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全国プロデューサー検定Lv.7が考える、デレステという「愛」と「ビジネス」の天秤

明日からの2日間、私は幕張メッセで開催される「CINDERELLA GIRLS fes. Once Upon a St@rs」に向かいます。

公式に「デレステのラストライブ」と銘打たれているわけではありません(文脈としては、むしろ先日のKアリーナ公演こそがそれに近かったと言えるでしょう)。
しかし、9月に10周年ツアーが完結し、アプリの更新が縮小された今、「スターライトステージ(デレステ)」の文脈を色濃く残すライブは、これが実質的に最後になるだろうと、私は感じています。

なぜなら、今回のライブタイトルからは既に「STARLIGHT STAGE」の文字が外れ、原点である「CINDERELLA GIRLS」の名義へと回帰しているからです。
「St@rs」という単語に最後の残り香を感じつつも、これは一つの時代の終わりを告げる象徴的な変化です。

「昔々あるところに」を意味するライブ名が示す通り、10年の歴史が「過去」になろうとするこの瞬間に、私は深い感謝と、冷徹な現実を同時に突きつけられています。

本稿では、ファンとしての「愛」と、ビジネスの「論理」。
この二つの視点から、デレステが直面している「現実」と、これからのコンテンツの在り方について考察します。

第1章:数字が語る「撤退」の正当性と、投資家の視点

まず、感情論を一旦脇に置き、冷徹な「ビジネスの論理」だけで今回の出来事を解剖してみます。
すると、運営元であるバンダイナムコグループの判断は、経営戦略として極めて「合理的」であることが分かります。

ここ数年のバンダイナムコホールディングス(BNHD)の決算資料を読み解けば、その理由は明白です。
同グループは、「トイホビー事業(ガンプラ、ONE PIECEカードゲーム等)」が記録的な利益を叩き出す一方で、「デジタル事業(家庭用・スマホゲーム等)」は苦戦を強いられていました。

特に2023年度から2024年度にかけては、開発費の高騰や新作オンラインゲームの不振を受け、デジタル事業で数百億円規模の評価損を計上しています。
投資家からの突き上げは、「好調なフィギュアやカードで稼いだ利益を、ゲーム開発の赤字が食いつぶしている」という厳しいものでした。

しかし、この切迫した状況下で、企業が資本効率を最優先するならば、導き出される『定石』があります。
それが、「選択と集中」です。

リリースから10年が経過し、製品ライフサイクルとして成熟期を過ぎた『デレステ』のリソースを縮小し、その開発力や予算を、今まさに市場で爆発的な初速を見せている新規IP――すなわち『学園アイドルマスター』など――へ再配分する。

「売上が落ち着いた古参タイトルを整理し、成長分野に投資する」。

一人の投資家としてこの局面を見れば、この判断自体を否定することはできません。
資本の論理において、停滞した事業のリソースを、より高い利益が見込める場所へ移動させることは、企業存続のための「定石」だからです。

しかし、このあまりにも「数字の上では正しい判断」こそが、今回の騒動の火種でした。

私たちプロデューサーが感じた違和感の正体。それは、コンテンツビジネスにおいて「PL(損益計算書)」や「BS(貸借対照表)」には決して計上されない、「目に見えない資産」の価値が、この合理的な計算式から抜け落ちていたことにあります。


第2章:ファンが最も恐れた「時間のリセット」

デレステというコンテンツの成功の核は、単に美しい3Dモデルや、洗練されたリズムゲーム部分だけではありません。
もちろん、それらが当時のスマホゲームの常識を覆すクオリティであったことは間違いありませんが、10年愛され続けた真の理由は別にあります。

それは、ファンを「プロデューサー」という当事者に変え、「アイドルと共に時間を築き上げていく」という情緒的な契約にありました。

私たちにとって、費やした時間とお金は、単なる消費(サンクコスト)ではなく、アイドルとの思い出という「資産」への投資でした。
だからこそ、ファンが最も恐れるのは、企業の都合によってその「積み重ね」が無意味化され、リセットされることです。

今回の最大の問題は、縮小という事実そのもの以上に、過去の経緯を含めた文脈が、この「情緒的契約」を裏切るものだった点にあります。

ここで思い出されるのが、2023年にサービス終了した『アイドルマスター シンデレラガールズ(モバマス)』の記憶です。
あの時、多くのプロデューサーが歴史あるタイトルの終了を涙ながらに受け入れたのは、ある一つの「希望」があったからです。

それは、「ソーシャルゲーム版が終了する分、そのリソースや魂が『デレステ』へと統合され、さらなる進化を遂げるはずだ」という期待でした。

デレステには明確な弱点がありました。
それは、豪華なMVやストーリーを「見る」ことはできても、プロデューサーが選択肢を選び、運命に介入するような「コミュニケーション」の要素が希薄だったことです。

だからこそ私たちは信じていました。
モバマスの終了は、その「対話の深さ」をデレステに移植し、見るだけのゲームから、真に担当アイドルを「プロデュースする」完全体へと進化させるための布石なのだと。

しかし、現実はどうだったでしょうか。
その「進化のチャンス」は無下に捨てられました。
統合による進化どころか、受け皿であるはずのデレステまでもが、機能拡張ではなく縮小へと舵を切ったのです。

「モバマスの魂を引き継いで、最強のデレステを作るのではなかったのか?」

この問いへの沈黙は、ファンに対して致命的なメッセージを与えました。
それは、「企業が行ったのは『発展的な統合』ではなく、単なる『順次撤退』だったのではないか」という、拭いきれない疑念を抱かせました。

象徴的だったのが、ゲーム内アイテムとしての「砂時計」の実装や、イベント更新の停止といった一連の施策です。

企業側からすれば、これらは「プレイ時間の短縮」や「運営コストの削減」という機能的なアップデートに過ぎないでしょう。
しかし、終わりの気配を感じ取っているファンの目には、それらは「消化試合の合図」として映りました。

「時間をかけて楽しむもの」から、「効率的に消化して終わらせるもの」へ。

この「時間」に対する扱いの変化こそが、ファンコミュニティに走った亀裂の正体だと、私は考えています。

私たちは、アイドルを愛していたのであって、単にリズムゲームのスコアを効率よく稼ぎたかったわけではありません。
この「顧客インサイト(本音)」を見誤ったまま進められた合理化は、結果として、最も大切にすべきロイヤルカスタマーの信頼を、静かに、しかし確実に削り取っていきました。


第3章:「Fun for All」との矛盾が招く長期的なリスク

この一連の対応が、私たちファンにとってこれほどまでに痛みを伴うのは、バンダイナムコグループが掲げるパーパス(存在意義)である「Fun for All into the Future.」という美しい言葉を、私たちが信じているからです。

「世界中の人々に楽しさと感動を届け、未来に向かって……」

企業がこの理念を本気で追求していることは疑いません。
しかし、今回のデレステ縮小劇という現実を前にした時、ファンはどうしても一つの疑念を抱いてしまいます。

「その『All(すべての人)』の中に、10年間支え続けてきた私たちは、もう含まれていないのだろうか?」

もちろん、企業活動においてリソースは有限です。
すべての事業を永遠に続けることは不可能です。
しかし、あまりに準備不足な「受け皿無き幕引き」は、ファンに対して「収益性が落ち着いたコミュニティは、未来(Future)を創るパートナーとしては優先されない」という、寂しい現実を突きつけられたように感じさせます。

こう言うと、ビジネスサイドからは反論があるかもしれません。
「他のブランドは用意している。そちらを楽しんでほしい」と。

しかし、声を大にして言わせてください。
アイドルマスターにおいて、その理屈は通用しません。

私たちが愛し、時間を共に歩んできたのは「シンデレラガールズ」のアイドルたちであり、その固有の物語です。
どれだけ新しいブランドが魅力的でも、それがそのまま「代わりの受け皿」になるわけではありません。
「推し」への愛は、替えの効かない(非代替性のある)感情です。

「こっちが終わるから、あっちへどうぞ」という安易な誘導で済むほど、プロデューサーとして過ごした時間は軽いものではないのです。

この「顧客の期待と、企業の提供価値とのズレ」は、巨大IP全体に対する長期的なブランドリスクになり得ると私は考えます。

なぜなら、「推すことへの躊躇」を生んでしまうからです。

例えば今、素晴らしいスタートダッシュを切っている『学園アイドルマスター』があります。
しかし、デレステの最後を見たプロデューサーの心には、ふとブレーキがかかるかもしれません。

「今、この新しいアイドルたちに情熱や時間を注ぎ込んでも、また数年後、企業の論理で一方的に関係を断たれるのではないか?」と。

ブランドへの信頼とは、「この企業なら、自分の『好き』を預けても大丈夫だ」という安心感の上に成り立っています。
その安心感が揺らげば、ファンは「熱狂」することを恐れ、心の距離を置くようになります。
これはマーケティング的な損失というだけでなく、10年かけて醸成された「熱量」という代替不可能な資産が冷えていくことを意味します。

昨今の市場においても、企業の評価は単なる短期的な売上だけでなく、「エンゲージメント(顧客との絆)」の深さや持続可能性が重視されるようになっています。
株価や業績といった数字の向こう側に、私たちファンの「心」がある。
そのことを、今回の出来事を通じてもう一度、深く考えていただきたいと願うばかりです。


結論:愛されたコンテンツの「誠実な幕引き」とは

この一連の出来事から導かれる結論は、短期的な数字を改善するための「合理的な判断」が、長期的にはブランド価値を毀損する「戦略的なミス」になり得るという教訓です。

企業が利益を追求し、事業を整理するのは当然の行為です。
しかし、10年愛されたコンテンツの幕を引く時、そこには単なるサービスの停止以上の、慎重な「儀式」と「準備」が必要です。

今回の最大の問題は、ファンへのリスペクトを欠いたコミュニケーションと、あまりに拙速な判断にありました。

もし、あと1年かけて丁寧に「アイドルマスター ツアーズ」のような次なる場所への導線を敷き、そこで「デレステで築いたアイドルとの思い出」が何らかの形で尊重され、生き続けることを具体的に示すことができていれば、状況は違ったはずです。

ファンに「プロデューサーとして過ごした時間は無駄ではない。形を変えて、次はここで花開く」というメッセージを誠実に伝える努力があれば、私たちは痛みの中で納得し、次の未来(Future)へとついていくことができたでしょう。

最高のコンテンツの幕を下ろすコストは、短期的な利益追求の成果を遥かに上回る「信頼資本の喪失」という形で現れます。

「愛のコスト」を見誤った代償は、決して安くはありません。
私たちは、この痛みを伴う教訓が、今後のコンテンツビジネスにおいて、ファンという存在を「数字」ではなく「パートナー」として再定義するきっかけになることを願うばかりです。


最後に。

明日から始まる『Once Upon a St@rs』。
その会場には、ビジネスの理屈や事情を超えて、アイドルを支え続ける誇り高きプロデューサーたちが集います。

アプリの更新が止まろうとも、私たちがアイドルと共に歩んできた「プロデューサーとして過ごした時間」の価値は、誰にも奪うことはできません。
どんなに冷徹な現実が待っていようとも、この2日間だけは、最高の魔法にかけられに行きましょう。

10年間の感謝と、これ以上ない愛を込めて。
アイマス最高!


※本記事の見出し画像に使用しているゲーム画像の著作権は、株式会社バンダイナムコエンターテインメントに帰属します。 THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

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「バーテンダー」に惹かれる人情味ある人間模様を。 最近は、ジンの飲み方について研究しています。(レモンが沢山採れたので) ホロライブなど、VTuber文化から得たインスピレーションも散りばめます。 イラストやコンテスト時はGoogle Geminiにお願いしています。
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