カードじゃなくて「紙」が活躍中…健康保険の「資格確認書」 大きすぎて困惑する人も なんでそうなった?

2025年11月30日 06時00分 有料会員限定記事
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 従来の健康保険証代わりの「資格確認書」は、紙製のケースが相次いでいる。使い方は変わらないので、文字通り「紙の保険証」だ。サイズは、はがき大やA4判もある。12月1日の保険証の有効期限切れを前に企業の健康保険組合などのマイナ保険証を持たない加入者たちに届き、「持ち歩きにくい」と不満の声も。なぜ、プラスチックカードではないのか。事情を聴くと、悩ましさを漏らす組合もあった。(福岡範行)

◆過去には「再発行手数料1万円」もあったとか

 そもそも、どんな資格確認書があるのか。「こちら特報部」は11月に受け取った人たちに話を聞いた。
 「医療機関の人からは『ましな方だ』と言われました」。千葉県松戸市の会社員の男性(52)は、透明のカードケースに入れた資格確認書を取り出した。

資格確認書を手にする男性。紙製なので簡単に曲がった

 サイズは従来通りだが、紙製なので簡単に曲がる。今月中旬に職場で受け取って紙だと知り、「間違って破ってしまわないように」と100円ショップで保護用ケースを買った。
 資格確認書の再発行を避けたいのだという。「うちは良心的だと思うけど、(一時は)再発行手数料1万円のところもあった」。厚生労働省は5月、手数料が「社会通念上、過大なものにならないよう留意する」ことを求める通知を出したが、男性の警戒感は残る。マイナ保険証を持つ予定もない。「血税を費やした」マイナポイントなどの普及策に強引さを感じていた。

◆財布に収まりにくい「ハガキ大」

 新潟市の会社員の女性(41)は今月中旬、はがき大の資格確認書を受け取った。「いつ何があるか分からない」からと財布に入れているが、「大きいのでカードポケットに入らず、仕方なく札のところに入れています。クレカサイズが良かった」。マイナンバーカードは「持っていなくても特に不便はない」と感じつつ、「またポイントが付くなら、すぐに取得したい気持ちはある」という。

財布に入れた資格確認書(提供写真)

 佐賀県在住のパート従業員の女性(56)も、同じような大きさの資格確認書を受け取り、「あっ、これなんだ」と意外に感じた。80代の義母の資格確認書は保険証と同じカード型だったので、自分も同じだろうと予想していたという。
 「携帯の利便性や、破損や汚損の可能性はカードより劣るので、少し不満」だ。そもそも「なぜマイナ保険証(が基本の制度)に置き換えなくてはいけないのか」と疑問も。政府が従来の保険証廃止を決めた経緯の記録を残していないことは今も納得できていない。

◆「保険証と同じカード型だと、今まで通り使えてしまう」

 政府は、資格確認書のサイズをカード型、はがき型、A4型の3種類、材質を紙やプラスチックとし、各健保組合などが選択すると定めている。その結果、さまざまなタイプの資格確認書ができることになった。
 東京都内の企業の健保組合は、持ち運びやすさを考えてカード型を選んだ。ただし、紙製だ。担当者は「プラスチックでは(従来の)保険証と見分けが付かなくなる」と話した。紙製のはがき大を選んだ別の健保組合の担当者も「保険証との識別」を理由に挙げた。

プラスチックカード型の従来の健康保険証(右)と、紙製ではがき大の資格確認書(左)(一部、画像処理)

 紙製のはがき大にした関西地方の健保組合の担当者は、マイナ保険証の普及を進める国に歩調を合わせたことを明かし、「保険証と同じカード型にしてしまうと、今まで通り使えてしまう」と語った。
 マイナ保険証は医師らに診療や薬の詳しい履歴を伝えたり、救急搬送時にかかりつけ医や持病を伝えたりしやすい利点がある。けれど、この健保組合では「メリットまで目を向けない」人たちがいると想定。資格確認書の様式を決める際、マイナへの切り替えの促しやすさも考えたという。
 中部地方の健保組合の担当者は、マイナ移行を促す事情として、制度変更の影響を口にした。「資格確認書はなおさらコストを気にしなきゃいけなくなった」

◆資格確認書の発行は健保組合にとっては大変な負担で

 企業などの健保にとって、資格確認書の発行業務は従来の保険証業務と大きく異なる。一つは、最長5年の有効期限を決めなくてはいけなくなったことだ。企業などの場合、保険証は入社時などに一度渡せば更新はなかったが、資格確認書は期限が来るたびに発行が必要になった。前出の中部地方の健保担当者は「プラスチックではコストがかかる」と語る。
 さらに、資格確認書を渡す対象が全員ではなく、マイナ保険証を持たない人などに限られる制度になった。届けるべき人を漏らさないよう、加入者のマイナ保険証の保有状況などを確認する作業が生まれた。
 マイナ保険証を使い続ける加入者が増えれば、資格確認書の発行を巡る手間やコストは軽減される。担当者は、はがき大の資格確認書にしたことで「(利用者には)不便かなとは思う」としつつ、「マイナ保険証に移行してほしい」という考えがあると述べた。
 A4判の資格確認書を出す健保組合の担当者は「総合的な判断としか言えない。様子見しながら、見切り発車した」と述べた。

◆資格確認書の存在がとても助かっている現場もある

 名古屋大の稲葉一将教授(行政法学)は、「運用ルールがあやふやで好ましくない」と指摘す...

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