安倍氏ビデオメッセージに「絶望と危機感」…山上被告「悔しく受け入れられなかった」
安倍晋三・元首相が2022年7月に奈良市で演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人罪などに問われた無職山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第11回公判が25日、奈良地裁であり、2回目の被告人質問が行われた。安倍氏が21年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体に送ったビデオメッセージについて「絶望と危機感。非常に悔しく、受け入れられなかった」と語った。 【写真】検察側からの質問に答える山上被告(イラスト・構成 竹本佐治)
検察、弁護側双方の冒頭陳述によると、山上被告は母親が1998年までに総額1億円の献金をした教団に恨みを募らせ、安倍氏を狙ったとされる。
25日の被告人質問での説明によると、山上被告の家庭は母親の献金で経済的に困窮し、被告は2005年に自殺を図った。06~07年頃、大阪にいた教団幹部を襲撃するため、ナイフと催涙スプレーを持って来阪したが、実行には移さなかった。この頃、安倍氏が教団側に祝電を送っていたことを知り、安倍氏と教団を結びつけたという。
山上被告は、教団幹部への敬意を示した安倍氏のビデオメッセージに関し、「非常に長い期間務めた首相なので、教団が社会的に認められてしまう。教団の被害を受けた側からすると、怒りというよりは困るという感情だった」と発言。事件で使われた手製銃などについて、試射のため、奈良市内の山中に10回以上行き、計25~30回発射したと述べた。安倍氏を標的に定めたのは事件直前の22年7月だったとした。
被告人質問は12月2~4日にも行われる予定。
山上被告は初公判で殺人罪を認めた。公判では、被告の不遇な生い立ちが事件に与えた影響をどこまで量刑に反映するかが焦点となっている。