俺が目を引かれた銃……らしきもの。それは、巨大な4本ほどの筒の集合っぽい何かだった。
「なんだこれ……銃……なのか?」
周囲のものはほとんどがかろうじて銃の体裁を保っているものがほとんどではあるが、これに関してはホントに何かわからない。ただ、はっきり言って『異質』な存在感を放つその筒に、俺はなぜだか勝手に視線が吸いついた。
「説明や解説が必要でしょうか!」
「うおっ……あなたは?」
「エンジニア部所属の豊見コトリです!何やら疑問の匂いをかぎ取ったので参上しました!」
「説明や解説……だったら、目の前に転がっているこれについてお願いできますか?」
なるほどなるほど……とどこからともなく取り出したタブレットをすいすいと操作し、一度考えるような動作をした後にコトリはもう一度口を開いた。
「では……ウタハ先輩からトオルさんについては聞いているのでゼロから解説させていただきましょう!これはかつて対空砲として開発された88mm Flak36を単独で持ち運び可能にし、対地上戦闘や本来の用途の対空戦闘でも効力を発揮できるようにエンジニア部で改造を施したモデルです!ただ、持ち運びのためということで地上に固定していた兵器を取り外したので重量や照準などの点で固定式のものに大きく劣っているうえ、一発一発装填して砲撃を行わないといけないという都合上メインの火器として扱うには少々不安が残ります。しかしその貫通力や破壊力は一級品で!!場合によっては一撃で戦車を沈めることができるほどのポテンシャルを持っています!」
ふんすと胸を張って見せるコトリ。思っていた十倍ぐらいの文量で説明をいただいてしまったが結局は『当たらない上ほぼ撃てない』ってことだろう。
「……いや、何でこんなもの作ったんだ……」
「それはもちろんロマンだね」
「あ!ウタハ先輩!」
ロマン……浪漫……ろまん……いや、正直言えば俺もこれにロマンを感じるのはちょっとわかる。というか全然めちゃくちゃわかる。最適化された銃器の中でのこの無骨さ。素晴らしいではないか。
「……持ち上げてみても?」
「ああ、構わないがそれは小型化されているとはいえ基本重量は250キログラムを超える代物で――」
「え?」
聞き終わる前に手に取ってみたものの、あまりにも軽々と持ち上がってしまった。のだが、基本重量250キロ……?本当にそんな物を持ち上げたのであれば俺は腰が砕け散っているはずなのだがどうにも不調はない。
「……質の悪い冗談だと言ってくれ」
「残念ですが現実かと……」
「あ、トオルいたーーー!!!って何それ?!」
「あーーーっ!トオルが重量級武器を鹵獲しています!アリス知ってます!!あれはアリスのと同じで単発高火力型の武器です!!!」
「こんな子が二人もいるとは、世界は広いな。コトリ」
「ええ。全くです」
遠い目で空を仰ぐエンジニア部の二人。今見上げたところで見えるのは蛍光灯輝く天井なのだがそれすらも彼女らにとって目に入らないらしい。ここではないどこかを見つめる瞳にはどこかうつろなものがあった。
「しかしそれを持っていくとなると……実戦データはもうあるしな。持ち上げられた時点で資格はもうあるようなものか……」
「使えそうなロボットもこの間*1使い果たしちゃいましたしね」
「うーん……よし」
ウタハが俺の頭にポンと手を置く。ナチュラルに子ども扱いされてしまったことに少々苦い気持ちになるもののやはりこの姿では何の反論もしようがない。
「じゃあこうしようか。はじめは私がサポートする。それで一通りの動作をできたら持って行ってもらって構わない。その時はきちんと実戦で使ったデータをもらうけどね」
「えっと、じゃあそれでお願いします……?」
「コトリ!ヒビキにアリスちゃんの時よろしく携行用の紐を作るよう頼んでおいてもらえるかい?」
「お任せください!」
「よし、トオル。行こうか」
「えっと……今からですか?」
俺の疑問は優しく手を引かれることで回答を得た。今からか……こんなクソデカな武器をぶっ放せる場所は果たしてこの近未来都市に有るのだろうか。あまりの話のスムーズさにきょとん顔のままどこかへと連行されるのだった。
今回ちょっと短かったのでおまけとしてトオルの設定をのっけておきます。
名前 新生トオル
身長 142㎝
年齢 中身は大人
髪 黒
趣味 調べもの
力 つよい