グラスキャノン本体、携帯用の紐、操作マニュアル、エンジニア部一同の連絡先を持ってトオルは帰っていった。夕暮れ時にあんな可愛らしい子を一人で帰路につかせるのは少し心が痛んだが、まぁあそこまで物騒なモノをぶら下げていればそうそうトラブルに巻き込まれることはないだろう。
機材の積み下ろしで疲労を訴える肩をぐりぐりと回しながら、外出の間に溜まっていたメールの処理のため腰を下ろす。
連邦生徒会の防衛室から、『ミレニアムの廃墟付近で高エネルギー反応を確認』という件名のメールが届いていたが、トオルの射撃データを送付すれば納得してもらえるだろうか。
いや、幼女がビームを撃ったなどという荒唐無稽な話、データがあろうとどこまで信じてもらえるだろうか。弁明にかかる時間のことを考えると頭が痛い。
「しかし、ビーム……か」
そう、彼女こと新生トオルの撃った一発は眩い光を帯び、廃墟を円柱状に消滅させた。あの子は撃って崩れただけだと思っているようだがそれは大きな間違いで、建物が崩れるまでのコンマ数秒、一部分が完全に消滅してポッカリと穴の空いたそれをカメラがバッチリと捉えている。
彼女が持って行った武器———グラスキャノンにそう言った機能は一切搭載されていない。アリスの『スーパーノヴァ』であればまだしも、グラスキャノンはアハトアハトの改装モデルであって、完全にアナログ時代の遺物なのだ。
ビームはおろか、一切の電子機器が搭載されていない。だからこそ、おかしいのだ。
撃つ人によって銃の威力が大きく変動するのは疑いようのない事実なのだが、それでも流石におかしいものはおかしい。携行可能にしただけの元高射砲でビームが撃ててたまるか。
「レールガンやらであればまだしもな……これは流石に手放しで喜べない……」
あれほどの威力となれば到底人に向けることなんてできない。彼女の性格を鑑みるに面白半分で向ける……なんてことは間違ってもないだろうと言えるが、それでもやむを得ない時というものは存在する。
その、
ただ、これは今私が考えてもどうしようもない。今は目の前のできることから一つ一つこなしていこう。
そう思考に一区切りをつけた私は、連邦生徒会へと提出するための書類の作成に取り掛かるのだった。