よわよわTS転生生徒(高火力)   作:まっしろたまご

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紙装甲生徒、硝子の大砲となる。
キヴォトスの洗礼、ついでにTS。


 やぁみんな!俺だ!オイオイ、まさか俺のことを忘れたのか?そりゃないぜボブ!

 仕方ねぇからもう一回自己紹介をしてやるよ!

 俺の名は……なんだっけ。まぁいいや次!年は……忘れた!!性別は男……男……?

 

 イマジナリーフレンドに語りかけるのも虚しくなってきたし、一旦落ち着いて状況を整理しよう。まずは今、この状況に至るまで起こったことだ。まず俺は目が覚めたとき歩道のど真ん中にぶっ倒れていた。周囲を見回してみれば犬が二足歩行で服を着て歩いている。訳のわからん始まり方をしたこと、不思議な光景から俺は『はは〜ん。明晰夢ってやつだな?』と推測した訳だ。そこまではいい。なんてことない夢の始まり方というやつだ。

 せっかくだし、この不思議世界を探索してみようと立ち上がってみるとどうやら視点が低い。それに若干のだるさはあるものの、アラサーとなって不調を訴え出していた体はとても軽かった、あとついでになんか足がスースーした。

 

 空を見れば透き通るような青空に謎の輪っかが浮かび、耳をすませばどこからともなく銃声らしき破裂音が聞こえ、景観を楽しんでいる俺にスーツを身に纏った二足歩行のロボがじっとりとした視線を送る。

 そんなカオス極まりない夢の始まりに高揚感を覚えた俺は、野次馬精神を抱えてその破裂音の方へと向かっていった。その途中、窓に映った自分の姿を見て愕然とした。

 

 膝の裏まであろうかというツヤツヤの黒髪、薄々勘づいてはいたスカート、青と白を基調にした半袖のセーラー服、くりくりとした可愛らしい瞳。そして——頭の上にふわりふわりと浮かぶ謎の輪っか。よもや、まさか自分がロリータになろうとは。夢の世界では自分の潜在意識が垣間見えるなんてことがよく指摘されたりするが、俺にはTSロリになる願望でもあったのだろうか。いやあってたまるものか。

 

 音に誘われて道を歩きながら、ぼんやりと考えを巡らせてみる。頭の上に輪っかが浮いている……ということは、夢の世界ではなく死後の世界という説も出てきた。生活習慣がカスだったのは否定できないし、寝ながらポックリ逝けたのならモーマンタイかな、なんて思ったりもした。勝手に死んだことにするな。

 

 と、一旦思考はそこで打ちやめにする。あとはこのまま真っ直ぐ進むだけで件の音の発生源に到着する。

 その場所自体は現在地から見えるものの、しっかりと視認するにはまだ遠い。ただ、ぼんやりとではあるが青い髪の人影がハリウッドさながらのアクロバットな動きを披露していることだけはかろうじて確認できた。

 

 そのまま、近づこうとした時だった。

 

 

「……づッ?!」

 

 

 鋭い痛みが肩にぶち当たった。あまりの激痛に思わずうずくまる。慌てて患部を手で触って確認してみるものの出血や腫れは感じられない。ただ、感覚は全て痛みとしてフィードバックされた。ここで、楽観的にものを考えていた俺の頭の中に一つ、最悪の可能性が思い浮かぶ。『まさか、そんなはずない』とはなから投げ捨てていた可能性。

 

 

 ──それは、今目の前で起こっている全てが現実だということ。

 

 

 「……ハ、ハハハ…………」

 

 

 息と共に口から出てきたのは乾いた笑いだけだった。瞬間、先ほどまで輝いて見えていたさまざまな光景が途端に恐ろしいもののように思えてくる。

 情けないことに、体がガタガタと震え出す。これが大の大人の姿とは信じ難い震えようだ。

 

 

 

 で、そのあとは這々の体でどうにかその場を離れ、適当な路地の裏に身を隠して震えていた。

 放置されたガラクタのひんやりとした感覚が肌に心地よく、次第に気持ちは落ち着いていった。

 

 それからしばらくして振り返りをしている訳だが、正直言って何も得られていない。

 

 

「あ〜〜……これからどうしたものか……」

 

 

 思わず漏らした声が少女ボイスでまた溜息が出た。憂鬱で仕方がない。

 街中で唐突に銃弾が飛んでくるわ、女の子の体になってるわ、土地勘はないわ、なんならここが元いた世界かもわからないわ……

 ないないづくしのどん詰まり、これからどうしよう……

 

 

「勇者アリスの直感がこっちに新たな仲間のフラグありと告げています!」

「ちょっとアリス!置いていかないでよ!」

「モモイ!ミドリ!こっちです!!急いでください!!」

 

「もう!こんな路地裏に誰もいる訳──って」

 

「本当にいたーーーっ!!!」

「な、何?!誰?!」

「わーーーっ落ち着いて!!逃げないで!!」

 

 

 この先を案ずる俺の前に現れたのは謎の美少女たちであった……といえば聞こえはいいものの、バッチリ物騒なブツは肩から下げている。ざっくり見た中で青、ピンク、緑とそれぞれ個性的な色を持っている中で、一番目を引くのは青の子。何やらとんでもないものを背負っている。いやあれ明らかに人間が持つように設計されてる武器じゃないだろ。ナチュラルに力の差を“理解らせる”のはやめてくれ……俺の胃がもたない……

 

 

「迷えるものよ……汝の名を名乗りなさい……」

「うぇ?え、えっと……」

「えっと、『名前を教えて』って言ってます」

 

 

 名前……名前か。えっと……なんだっけ?これまでの記憶はあるのに自分に関することだけがすっぽりと抜け落ちたように思い出せない。どうしよう。

 

 

「え、っと……」

「さぁ、名を……」

 

「名前、わからなくて……」

 

「……」

「…………」

「………………?」

 

 

「「「えぇーーーーーーっ?!」」」

 

 

 一瞬顔を見合わせ、彼女らが疑問の声を上げたのは美しいまでにぴったりのタイミングだった。




えっちらおっちら更新していきます。
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