透き通るような世界観で地下に潜る   作:久保田紅葉

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大分難産でした……。

ちょっと文章がおかしいところがあるかもです。


アドビス砂の使い道

 アビドス生徒会長梔子ユメと正式に契約を結んでから数日後、阿仁(あに)マナコを支店長として2.5割増しした給料に釣られたヘルメット団員やスケバン達10数名がアドビス高校へと派遣された。

 

 数日後には砂の採取を開始したと連絡があったがマナコから連絡があったと同時に罵詈雑言が飛んできた。

 

 

 

「タンネ騙したね!砂の採取だけじゃなくて小鳥遊ホシノとのブートキャンプ訓練なんて聞いてないよ!」

 

「……だって私は言ってないからね。大丈夫大丈夫、3週間ぐらいで交代の人員を派遣する予定だから。それと……砂はいつ頃届きそう?」

 

「鬼!悪魔!タンネ!」

 

 

 

 再び罵詈雑言が受話器の先から飛んでくると同時に明後日、ハイランダー鉄道の貨物列車に連結させて大清水駅ヤードに到着する予定だと伝えられて電話を切った。

 

 

 

「……っとそうだ。オータム学園に受け入れできるか聞いておかないと」

 

 

 

 バイクで行くのもありだけど……開通したマイナリー支線を使って移動してみようと考えた。

 

 

 

「ヒイラ、ちょっとオータム学園に行ってくる」

 

 

 

 ヒイラに伝言を伝えてタンネは学園前駅に向かう。朝の便である2両編成列車がホームに停車していた。

 

 

 

『発車します、ご注意ください。次はオータム学園前です』

 

 

 

 ハイランダー鉄道の生徒が運転し、一路マウ・メープル駅へと向かう。乗客はほとんどいない。

 

 

 

(よくよく見たらこの気動車、国鉄のキハ20にそっくりね。まぁ原作でも巡航戦車のクルセイダーとか出て来てたし気にしないことにしよ)

 

 

 

『まもなくオータム学園前です。降り口は左側です』

 

 

 

 数分も乗車すれば次の駅、オータム学園前に到着する。目的地はここなので下車する。

 

 直ぐに発車するかと思いきや入れ違いをするようでしばらく停車していた。

 

 

 

「想像してたよりもオータム学園……大きくない?しかもあっちには引き込み線まで作られてるし……」

 

 

 

 とにかく、中に入ればオータム学園の生徒たちが忙しなく動き回っており、その中に見知った顔を見つけた。オータム建築学園総務部、男鹿カズサの姿であった。

 

 

 

「タンネ社長?お久しぶりです。今日は一体どのようなご用事で?」

 

「ええ、今しがたアドビス高校で採掘された砂が明後日の貨物列車で届くらしいからその受け入れ状況の確認をと思ってね」

 

「ようやくアドビスからの砂が届きますか!やっと準備した設備が唸り声を上げる日がきてくれました!ご案内いたします!」

 

 

 

 随分と興奮気味でカズサがタンネを案内していき、ヘルメットを被ってやってきたのは資材部。文字通り建築資材の建築を専門とした部活であるがタンネが訪れた時には全くといっていいほど稼働していなかった。

 

 

 

「随分と静かなようだけど……」

 

「原料不足で開店休業状態でして……材料さえ整えばいつでも稼働ができる手筈を整えております!」

 

 

 

 砂の加工として紹介されたのはガラス製造機と大型モルタルミキサー製造機が鎮座していた。当然材料がないので動いてはいなかった。

 

 

 

「受け入れ準備は万端……ってことでいいのね」

 

「はい!敷地内に引込線とコンベアを設置しておりますのでいつでも大丈夫です!」

 

 

 

 ……予定通り空荷の貨物列車といっしょに到着した砂を満載した石炭車がオータム学園所有の校内機関車によって引込線に入れられる。後は砂が加工に適しているかであるのかは実際に加工してみなければ分からなかった。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 「タンネ社長!アビドス砂漠の砂のことに関してなのですが、非常に多岐に使用できることが判明しました。ガラスをはじめとしてモルタル、コンクリートを製造可能となり!これでアドビスから運ばれてきた砂を建築資材に生まれ変わらせることができます!……ということはそしてあのスパリゾート計画を自前の資材で行えるということです!」

 

 

 

 オータム建築学園の総務部、男鹿カズサが興奮気味に生徒会室(社長室)に来ていた。やけに興奮気味の上、大声を出していたので同室で事務仕事をしていたヒイラの眉間にはシワがよっていた。

 

 

 

「カズサ……もう少し静かにしてくれないかしら?仕事の邪魔よ」

 

「それは失礼なことをいたしました。それとタンネ社長にはちょっとご相談したいことがございます」

 

「急に改まってどうしたの?」

 

 

 

 雰囲気をガラリと変えたカズサ。そこにはハイランダー鉄道学園マイナリー支線の時刻表があった。

 

 

 

「現在ハイランダー学園が運行している旅客列車は1日に5往復、朝夕に2往復、昼に1往復のみです。貨物輸送がメインの路線であるため仕方ないことではありますが……いかんせん利便性に欠けるとは思いませんか?」

 

「確かに……この前、オータム学園に向かった帰りが大変だったわ。……だとしてもどうするの?」

 

「現在マイナリー礦業学園前まで伸びている線路、こちらを一駅分延伸してそこを現在建築予定のスパリゾート(仮称)直結の駅として開業させます。そこから新たな鉄道会社マイナリー&オータム(M&A)鉄道を設立し、ハイランダー鉄道学園、トリニティーゲヘナ線のマウ・メープル駅まで乗り入れ運転を行うことで利便性の向上を行うことができると思います」

 

「なるほどね……そういう考えもあるけど……」

 

 

 

 タンネが戸棚からマイナリー礦産周辺の地図を取り出すと軽く記入してみる。マイナリー礦業学園前駅から北方向に2~3キロほど線路を伸ばしてそこにスパリゾートを建設する。温泉の源泉からは少し遠くなるがパイプラインを接続すれば問題はない。それに鉱山から離れているため騒音問題もないであろう。

 

 

 

「だけど何もないところから作るのは大変じゃない?線路しかり車両しかり……」

 

「私達を誰だとお思いで?建設工事から区画整理までなんでもお任せ、オータム建築学園ですよ!大船に乗ったつもりでいてください!」

 

「そ、そうなのね……任せても大丈夫……なのかしら?」

 

「はい!お任せください!」

 

 

 

 自信満々に答えたカズサ。不安要素を残しつつも許可を出してしまったタンネであるが許可を出してしまった手前、強く釘を刺すことは出来なかった。

 

 

 

「勝手に線路を接続はしないと思うけど……一応ハイランダー鉄道学園の方には伝えておいた方がいいわよ」

 

「う、うん。そうしておく」

 

 

 

 タンネがハイランダー鉄道学園に連絡を行い許可を得ると翌日からオータム建築学園の工事が始まった。地盤を固めてその上に砂利を敷き、レールとコンクリート製枕木を続々と敷設していった。マイナリー礦業学園から3キロも離れれば廃墟群は無くなり、ただの荒れ地が広がっており、スパリゾートを建設できる土地があった。

 

 

 

「よし、ここにスパリゾート(仮)駅を建設する!一世一代の大工事!気合いれていこー!」

 

「「「おーっ!」」」

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「――……ということで!駅工事が完了したとの報告に上がりました!」

 

 

 

 3週間後、次の採掘計画をスケバン三人衆とヒイラとで会議を開いているとカズサが生徒会室に入ってきた。

 

 

 

「……随分と早かったのね」

 

「はい!オータム建築学園総出で建築を進めました!今直ぐにでもご覧になりますか?」

 

「そうね。会議を終わるまで待ってもらってもいい?」

 

「大丈夫です!マイナリー礦業学園前に専用列車を待機させてますので!」

 

 

 

 カズサの言葉に疑問を覚えたがひとまず会議を終わらせることに力をいれて数十分後に会議を終わらせて全員で駅へと向かうことにした。

 

 開業当初、二面二線の旅客用ホームと貨物用ヤードで建設されていた駅にはハイランダー鉄道学園のマウ・メープル行の列車と出発を待っている石炭を満載した貨物列車が停車していた。その隣……いつの間にかホームと線路が増設され、三面五線と生まれ変わり、真新しいホームにはこれまた真新しいクリーム色と朱色のツートンカラーで彩られた2両編成の列車が停車していた。

 

 

 

「我らオータム建築学園が設計・製造した非電化区間用ディーゼル気動車試作第56号、通称キハ56号です!ささ、乗車して新規で敷設した路線の試運転といきましょうか!」

 

 

 

 うきうきで列車に乗り込むカズサ、ヒイラとスケバン三人衆は戸惑いながら乗り込み、許可を出したタンネは若干引き気味となっていた。

 

 

 

「ここまで丁寧にやれって誰が言ったんだよ。……私か。だけどこんな風になるとは想像できないじゃん」

 

「タンネ社長?、出発しますよー?」

 

 

 

 カズサに急かされて列車に乗り込むと列車はゆっくりと動き出す。廃墟が未だ残る駅前を抜けると荒野が広がっている景色が延々と続く。4人掛けのボックスシート席は想像よりも固くはなく、ふかふかであった。

 

 6分ほど荒野の景色を見ていれば列車は新駅のホームへと滑り込む。随分と長いホームが設けられているが最大で15両まで停車できるとカズサは説明した。

 

 

 

「仮称スパリゾート駅に到着です!……といってもまだ基礎工事すら始まっていませんけれどね」

 

 

 

 カズサの言う通り、駅前には重機が数台止まっているだけで他には何もない。振り返ればこれまた赤煉瓦造りの豪勢な駅舎が出迎える。

 

 

 

(ご、豪華っていうかこの駅舎、まんま東京駅をミニサイズ化したような感じじゃない!それに気動車は国鉄キハ58っぽいし、いい加減ツッコミに疲れて……き、た?)

 

 

 

 タンネが気がついたのは側線に停車していた一両の機関車であった。

 

 

 

「――内部は鉄筋コンクリートの煉瓦風ですので耐爆性に優れております!……おや?タンネ社長?どうされましたか?」

 

「ねぇ、カズサ。1ついいかしら……あの機関車は一体何なのかしら?」

 

 

 

 全員の視線が件の機関車へと向けられる。黒光りしている車体は丸みをおび、上部にある煙突からは完全燃焼の証である白っぽい煙が濛々とたち登っていた。

 

 

 

「カズサ?あの機関車は一体何なのかしら?」

 

「はい、えっと、オータムとマイナリー専用の入れ替え専用機関車のE型蒸気機関車です。今後必要になるとして製造された……」

 

「必要なのは分かるわ。でも何で蒸気機関車なのかしら?別にディーゼル機関車だって良かったじゃない」

 

「ええと、模型部が『蒸気機関車はロマン!ロマンを実現せずして何が模型部だ!』と意味不明な理由で勝手に製造してしまいまして……廃棄するにも勿体無いので入れ替え機関車として活用しています」

 

 

 

 なるほどなるほど……と納得できるはずもない。いつの間にか機関車がハイランダー鉄道学園の線路を走っているのである。流石に見過ごすことはタンネにはできなかった。

 

 

 

「勝手に機関車を運行するのは……」

 

「ちなみになんですがこの機関車、ハイランダーの富士ツバメさんからはマイナリー支線に限って定期列車の運行を妨げない限り走行しても構わないと許可をもらっています」

 

「そ、そうなのね……な、ならいいのかしら」

 

「タンネ、押し負けてるわよ。……とは言うけど貨車の入れ替え用機関車は欲しかった所だし良かったんじゃない?」

 

 

 

 ヒイラがオータム学園側に回ってしまった。礦産の財布を握っている彼女には勝てず、入れ替え蒸気機関車の保有が決まってしまった。




次回はちょっと時間が進みます。
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