デスマーチから始まる透き通った世界
転生という言葉を耳にしたことがあるだろうか。そう、創作上でよく目にしたり聞いたりする話だ。もちろん創作上だけど話だと思っていたが……。
「ははっ、まさか自分がそんな目に合うとは……」
昨日は仕事がデスマーチ真っ只中、つかの間の休息で酒をしこたま呑んでから吐いてそれを洗い流そうと酔っ払ったまま風呂に入ったまでは良かった。その後の記憶がないし目を覚ましたら風呂場でもないし汚い汚部屋……ではなくヒビの入ったコンクリートの壁と床、どうやら冷たいコンクリートの床で寝ていたようである。身体中が痛い。身体を起こし起き上がろうとすると眼の前にはあるはずもないものが目に入った。
「髪……?あれ、私?わたし?そもそもこんな声だっけ?」
声がなんだか変だし妙に身体が重い。風邪かもしくは寝ぼけているのだろうと思い足下をみてみれば、ちいさいながらもある筈の無い胸の膨らみがある。目にかかる髪もどうやら本物のようであった。いつの間にか下はスウェットだったのにスカートになっており覗き込めば自分の息子がきえていた。
流石に服はきていたものの普段着とは違い、どこかの学生服を着てその傍らにはよくシューティンゲーで見かけるAA-12……のようなショットガンと学生証がある。
学生証を見てみれば『夕張タンネ』と書かれているが学校名のところは塗りつぶされていて読めない。おそらくこの身体の持ち主であろうがどうして私が中に?……と思ったがその原因が傍らに置いてあった。医薬品、それも睡眠薬と思わしき空になった空瓶がおいてあった。
「えっ、嘘?まじか……えぇ?」
目を覚ましたらODしてた長身白髪の女子学生になって廃墟でショットガンと添い寝してたとかどんな世界線で起こりうるんだ。まさかすべてに絶望したポストアポカリプスの世界に来てしまったのだろうか。流石にそんなことはないだろうと陽の光が入る窓……今は割れて窓枠だけであるが、そこから外の景色をみればあちらこちらから煙が上がり、時折銃声のような音が聞こえていた。
……そして何より空には見たことのない奇妙な輪っかがいくつも空に浮かんでいた。……まさかとは思うけど。
「ここはもしかして……ブルーアーカイブの世界?なら銃が身近にあるのも……えぇ?マジかぁ……」
三度目のため息である。性転換した上、転生したら「ブルーアーカイブ」の世界でした。ヨハネスブルクやタイの犯罪都市も真っ青なほど超銃社会とか生き残れる気がしない。そしてまさかとは思うけど……上を見上げたらやっぱり頭の上にヘイローが浮かんでいた。
黄色い大きな円の中にこれまた黄色い星が一つ入っている普通の?……ヘイローである。
「なんかどっかで見たことある形のヘイローだなぁ……思い出せないならいいか」
ヘイローのことは置いておくとしてここは……どこかの自治区じゃなさそうだしブラックマーケットかな。だとしたら色々とやりようはある。
「まずは……お金だよねぇ」
何をするにしても金はかかる。幸い手持ちので少し持っているようであるが足りない。それにさっきから北の方をみればなにか光っている物が見えている。見えないように意識すれば見えなくなるが無意識だと常に視界へと入ってきてうざったい。
目をこすってみても全然とれないので、それが一体何なのか確認したいけどそうすると移動手段や食糧を買い込めば絶対に手持ち金が足りなくなる。
地道に働いても良いが……ここはブラックマーケット、弱肉強食で法律など存在しない場所、地道に稼いでも奪われる可能性があるが、かといって大っぴらに悪事を働きやり過ぎればマーケットガードの反撃に会う可能性があるがそこまで派手にはやらない。
「よし……一丁やってみますか!」
◆ ◆ ◆
「なぁーそこのお嬢さん。頼み事があるんだけどさ?」
「ちょっとだけでいいからさ、お金貸してー」
目覚めた廃ビルにショットガンを隠して腰のホルスターに入ってた
「いいよ、といいたいんだけど……」
「ほんとか!じゃあ10ま……」
スケバンの一人が話終わる前にその顔面へ右ストレートを叩き込んだ。突然のことに反応が遅れたスケバンは碌な受け身も取れずに吹き飛んで壁に激突して動かなくなる。ヘイローが消えたので気絶したようである……多分。
「私の右ストレートでよければ……だけど」
「テメェ……!」
もう一人のスケバンがサブマシンガンを向けるが引き金に手をかけるよりも早くコルト・ガバメントを引き抜いて脳天に二発ぶち込むとそのまま倒れて動かなくなった。
いや、この身体どうなってんだよ……。ただでさえ丈夫なギヴォトス人をストレート一発で仕留めるとか、それに無意識だったとはいえコルト・ガバメントを脳天にぶち込むとか……元ヴァルキューレの学生かSRTだったんじゃないのか?
「ちょっと罪悪感あるけど先に手を出したのはそっちだからね。……えっと財布財布」
それはさておき気絶したスケバンの懐を漁ると財布が2つ、中を見れば合計で3,4万ぐらいは入っていそうであった。カツアゲしなくてもとは思う……ちょっとだけ借りていくだけだから。銃とか弾薬は追い剥ぎもしないでおいてあげるから。
「あ、後で返しますぅ……」
一応気絶したスケバンを建物の影に寄せておいておく。気絶している内に追い剥ぎなんてされたら目覚めが悪い?からね。
無事(?)に資金を手に入れることができたので次は生活必需品である。着替えに予備の弾薬、移動用の自転車、それとツルハシとスコップ……あれ?いつのまに買ったんだ?記憶にない。
まぁ買ってしまったのならしかたがないし何もおかしなところはないよね。
「嬢ちゃん、一体何するつもりだい?」
「ん、ちょっとお宝探ししようかと思って。それとここから北にいった荒れ地って誰の土地かわかる?」
「あそこか?んー調べてみんとわからんが確か誰の土地でもないと思うぞ」
「そっか、ありがとね!」
ホクホク顔の小売店の店長からいい情報を聞き出し、買った自転車に荷物を積み込んでいざ目的の地へ!自転車を踏み出した。
「ねぇーそこのお嬢さん。ちょっと私達とお茶しない?」
まさか自転車で走り出して数秒で別の不良女学生に絡まれるとは思わなかったよ。これも鉄拳制裁して小遣い稼ぎをしてから目的地へと向かった。
◆ ◆ ◆
視界に映る光の方へひたすらに漕ぎ続けて約半日、そこはちょっとした廃墟のある場所ではあるが見渡す限り荒野であった。
はるか遠くには巨大なヘイローが見えるのでD.U.からはかなり離れていそうである。
「んー、光る方に向かって走っては来てみたけど……何もない。ひょっとしてもしかするかもだけどこれって地下にある?」
なんで無意識にツルハシとスコップを買ったんだと思ったけどこのためか。仕方がない。掘るか。
「よっと!」
自転車を止めて自転車にくくりつけてたスコップで地面を掘ると思いの外柔らかい。……いやギヴォトス人のパワーがあるから柔らかく感じるのかもしれないけどこれなら楽に掘れそうである。
とりあえずは10メートルの50メートルぐらいの広さで掘って……深さとりあえず2メートルぐらい。学校のプールみたいな感じで掘ってみる。当たり前だけど何も出てくるはずもない。
「そいうことならとことんやってやりますか!」
出ないっていうんだったら徹底的に掘ってやろうじゃないか!上着を脱ぎ捨てて掘り出す。ブラウスが汗で濡れるのなんて関係ない。掘れるか私の体力が切れるまでとことん掘ってやろうじゃないか。
作者の癖ぇ!を詰め込んだ夕張タンネちゃんです。
【夕張タンネ】
名字の由来はおなじみ(そうか?)夕張炭鉱から。名前であるタンネは炭鉱を少しもじったのと私の癖キャラの一人から取らせてもらいました。
身長 171cm
誕生日 11月1日
血色の良い白い肌に青白っぽい髪で腰辺りまでありそうな長い髪を後ろでまとめて下におろしている(ポケモンのチリちゃんみたいな感じ)。
ギヴォトス人にしては身長が高いが胸はデカくない。ケツもクソデカといかず(比較的)小さめ。そんなんで大丈夫かと思われるが中には腹筋にはしっかりと筋肉が詰まっている。
そのため私服は女物をあまり着ようとはせず男物ばかり着ている。そのためちょっと繁華街をあるけば夢女子が大量発生する。
目の色は赤。
角や羽は無く、普通の人間態(普通って何だ)。
ヘイローの色は黄色。
モチーフはかつて北海道で鉄道や炭鉱で商いをしていた北海道炭礦鉄道会社の社紋。
大丸の中に星がある。