《お知らせです。スランピア目玉のパレード・ショー、演者は『シロ&クロ』です。この後すぐ中央広場にて開演しますので、お時間のある方はぜひおこしください》
集合地点である駐車場へと先に到着していたモモイ、ミドリ、アリスの三人。遅れて合流するはずの二人を待ちつつ一時の休息を得ていた彼女らに、ここに来て初めての明確な『特異現象』が襲い掛かる。
「ねぇお姉ちゃん、今のって……」
「うん、こんな廃遊園地でパレードの放送なんて
「……!緊急クエストです!トオルとユズの救出に向かいましょう!」
示し合わせることなく駆け出す三人。その足は一切の迷いなく、中央広場へと向かうのだった。
まずい。まずいまずいまずいッ!!!一体なんなんだよコイツらは?!カラスもびっくり箱も爆発するし自分よりも大きな玉に乗って突っ込んでくるしそのくせ壁はびくともしない……!
ここは犬猫が服着て歩いてるし
今のところはユズができる限り撃ち落としてくれてるからなんとかなってはいるけどだんだんユズへヘイトが向きかけてる……基本グラスキャノンは一発きりしか撃てないしカバーに回れるような実力もないしどうしようもない……
ワンチャンさっきの放送で察して助けに来てくれてる説を信じて耐久に回る?いや、流石にそれはあまりにも不確定だから1つ目のプランにはしたくない。ユズの弾数にも限りがあるだろうしかくなる上は———
「なんとかなれーーーーーッ!!!」
「トオルちゃん?!」
いつかバチかの特攻!体の小ささと抱えてるものの重量の割にはすばしっこい自信もある……!
ウタハさんに連れられて行った試射では明らかなオーバーパワーで頭を抱えた。けどおかげでなんとなく「銃に力を込める感覚」がわかった気がする。
全力一発で倒し切れる保証はないしその後疲れて眠りでもしたら目も当てられない、けど。込める感覚が分かるなら抜く感覚だってわかる。とにかく威力は落として体力の消費を抑える。だけど見た目だけはド派手に!見かけ倒しのハッタリでも多少はこっちにヘイトは向くはずだ。
「吹っ飛べぇーーーーーーッ!!!」
瞬間、視界が光に染まる。なんとか踏ん張ろうとは試みたものの、やはり反動で一回転。なんとか受け身だけはとって格好だけはつけておく。いや、もともとあってないようなものかもしれないけどまぁ男の子だし。
「す、すごい……」
「言ったじゃないですか。俺がついてます」
言っちゃったよ。どうするんだこれ。
高校生とはいえこんなか弱い子一人で戦わせるなんてこと、俺はしたくない。こういう世界である程度の慣れがあるとはいえなんか嫌だ。
結局相手には当たらなかったけど、対岸の壁に結構な弾痕が見える。これでひとまずヘイトの一部は俺に向くかな?ユズのワンオペがなんとかなれば一旦はそれで———
「……ッ゛?!」
何かが脇腹にぶち当たるような、猛烈な衝撃。背後の壁まで吹き飛ばされ、痛みに膝を折る感覚はこの世界で目を覚まして初めて銃弾を喰らった時のことを思い出させる。
周囲に羽根が散らばっている。ゆっくりと空気に溶けて消えていきつつはあるが、おそらくこれはさっき飛ばしてきたカラスのものだろう。見えなかった。的確に死角からぶつけられたか。
あの直線移動も、定期的なインターバルも、ワザと
「
ヘイト問題さえなんとか二人で分配すれば、ある程度こっちで攻撃を引き受けられれば何か勝機が見えると思ってたのに。鼠が猫を噛んだところで精神を逆撫でして食われるだけ、俺がグラスキャノンを撃った時点でこいつらの中でもう遊びは終わったんだ。
せめて、遊ばれているうちに気づけていれば。あからさまに大仰な動きを感じ取れていれば、違った未来が見えていたのかもしれないけど。
「トオルちゃん!」
「大丈夫」
「で、でも足がガクガクで……」
「大丈夫です」
「なんだか、さっきと雰囲気が」
「大丈夫です」
「俺が、ついてますから。大丈夫」
何が大丈夫だと言われればそれまで、だけどあんな不安そうな女の子に容赦なく『もう無理だね〜』なんて言える薄情者がいてたまるか。
実際、大丈夫なんかじゃない。鳥がぶつかっただけなのに意味わからんぐらい痛いし足の震えは恐怖のせいか痛みのせいかもわからなくなってきた。だけど、まだ力は残ってる。全力の気合いを込めて、どちらか片方にクリーンヒットさせればあるいは、だ。もう一体は知らない。とにかく、目の前のことをがむしゃらにやろう。先を考えるのはまだ後でいい。