Tetsuya J. Kobayashi, Qbio@IIS UTokyo

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Tetsuya J. Kobayashi, Qbio@IIS UTokyo
@QbioTetsuya
Prof.@ Lab. for Q-Bio@Institute of Industrial Science, UTokyo 発言は個人のもので所属組織とは関係ありません Also at mathstodon.xyz/@crmind

Tetsuya J. Kobayashi, Qbio@IIS UTokyo’s posts

質問があったので、複雑系が廃れた理由についてもう少し書いてみます。なお自分は複雑系ブームのピークが過ぎた2000年に修士1年で、複雑系の薄暮を学生として見つつ、別分野(システム生物学)などに取り組んだ世代なのを明記しておきます。1/n
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学問とは、先人が10年かけて見出したものを、後から学ぶ学生や新規参入者は数ヶ月学ぶだけで最先端に追いつける、という情報圧縮性が重要だと思います。複雑系に関してはこれが成立しなかったと思います(なので次世代につながらなかった)。10/n
そういえば生命情報若手でこんなの出して「理論生物と生命情報の微妙な距離感」について話したのがちょうど5年くらい前だった。隣り合う系統は生命科学の中で相性が良いし、学習効率もいい。
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Covid関係の良い要約。東大先端研児玉先生。 校正機能で変異は当初少ないと思われていたコロナがなぜこれほど変異するのか?従来ワクチンとRNAワクチンの抗原提示の違いと液性・細胞性免疫の増強の違い、その症状・重篤化との関係など、知りたいことがまとまっていた(論文付) ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig
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複雑系が廃れた理由は複数あると考えています。少なくとも、 (1) 風呂敷を広げすぎて有象無象が群がりバズワードとして消費された (2) 重要な問題は多く提起したが、複雑系として解けた結果や or 体系化できた結果が少なかった (3) 当時の他の分野のブームで相対的に縮小した があると思ってます。2/n
物理学会パワハラ体質記事、質問の枕詞の有無から始めているのが問題をこじらせていると思う。パワハラ質問と枕詞の有無は多分ほぼ無関係。なぜなら、枕詞が頻出する工学や医学系の学系でも外から聞いても嫌らしいなと思う質問はたまに出てくるので。言葉使いが丁寧なだけ。
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なお、分野が活気を帯びるには若い学生や研究者が参入し、新しいアイディアで研究に取り組めることが最も大事だと思います。そのために、学生が半年・1年勉強するだけで(比較的簡単に)最先端に追いつける、という状況を成立させることが分野として不可欠であり、教科書とか教育の整備も重要です。15/n
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結局「複雑系」という言葉が大風呂敷として消費されたのが学問として一番残念なところなのですが、2000年あたりはこういう言葉作りが予算獲得のために流行っていた気がします。システム生物学も色々な分野の予算取りのキーワードとして消費されました。今だと「AI」とかもそんな感じでしょうか。13/n
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(1) の理由がまず一番大きくて、カオスや自己組織化の流れをくみ、数理や物理を基礎に活動してい初期の研究者に対して、後半は色々な分野の人が「何でもかんでも複雑系」のノリで言葉(だけ)を使い始めてしまいました。4/n
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なお、情報圧縮性は学問として確立するのには重要ですが、情報圧縮性が無い(or なかった)研究自体が無意味かというとそういうことは無いと思います。複雑系の問題に全うな形で取り組んでいた研究自体は価値があるものです。11/n
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複雑系に先行して発展し、後に複雑系の一部として(少なくとも一時的には)扱われたトピックとして、低次元カオス、自己組織化、分岐、同期、非平衡物理、非線形物理などがあります。これらは学生として学べる(先人の努力が情報として圧縮された)結果や教科書がある程度ありました。7/n
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しかし複雑系として中心的に議論されていた高次元カオスや複雑適応系などはシミュレーションが主で理論がなく、参入するには先人が行ったシミュレーションを追体験するしかありませんでした。パラメータ空間も膨大で、興味を持った学生が独自に結果を再現をするのも簡単ではなかったと思います。8/n
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また、衰退した分野は重要ではないから衰退したわけでは無いので、そこで醸造された問題を、10年、20年後に別分野などで発展した新たな技術や手法をもとに振り返ると、今の技術で解けるようになっている問題も現れたりします。19/n
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一方、複雑系(と関連トピック)が立ち上がって10年ほど後に学生になった我々のような世代には、(2)の特に学問として体系化できていなかったという点も複雑系に取り組まなかった理由として重要です。6/n
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さらにシミュレーションから重要な部分を切り出すところで言語化できない「カン」みたいなものは確実にあり、その研究を行ってきた実績と経験のある研究室以外で、ちゃんと研究を成立させるのが難しかったとも思います(このあたりは結構実験科学にも似ているかも)。9/n
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結局、予算取りとして研究分野が利用され(流行っているように見えること)と、実際に分野が活気を帯びて世代を超えて研究が継続する、というのは大きく違うという当たり前のことなんだと思います。14/n
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複雑系の問題(1, 2)と並行して新たな分野(3)が台頭してきたので、複雑系研究室に所属していた人材はそちらに流れたと思います。また同期現象・自己組織化・非平衡物理など、一旦複雑系に取り込まれたがそれ自体で基礎を確立していたトピックは、複雑系と袂を分かち継続して発展を続けています。12/n
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そのため学問的に重要であっても、(革新的な突破口がなく)技術的に難しくなりすぎて新しい研究をするのに何年もの勉強をする必要となる分野はどうしても衰退していきます。分子生物学勃興直前の定量生物学はまさにこのような状況で衰退したと思います。16/n
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閉塞した分野の横で、技術的ブレイクスルーなどを背景に学生でも新参者でも今ならやれることがいっぱいある、という分野ができるとそちらが流行りますし、それがアカデミア全体での健全な新陳代謝だと思います。初期の分子生物学や機械学習、システム生物などもそうして萌芽し成長してきました17/n
D1の中村さんの修士の仕事がPhys.Rev.Lettに公開されました。 非線形最適フィルター理論を援用して、環境のリガンド(匂い分子)を感知するバクテリアの感知系が、理論的に最適な構造を有することを示しました。また実験的に観測されている制御関数も理論的に再現しました(1/n)
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なお、閉塞した分野が意味が無いかというとそんなことは無いです。新しい分野に若手が参入するにしても、なにかをするにはなんらか基礎が必要です。多くの場合、それらは閉塞したがその分研究の難易度は上がっている分野で鍛えられたものだったりします。18/n
授業向けに「理論生物からみた生物分野」の曼荼羅を作成中。自分の中で主に4分野に大別できるとおもっているのだけれど、他に抜けてるトピックとかあるでしょうか?(to:関係者の皆様) 生命起源系で生物物理と進化・生態がつながるので周期境界条件にしたい。。。
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年末に、化学反応系のヘッセ幾何学構造のプレプリントを2報アップしました: [1] arxiv.org/abs/2112.12403 [2] arxiv.org/abs/2112.14910 [1]は清水流熱力学理論からヘッセ構造を導き出した一般的な結果です。 [2]は質量作用則から同じ構造がどう現れるかを反応速度論の視点から扱ったものです。 (1/n)
理論生物の研究に必要で最近代数幾何の勉強をしている。 力学系・確率・統計・幾何・代数・最適化・情報理論など学生時代に計数の授業で一通り触れたが、生物の研究には力学系や確率(過程)以外ほとんど使えないと当時思っていた。(1/3)
システム生物学の記念碑的な論文であるElowitz &Swainでゆらぎの定量化で使ったDual reporter systemのアイディアを情報量推定に拡張しました。手法の提案に加え大腸菌の化学走性の系で実際に検証しています。卒業生の中村さん、阪大石島さん福岡さんとの共同研究です。
博士の堀口さんの論文が公開されました: journals.aps.org/prresearch/abs 一般に流布しているワディントン地形の解釈や描像は不完全であり、一般化勾配流構造がそこを埋める数理的基礎であることを示したものです。玄人向けですが、とても重要な内容だと思っています。(1/n)
グラフやハイパーグラフ上のダイナミクスに関する情報幾何学構造を取りまとめた論文、やっと出版されました。長い論文になってしまったので大変でしたが、reviewer1が神reviewerで、ものすごい詳細なreviewを送ってくれて大変感謝しました。
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Information Geometry
@SN_INGE
✨Recently accepted by #informationgeometry, "Information geometry of dynamics on graphs and hypergraphs" by Tetsuya J. Kobayashi, Dimitri Loutchko, Atsushi Kamimura, Shuhei A. Horiguchi, Yuki Sughiyama #小林徹也 #上村淳 #堀口修平 #杉山友規 #東京大学 🔓 link.springer.com/article/10.100
明日が大反省会なので、前に公開した「システム生物学って何だったんですか?(前編)」を再掲します。私も現地参加します。楽しみです。#MBSJ2024 zenn.dev/crmind/article
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姫岡 優介
@yhimeoka
分子生物学会のプログラムが出ました! シンポジウム「システム生物学大反省会」では、黒田さん、近藤さん、金子さん、北野さんという超豪華メンバーに反省をいただき、北沢さん、上田さん、畠山さんら若手がそれを受けて講演、最後に全員での総合討論を予定しています! pub.confit.atlas.jp/ja/event/mbsj2
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