日本のモメンタムを上げるために尽力している企業に焦点を当て、創業からこれまでの歩み、未来の展望を深掘りする企画「モメンタムヒストリー」。
今回登場するのは、サイバーセキュリティ関連事業を展開する株式会社Flatt Security。
2019年のセキュリティ事業開始以来、5期連続の成長を記録。2024年にはGMOインターネットグループ株式会社から約10億円の増資を受けるとともに同グループに参画しています。
創業時から「外貨の稼げる1兆円企業」を目指し、グローバルに通用するプロダクト・サービスづくりに奔走する同社。
誕生からの軌跡を同社CEOの井手康貴さんと、井手さんが師と仰ぐサークルの先輩であり、株式会社LayerX CEOの福島良典さんに振り返ってもらいました。
——お二人は東大起業サークルの先輩と後輩だと伺いました。当時はどういった関係性でしたか?
井手:学年が離れているので、福島さんがサークルのビジネスコンテストの審査員や新歓のトークイベントに参加されているのを、大勢いる後輩の一人として見ている感じでした。
僕が入った頃から福島さんはサークルで最も結果を残されている方で、リスペクトしていましたし、今も一方的に師匠だと思っています(笑)。
起業に向けてFiNCやメルカリでインターンとして働いていた時期は、Gunosyでインターンをさせてもらうことも検討していて、相談なども乗っていただいてましたね。
——福島さんは、井手さんにどんな印象を抱いていましたか?
福島:後輩がたくさんいるなかで、毎年1人、2人くらい変わった子がいるんです。バイタリティがあって「この子は何かやるぞ」という予感がする。井手くんもその一人でした。
臆せずランチにもどんどん誘ってくるし、自分の意見も遠慮なくぶつけてくるし、いい意味で生意気な子だなと思っていましたね(笑)。
——“何かやるぞ”の予感通り、井手さんは大学在学中にライブコマース事業を立ち上げます。
井手:福島さんに出資をお願いしにいったら、「井手くんを応援するから出資するけど、事業はあんまり上手くいかなさそう」と言われたのを強く記憶しています。
福島:そんなこともあったね(笑)。
井手:当時は「絶対うまくいくだろ!」と反発する気持ちが湧きましたが、実際は理想とする水準まで事業を伸ばすのは難しかった。福島さんはやっぱり凄かったって思いましたね。
——「上手くいかなさそう」と言いつつ出資をした真意は?
福島:最初からアイデアが当たるケースってほぼないと思うんです。僕も偉そうに話していますが、LayerXでもGunosyでもピボットを繰り返しています。
なので出資を決める際に、その人自身のバイタリティやエネルギーの源がどこかを見て、応援するかを決めるんです。
井手くんは「ライブコマースがやりたい」よりも「世の中を変えたい」という思いが強そうに感じられたので、応援したいと思いました。
——その後、ライブコマース事業からセキュリティ事業にピボットされました。まったく異なる領域に思えますが、意思決定の背景は?
井手:根底にあるのは「外貨を稼げる1兆円企業をつくりたい」という想いです。大学入学前から日本は外貨をもっと稼がないといけない、そのために起業したいと考えていました。
1兆円をつくれる市場は限られるので、自然と選択肢も絞られます。なかでもセキュリティ業界は国内外で成長が期待される市場でした。
さらに僕は大学時代、ハッキングコンテストや競技プログラミングで優秀な成績を残すような情報系のサークルにも所属していたので、周囲には優秀な技術者がたくさんいました。
何より僕自身も技術が大好き。専門性の高さが武器になるセキュリティ事業は「向いている」「自分にしかできない」と直感しました。
——そこからは順調に事業が伸びていったのでしょうか?
井手:いえ、2度くらい危機がありました。
セキュリティ系のサービスを軌道に乗せるには一定の信頼と実績が必要です。つい最近セキュリティ系のサービスを始めた企業をお客様は信頼してくれませんから。
優秀なセキュリティエンジニアが揃っていたものの、お客様は増えず、以前の事業の譲渡金と少額の出資金で事業を回す日々。順調にキャッシュが減っていきました。
「いよいよやばい」と思ったタイミングで動き出し、何とか資金が尽きる2〜3ヶ月前に調達できました。当時はまさに自転車操業でしたね。
——当時、福島さんも株主の1人ですよね。状況をどう見ていましたか?
福島:資産表を見て「いやこれ潰れるじゃん」って思いましたね。「このままだと潰れるよ」と率直に伝えたのを覚えています。
福島:ドラスティックに現状を変えるための厳しい判断と動きが必要だと、それが会社や社員のためにもなると話した記憶があります。
井手:当時は状況を楽観的に捉えるバイアスがかかっていたと思います。福島さん含め、投資家の方々に厳しく指摘していただいて、やっとバイアスがなくなったんです。
そこからは一気に切り替えて、潰さないための行動に全力を尽くしました。
福島:瞬時に行動を変えられるかは、会社の生死を左右すると思います。
バイアスやしがらみにとらわれず、最適な選択肢を取れるか。切り替えと自己変革力が鍵になる。井手くんはそこがとにかく速かった印象です。
——ここからはFlatt Securityの現在地を伺います。改めて今の事業やサービスについて教えてください。
井手:現代においてますますその重要度を増しているソフトウェアプロダクトのセキュリティを守る、いわゆるプロダクトセキュリティ領域のサービスを複数提供しています。
なかでも脆弱性診断サービスを主軸としていて、ソフトウェアによる自動診断と専門のセキュリティエンジニアによる手動診断の両方を展開していることが特徴です。
継続性を担保できて安価な自動診断と、高価ゆえにより深い調査が可能な手動診断を一体化したサービスとして提供している企業は、まだ国内では多くはありません。
井手:また日頃から多くのプロダクトの脆弱性を報告したり、海外のハッキングコンテストで30,000USドルを獲得したり、実績のあるエンジニアが集まっているのも強みです。
とはいえ現状は、IT業界のなかで開発を内製化している一部の企業のみにご支持いただいている状態。「外貨を稼ぐ1兆円企業」に対する達成度は1%にも満たないと認識しています。
——2024年2月にGMOインターネットグループに参画したのも「外貨を稼ぐ1兆円企業」に向かうための決断なんでしょうか?
井手:GMOインターネットグループはインターネットインフラ事業を中核とした企業です。セキュリティはインターネットインフラと密接に関わる領域ですから、相性の良さは決定の前提として挙げられます。
ただ、当初はGMOインターネットグループに対して「安定した企業」という印象もあり、スピード感が失われるんじゃないかという不安も少しありました。
井手:ですが代表の熊谷さんと話してみると、そんなことはありませんでした。安定だけを重視するのではなく、大胆に組織を変革する意思を感じられましたし、実際に行動にも表れていました。
変わろうとする組織に自分たちが加わることで、プロダクトも会社も一層成長させ、世の中へのインパクトも成長速度も高めていけると考えました。
——参画時に「もう一度スタートアップをしようと思う」と題したブログを書かれました。なぜ今このメッセージを?
井手:GMOインターネットグループに参画したとはいえ、あくまで1つの会社として自律的に動ける状態を大切にしたいという思いがあり、それを伝えたかったからです。実際、今回グループ入りするにあたって、経営陣はほぼ株式を手放していません。
また、Flatt Securityは1兆円企業に向けてスタート地点に立ったフェーズです。「改めてスタートアップをする」くらいの強い気持ちでギアを変えて、事業成長にコミットしていこうと伝えたかったんです。
——成長に向けて「改めてスタートアップを」という考えは、福島さんも共感しますか?
福島:共感もできますが、あえて言うなら、少しだけ考え方を変えたほうがいいかもしれません。
スタートアップらしさとは「小ささ」「速さ」「リスクを取れる」に集約されると思います。
100人、300人の組織で、全員にスタートアップらしさが体現できるかというと、やはり難しい。
高い水準を求めすぎるとマネジメントのコストが異常に上がってしまうし、「スタートアップをやろう」と号令をかけても社員が白ける状態に陥ってしまう。
なので、スタートアップ的な経営と、いい意味での大企業的マネジメントの両立が必要だと思います。
福島:不確実性の高い新規事業などは、大きな裁量権をもつ少人数チームをスタートアップ的に組織する。
一方、特定の事業はいい意味での大企業化をする。専門性と確実性のある事業のなかで精度を高めてもらうわけです。
大企業的なマネジメントを何となく嫌う起業家は多いですが、そこにも一定の合理性があると思っています。
それに気付けず100人に対して10人のノリでマネジメントをすると悲劇が起こる。言語化されていない共通認識に無意識に期待してしまうことで、コミュニケーションにすれ違いが起こることもあります。
井手:なるほど…事業によって組織のあり方を変えていく必要があるんですね。LayerXだと、どういった領域をスタートアップ的に組織しているんですか?
福島:新プロダクトの開発や未開拓セグメントの攻略などはスタートアップ的なチームで取り組みます。
一方、着実に積み上げてきた事業領域は、同じ生産性でスケールアップを狙う。通常スケールアップとともに生産性は落ちていきますから、それはそれで非常に難しい。
極と極を両立させ、両方をしっかり賞賛する組織じゃないと、いずれは行き詰まってしまうと思います。
——組織づくりに関して、直近Flatt Securityではビジネス職の採用を注力されていますね。
井手:まさに今日、福島さんに相談したいと思っていました。
これから多様な業界やTierを攻めるためにビジネス職の採用が急務です。ですが、僕が学生時代に起業しているのもあり、リファラルできる元同僚が少ないのが悩みなんです。エンジニアと違ってリファラル採用ができない。
元々はLayerXも同様に、エンジニアの強い組織だったかと思います。ですが事業転換のタイミングでビジネス職の採用にも注力し、気付けば強力なビジネス組織を作り上げましたよね。どのように採用されたんですか?
福島:とにかくコミット量がすべてだと思います。たとえば「上場企業の経営層に毎月XX人は絶対に会う」とか決めてしまう。
そもそも人は信頼関係のない会社には転職しませんよね。優秀な人にスカウトメッセージで「成長している会社です」と伝えても大量のメッセージに埋もれてしまう。差別化要因になり得るのは人間関係だけです。
福島:だから、井手くんはシンプルに「エンジニアを採用できるまでにやったこと」を繰り返したらいいと思う。
僕も大学に入ってから一から勉強してエンジニアのコミュニティに入って、友達を作って.....と積み重ねてきたから、周りに知り合いがいるわけです。
営業を採用したいなら、自分で営業をやってみてコミュニティに入り、存在感を発揮して友達を増やしていく。そうすると信頼関係が生まれて「この人紹介するよ」と言ってくれる人が出てくるはずです。
井手:僕自身の動きをまだまだ改善できるということですね…耳が痛いです(笑)。
福島:LayerXでエンタープライズ営業の組織を立ち上げるときも、僕や役員陣が営業して困りごとの解像度を上げました。
「自分でやってみたらこういう困りごとがあって…」と具体的に話せる人と「詳しくわからないけど、こういうことをやってほしい」という人、どちらを助けたくなるか、答えは明白ですよね。身銭を切ってない人には誰も共感しないですから。
井手:たしかにマーケティング領域は自分たちで回して、課題もわかってから採用が素早く進んだ記憶です。「XXの領域なら力になれる」と答えも具体的に返ってくる。「まずは自分で飛び込む」は間違いないですね。
—特に今「こういう人に来てほしい」といった求める人物像はありますか?
井手:大きな挑戦に向き合いたい意思をもった人ですね。Flatt Securityはセキュリティ業界の慣習に挑戦していく立場。複雑な課題解決に熱量高く向き合える人を待っています。
社内には、顧客を解像度高く理解しようとする人が非常に多いです。全員がお客様の個人名を挙げられますし、社内にも「N1」というスタンプがあって、よく押されているのを見かけます。顧客と誠実に向き合いたい人にも合うのではと思います。
あとは技術が好きで、知的好奇心の高い人が多いので、ギークな方にもお勧めしたいです。隔週で勉強会が開催されていて、行動指針にも「ギークでミーハーであれ」が掲げられているんです。
——福島さんの視点では、どんな人がFlatt Securityに合っていると思いますか?
福島:前提として、グローバルだとセキュリティは超成長市場です。国内でも大企業のクラウド化やAIのサービスへの導入が進む中、セキュリティやテストのニーズは高まり続けていくはず。
一方で競争相手が少ない領域なので、Flatt Securityは今後確実に伸びていく。そういう確実に伸びる会社をスケールアップさせたいと腕まくりしている実力者には魅力的な環境だと思います。
福島:また、基本的に僕はスタートアップの方が成長する機会が多いと思っているので、大企業で悩んでいる人がいたら臆せず飛び込んできてほしいです。
「完成したものを売れる人」と「これから完成するものを売れる人」のどちらの市場価値が高まるのか。当然完成されていないものでも売れる、一緒に作っていけるほうがキャリアの幅は広がりますよね。
エンジニアもセールスも同じ。コーポレート職であっても「完成されたシステムのなかで働く側」と「システムを作る側」であれば、後者のほうが成長機会は増えるので。
井手:まさに大学時代に福島さんから「どれだけ覚悟して意思決定をして、フィードバックをもらえるかが重要」と話してもらったのを思い出しました。
僕も意思決定とフィードバックによる経験値が一番成長につながると思いますし、Flatt Securityは両方を得られる環境です。
市場的にも、事業的にも、頑張っていただければ結果が出る土壌はある。ぜひ腕まくりして飛び込んできてください。
Flatt Securityでは現在、マーケターやセールス、広報など、ビジネス職を中心に採用を強化中。YOUTRUSTでも、たくさんの応募やカジュアル面談を受け付けています。
今後“確実に伸びていく”市場”に飛び込み、事業も個人もスケールアップさせたい方はぜひ、下記の「話を聞いてみる」からFlatt Securityの募集ページをチェックしてみてください!
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