが…
キャンバスの色味を崩したくないときは、どのような塗り方をしている時も
キャンバス自体をパレットのように捉えて、
すでに存在する色味を使うように描いています。
そのまま使ったり、
キャンバス内のいくつかの色を混ぜて新しい色を作ったりなどなど…
こうすることで、全体の雰囲気を大きく損なうことを防ぎます。
他の例と応用。
他の2色を軸にした場合の例です。
パレットの色味を樹形図のように延ばす作業は、
個人的には…割かし楽しいです。
ですが、楽しさのあまり本分を見失わないように気を付けたいです。
色味をいじっている中で偶然、可愛い色味に出会えた時、
とても嬉しいです。この色を使いたいなって感じます。
ですが「可愛い色を使いたい」という感情が強すぎると、
「モチーフが可愛い色と合うかどうか」を見落としがちです。
例①の色味は淡く可愛らしい雰囲気にまとまっていますが、
モチーフとなるキャラクター自体はムスッとしていますし、
影も目元に落ちていて暗い印象です。
どうしても可愛い色を使いたいなら、
影の配置は上側が明るくなるように調整して、
キャラクターも少し微笑んでいる方が相性が良いのかなと思います。
(もちろん、敢えて逆にしてギャップを狙う技術もありますが…)
影の強い青みに対して、はつらつとした黄色が合うんじゃないかなぁと思い
勝手に入れています。
パレットにない色味だとしても、合いそうだなと感じた色は
1度試してみることをお勧めします。
相性が良ければそれでよし。悪ければ、悪い組み合わせを知れて
それもよし。
ひと手間にしては期待値が高いように思います。
また、パレットが平面的である必要性は特にないので、
使いたい色味を中心にちょっとした立体を作画するのも1つの手です。
個人的には、
透明な雰囲気のモチーフを作画してパレットにすることがあります。
ビー玉とか宝石とか。
当然と言えば当然ですが、透明感のあるパレットで絵を描くと
透明感が出てくれます。
余談ですが…
固有色をそこそこ無視する塗り方なので、
色選び次第ですが大抵の場合リアリティが出ずらいです。
ファンタジーな絵になりやすい、とも言えます。
ファンタジー感の強すぎる作品は、
時に消費者を置いてけぼりにしてしまいます。
少し色が強いな…と思ったら、
どんな部分でもよいのでリアリティを足せると良いと思います。
キャラの頭身、骨格。髪や布のしわ。
はたまたシチュエーションやパース。ストーリー性など、何でも良いです。
バランスを取る意識が大切です。
また、少しリアルさを残して塗りたい場合は、
固有色を多めに乗せつつ、彩度を上げすぎない意識で塗ると
良いように思います。
まとめ
なんかオシャレな色だなぁ…と思う絵を見つけた時に、
赤みを帯びて見える肌が実際はグレーや明るい水色で描かれていた。
みたいな事がよくあります。
自分でもやってみるけど、
同じ色を使っているはずなのに何か変に見える…
色という情報はとても繊細で、
何かがほんのちょっとズレているだけで印象が大きく変わることも。
それが複数の色の組み合わせやグラデーションともなると…
良い色を当てるのは至難の業です…。
ですが経験上、色選びは場数です。
最初は全然うまくいかなくとも、色を組み合わせで見る練習を続けていると
響きあっている色に気付けるはずです。
2色の響きあいに気が付けると、
その2色の最適な割合や配置場所にまで意識が向いたり、
響きあいを維持したまま3色、4色と色数を増やせたりと
できることが広がっていくと思います。
まずは「色を組み合わせで考える」のが大事なのかなと思います。
以上です!
…こんな最後の最後までご覧下さった方。
まずは感謝を申し上げます。ありがとうございます。
そして、とても色に興味のある方なのかなと思います。
もしどこかでつっかえてしまったら、
僕の資料でよければですが…
いくらでも、スポイトで色を取って確認してみてください。
それでは!
池上




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