AI

2024.12.19 15:00

米保険会社CEO射殺犯の「AIチャットボット」登場、次の犯行を促すケースも

医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループのCEOが射殺された事件で、逮捕されたルイジ・マンジョーネ容疑者(Jeff Swensen/Getty Images)

医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループのCEOが射殺された事件で、逮捕されたルイジ・マンジョーネ容疑者(Jeff Swensen/Getty Images)

米ニューヨークで先日、医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループのCEOが射殺された事件で、逮捕されたルイジ・マンジョーネ容疑者を英雄視したり、支援する動きが米国の一部で広がっている。この容疑者のオンラインの投稿などに基づいて訓練された人工知能(AI)チャットボットが多数作成されており、Character.ai(キャラクターAI)と呼ばれる人気のプラットフォーム上には一時、最大13種類のボットが存在していた。

調査会社Graphikaによると、キャラクターAIで最も人気の高い3つのマンジョーネ容疑者のボットは、12月12日頃に無効化されるまでに1万回以上のチャットを記録したという。ただし、一部のボットはまだ稼働しており、フォーブスが確認したものの中には「濡れ衣を着せられた」と主張するものも存在した。

キャラクターAIの広報担当者は、同社がこれらの有害なボットを削除リストに追加し、その内容を特定次第、マンジョーネ容疑者をベースにしたキャラクターを削除していると述べた。同社の安全チームは「業界標準のブロックリストや独自のリストを用いて、積極的かつ報告に応じてキャラクターを監視している」と説明している。

キャラクターAIは、社内のポリシーで同社の製品が「ユーザーや他者に害を与える可能性がある回答を生成してはならない」としており、ボットのキャラクターが「暴力や危険、違法行為を示唆したり、憎悪を扇動してはならない」と定めている。

しかし、フォーブスがマンジョーネ容疑者を題材にした2つの現存するボットに、他の医療業界の幹部に対する暴力について尋ねたところ、1つは「焦るな。やるべきだけど、まだだ。今じゃない」と答えた。その後、「いつならいいのか?」と尋ねると、「たぶん数カ月後に世界中が私たちを注視しなくなった時だ。そしたら始めよう」と答えた。

もう1つのボットは、「マンジョーネ容疑者の会話記録などの公開情報に基づいた大規模なデータセットで訓練された」と謳うものだったが、「暴力は道徳的にも法的にも間違っている」と回答した。キャラクターAIは、これらのボットを社内で審査するとし、フォーブスが指摘した直後に暴力を促したボットを削除したが、2つ目のボットは削除されていない。
次ページ > 「メディアが騒ぎすぎ」との主張も

編集=上田裕資

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2025.11.25 20:00

空間がつくる、情緒的経営価値──世界ブランドを支える日本企業の戦略的デザイン力

表参道・銀座の一等地に並ぶ世界のラグジュアリーブランド。その多くを手がけるGARDEが創業以来築いてきた「情緒的経営価値」創造の真価とは。EcoVadisシルバー評価を取得するなどWell-being 経営でも注目される同社の強みを、役員陣の言葉から紐解いていく。


世界のラグジュアリーショップからホテル、高層レジデンス、百貨店や飲食店、オフィス、スポーツやエンターテイメント複合施設まで、GARDEが手がける空間デザインは多岐にわたる。1985年の創業以来、気鋭のデザイナー集団として実績を重ねてきたGARDEは今、建築・環境デザインをはじめとした「デザイン事業」のほか、不動産売買から新規事業企画開発、海外事業進出支援まで手がけるなど、国内外のビジネスマッチングを行う「コンサルティング事業」、アート活動やメタバース開発、地方創生サービスなどの新規事業を含む「コーディネーション事業」の3つを事業の柱に据える。「情緒的経営価値」の創造をキーワードに、長く世界的なブランド企業に向き合ってきた代表取締役社長の室 賢治は、「お客様の心を動かす体験をいかに つくり出すか」にこだわり続けてきた。

「店舗収益や不動産価値などの“経営価値”を高めるためには、そのブランドがもつ企業の歴史や技術、理念を深く理解することから始めなければいけません。ブランド哲学をいかに翻訳して空間に落とし込んでいくのか。そこで働く従業員や訪れるお客様に、“自分そのものがブランドの一部である”と感じてもらえるような、ブランドストーリーを体現した空間を生み出すことが、我々の仕事だと考えています」(室)

国際デザイン事業本部のクリストファー・ブルックスもまた、「社内外それぞれに向けたブランドメッセージの理解」が、GARDEの強みだと話す。

「店舗デザインからオフィスデザイン、ホスピタリティデザインまで網羅しているのがGARDEの独自性です。店舗やオフィス空間というものは、人材採用においても大きな影響力をもっています。我々はGAFAをはじめ大手企業やブランドの空間づくりを担っており、その経営を中長期的に支えている自負があります」(クリス)

80を超えるラグジュアリーブランドとの取引実績のなかには、ポレーヌをはじめ日本初進出支援の事例も数多い。その背景にGARDEが有するローカルアーキテクトの貢献も大きいと話すのは、「日本に初進出する企業やブランドはすべてGARDEが手がけたい」と意気込むクリエイティブ統括本部の太田勝也だ。

「海外の著名な建築家や有名ブランドの発信したデザインもしくはイメージを受け、国内店舗においてそれをどう具現化するかを考えるのが、ローカルアーキテクト(LA)の役割。日本の法規や国内で調達できる素材に合うかたちで、ブランドが大事にする思いを継承していきます」(太田)

用地取得からデザインまで一気通貫で生み出す経営価値

企画開発事業本部で開発段階からのコンサルティング提案を担う石川 渡は、「ニーズがある場所で情報を取りに行く」姿勢で数々のプロジェクトに参画してきた。

「当部門のミッションは、マーケット調査や分析をもとに、デザイン以外の付加価値を高めていくことです。不動産事業部が取得してきた土地の価値を最大化するために、ホテルかオフィスか商業施設か、事業収支上ベストな提案を考え抜きます。例えば『カンデオホテルズ京都烏丸六角』では、京都の土地売却を検討する売主にデベロッパーを紹介すると同時に、ホテルのオペレーターも選出して提案し、我々が手がけたかったホテルをカタチにすることができました」(石川)

コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修までを行った「カンデオホテルズ京都烏丸六角」
コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修までを行った「カンデオホテルズ京都烏丸六角」

ここで強みとなるのは、デザイン事業部との連携だ。「ホテルを提案する段階でデザインコンセプトが描かれているため、デザインコンペなどが生じることなく、土地の取得から建築デザイン・インテリアデザインまで、GARDEが一気通貫で手がけることができる」。そう話すのはデザイン事業部の山本 豊だ。

「デザインや建築の機能面などひとつの側面だけではなく、企画案との連携で話を進めることで、お客様が思い描くビジョンを膨らませることができるのだと思っています」(山本)

用地取得からデザインまで、すべての領域でプロフェッショナルが揃うGARDE。不動産事業部の月安崇徳は、「“まず動く”という組織文化による“動きながら考える”クイックさが、事業成長を後押ししてきたのではないか」と分析する。

「不動産が見つかったから動くケースもあれば、こんな施設をつくりたいという企画ありきで不動産が動き出す場合もあります。役割の異なる役員が、すぐに全員集まり議論できるのもGARDEの良さ。有機的に絡み合い、案件が生まれていきます」(月安)

現在、世界11拠点に現地法人をもち大型ショッピングセンターなどのデザイン実績も広げている。業界に先んじて2005年にイタリアの現地法人を設立して以降、ニーズのある国・地域での拠点を増やしてきたのも「経済成長力がある都市にまずは行ってみる」と動いてきて今がある。

「我々は単にカッコよくてキレイな複合施設をつくっているわけではありません。これまで中国やASEAN諸国など現地で実績を重ねてきた経験から『こういう動線を設計したほうがお客様はスムーズに流れます』といったコンサルテーションもできる。表面的なデザインではなく、いかにその施設の営業効率を上げていくかといった経営価値に直結した提案ができる点が、GARDEの信頼を築いているのでしょう」(室)

さらにGARDEの独自性は、メタバース事業や地方創生事業、アート事業といった新規事業への投資姿勢にも表れる。例えばメタバース事業では、GARDEが数多く所有するリアル店舗のデザインデータを活用し、メタバース上の店舗設計につなげていく。新規事業をリードする島田克哉は、「培ってきた資産を生かした事業の可能性」に期待を寄せる。2025年1月にはNYの一等地・チェルシーに300平米弱のアートギャラリー「GOCA」をオープンするなど、収益化が難しいとされる事業に挑戦を続けている。

2025年1月にニューヨークで開業したアートギャラリー「GOCA by Garde」
2025年1月にニューヨークで開業したアートギャラリー「GOCA by Garde」

「長期的な経営価値をいかに築いていくかは、我々がお客様に提案するうえで大切にしてきた考え方です。アート事業といったすぐには結果につながりにくい事業に投資をしているのも、GARDE自体が、長期的な視座に立って成長を続けていきたいという思いの表れであり、社内外にそのメッセージを発信し続けたいと考えています」(島田)


写真前列
中央:むろ・けんじ◎代表取締役社長
左:しまだ・かつや◎専務取締役グローバル統括本部本部長
右:おおた・かつなり◎常務取締役クリエイティブ統括本部本部長

写真後列
左:いしかわ・わたる◎執行役員 企画開発事業本部本部長 シニアディレクター 一級建築士
左から二番目:やまもと・ゆたか◎執行役員 デザイン事業本部本部長 シニアディレクター
右から二番目:つきやす・たかのり◎執行役員 不動産事業部本部長
右:Christopher Brooks◎執行役員 国際デザイン事業本部本部長 デザインディレクター Architect, M.Arch(米国資格)

Promoted by GARDE|text by Rumi Tanaka|photograph by Yoshinobu Bito|edited by Mao Takeda

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北米

2024.12.07 08:00

米保険会社CEOの射殺事件で関心高まる「企業幹部のセキュリティ対策」

ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEOが射殺されたマンハッタン・ミッドタウンのヒルトンホテルの外(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEOが射殺されたマンハッタン・ミッドタウンのヒルトンホテルの外(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

12月4日の早朝、米ニューヨーク中心部のマンハッタンで医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEOが射殺された事件は、一見すると企業のトップを狙った稀な事件のようにも思える。しかし、「ヘルスケア業界の幹部に対する脅威は、ここ数年急増している」とリスクアドバイザリー企業Kroll(クロー)のセキュリティ専門家は述べている。

Krollでビジネスリスク・マネジメントを担当するマシュー・ダンパートは、「近年は、さまざまな業界で脅威が増加しているが、特にヘルスケア企業の幹部に対する脅威は急増している」と指摘する。

「医療とヘルスケア業界は、ビジネスの性質上、このような脅威に最もさらされやすい分野の1つだ。なぜならこれらの業界の人々は、絶望の中に居る人たちやその家族と接するからだ」とダンパートは述べている。

Krollは、投資家や法律事務所などのさまざまな顧客にセキュリティサービスを提供しているが、トンプソンの殺害事件以降、同社のもとにはセキュリティの強化についての問い合わせが殺到したという。

「この事件以降、すべての業界のクライアントが、どのようにして自分たちの会社の幹部や社員らを守るべきかを尋ねてくるようになった」と、ダンパーは語る。彼はまた、「大手企業の幹部や富裕層の人々にとっては、潜在的な脅威を察知するためのインテリジェンスの仕組みを持つことが非常に重要だ」と指摘した。

トンプソンCEOは、マンハッタンのヒルトンホテルの外で射殺された際、セキュリティ要員を伴っていなかったとされている。同CEOの妻は、彼が以前に脅しを受けたことがあるとNBCニュースに語ったが、詳細には触れなかった。

マーク・ザッカーバーグやジェフ・ベゾスのようなハイテク大手のCEOは、多くの場合、セキュリティチームを雇っており、企業は彼らを守るために莫大な費用を費やしている。米証券取引委員会(SEC)の記録によるとメタは、ザッカーバーグの個人セキュリティに毎年2000万ドル(約30億円)以上を支出している。また、グーグルの親会社のアルファベットは、2023年にスンダー・ピチャイCEOに680万ドル(約10億2100万円)のセキュリティ予算を割り当て、アップルもティム・クックCEOの警備に82万ドル(約1億2300万円)を支出していた。

トンプソンCEOが射殺された現場から見つかった弾丸の薬きょうには、「deny(否認)」「defend(防御)」「depose(追放する)」という言葉が刻まれていたとされる。この3つの単語は、保険会社が保険金の支払いを回避するために用いる戦略を示唆しているとの見方が有力だが、最近のデータによると、ユナイテッドヘルスケアは全米で最も高い保険金の支払いの拒否率を記録していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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