透き通るような世界観で地下に潜る   作:久保田紅葉

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ちょっと短めです。

戦闘描写ムズカシイ……


アドビスオジサンユメモドキ(未遂)VSマイナーテンセイシャ

 ヴァルキューレに連行された時はどうなるかと思ったけど誘拐は冤罪で済ましてもらったけど小鳥遊ホシノと共同で反省文3枚を書けば許してもらうことになった。それでいいのかヴァルキューレ。

 

 そんな私こと夕張タンネは今アドビス高校グラウンドに模擬戦闘会場を作り上げてホシノと相対しています。なぜ?と思われますがこれにはちゃんとした理由があります。

 

 その1つは私の戦闘能力、少し前に試したじゃないかと言われるがアレはスケバン相手を一方的にボコっただけなのでカウントには入らないと考えた。

 

 ならどうするか?キヴォトス随一の神秘を持っているとされている小鳥遊ホシノが目の前にいるではないか。

 

 

 

「本気でいっていいのね?」

 

「うん、全力でお願い」

 

 

 

 ホシノは防弾チョッキにハンドガンと愛銃のショットガン、Eye of Horusを構えていた。どうやら今回は重装甲シールドを使用しないスタイルでいくようである。

 

 それに対して私は自動式ショットガン(AA-12モデル)を両手で構えていた。サイドホルスターにはコルト・ガバメントモデル、しかしカスタマイズをして.45ACP弾から大口径弾.44マグナム弾を発射できるように換装したLAR グリズリーモデルであった。

 

 

 

「それじゃ、行くよー」

 

 

 

 ホシノの合図で私との模擬戦が始まる。私がショットガンの狙いをすませるよりも早く間合いを詰めてきたホシノはEye of Horusを私目掛けてぶっ放してしてきたのでバク転をしつつサイドホルスターからグリズリーを抜き、片手で射撃、狙いを定めていない牽制なのでホシノへ命中はしない。

 

 

 

「ちょっとー、スカート捲れちゃってるけど大丈夫?」

 

「スカート捲れたぐらいで恥じらってたら脳天に数発もらって気絶しちゃうでしょ」

 

「うへー、確かにねー」

 

 

 

 なんて軽口をたたいてみるけどホシノの動きについて行くので精一杯。ひとまずは物陰に隠れて様子を伺おうとするけれどそんな暇をホシノが与えるはずもなく即座に接近してきて痛打を与えようとしてくる。

 

 

 

「ほらほら、うかうかしてるとやられちゃうよ」

 

「近づくなって!いってるでしょ!」

 

 

 

 近づき確実に仕留めてようと近づいてきていたホシノ、それを逆手にとって逆に私の方から急接近して蹴りをホシノの胴体へといれた。

 

 近づいてくるのは想定していなかったのか慌てた顔をしたまま蹴られてバリケードへと突っ込み土煙があがっている。だがこの程度の蹴りでホシノが気絶しているはずがない。

 

 だけど軽い脳震盪を起こしている可能性もある。もしそうであるならトドメを刺そうと近づくと胴体に衝撃があり、今度は私が吹き飛ばされる。

 

 

 

 配置された瓦礫に突っ込む。私も私で凹んだドラム缶から気絶せずに立ち上がることができた。軽くホコリをたたいてみるが怪我1つない。どんだけ丈夫なんだ私。

 

 

 

「まさか接近して蹴ってくるとは思わなかったよ。一発ももらわないつもりだったのにー」

 

「いっつつー。ホシノも派手に蹴っ飛ばされたけど痩せ我慢してるんじゃない?結構いいところに入って痛いとおもうんだけど」

 

「あはは、バレてる?鳩尾(みぞおち)に入って呼吸しづらいしめちゃくちゃ痛い」

 

 

 

 ホシノもホシノで痛いといいつつ、軽口を叩いている。私もそうだけど頑丈すぎないかキヴォトス人たち。

 

 その後は片方が接近していこうとすれば逃げる。そしてまた押せば引くというのをしばらく繰り返していた。

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ…………ちょこまかと動くなよホシノ!う、動くと当たらないでしょう!?」

 

「そっちだって動き回るじゃん!動くなよ!」

 

 

 

 なんとかホシノの攻撃を避けてはいるもののちょっとづつ疲労と怪我が増えていっている。多分ホシノもそうなんだけど若干あちらの方に利があるようで、私の息が上がっているのにホシノは全くといっていいほどに息が上がっていなかった。

 

 

 

「はぁ……きっっっっつ」

 

 

 

 ドラムマガジンと44.マグナム弾マガジンを装填し直してバリケードからホシノの方を覗き込んでみるが……。

 

 

 

「いない?……まさか」

 

 

 

 先ほどまでホシノのヘイローが浮かんでいるのが見えたが今はどうだ姿も形も見えない。ここで見失うのは非常にまずいが何処にいったのか検討もつかない。

 

「隙ありだよタンネ!」

 

 ホシノの声が上から聞こえて慌てて上にショットガンを構えるがそこには天高く登っていた太陽が私の視界を一時的に奪う。太陽を背にしてホシノがジャンプして飛んできたのである。

 

……見事に嵌められたと思った瞬間には意識を失っていた。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「タンネさん。目が覚めましたか。今お医者様を呼んできますが……体調の方は大丈夫でしょうか」

 

 

 

 私の意識が戻って来ると知らない天井とナース服をまとったネコ獣人、左右を見回すと隣のベッドにはクソデカ緑髪のアホ毛が揺れており、梔子ユメ先輩が寝ているベットがあった。

 

 どうやら私がユメ先輩を担ぎ込んだD.U.地区の病院に運ばれて入院……といった感じであろう。ゆっくりと身体を起こそうとするとおでこから頭にかけて激痛が走る。触ってみればおでこの当たりに包帯がぐるぐるっと巻かれていた。

 

 

 

「ああ、無理をしては駄目ですよ。頭部からかなりの量を出血していましたし、しばらくは安静にしていてください」

 

 

 

 ネコ獣人ナースから再びベッドに寝かされるとユメ先輩のベッドの脇、ショートツンツンピンク髪の小鳥遊ホシノが顔をしおしおにしながら正座をしていた。

 

 さらに、首からは何やらプレートが下げられており。『私はタンネの頭にスラッグ弾を打ち込みました ごめんなさい』とかかれていた。1発ぐらいなら大丈夫じゃないかと思っていたがユメ先輩が能面みたいな顔をしてホシノを叱っていた。

 

 

 

「……だからホシノちゃん。いくら模擬戦を頼まれてからって本気にしすぎてスラッグ弾を全弾、それも頭に向けて撃ち出すのはどうかと思うよ」

 

「ゆ、ユメ先輩。これには深い理由があって……本当は私からお願いしたことなのでそんなにホシノを責めないで……」

 

「タンネちゃんは後でゆっくりとお話を聞きますから。今のところは黙っていてくださいね」

 

「ひ、ひぃん……」

 

 

 

 目を細めた笑顔でこっちを向いたユメ先輩の顔が怖い。ホシノに助け舟を出そうとしたが反論すらできずに撃退されてしまった。

 

 ユメ先輩のホシノに対する説教は1時間弱ほど行われてその間ホシノはずっと正座のまま説教を受けていて足が痺れてそのまま床に寝そべっていた。一通り済んだのか『ふぅ~』と息を吐いている。どうやら私への説教は……

 

 

 

「次はタンネちゃんね。さ、ここに正座して」

 

 

 

 oh……残念だけど正座する運命からは逃れられないみたいだね。

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