備忘録|ネット上の「誹謗中傷」に関する法的考察
はじめに
本稿は、インターネット上での「誹謗中傷」をめぐる法的な問題について、私的な学習の為に調査した結果を整理した備忘録です。
本文に入る前に、予め、本稿の留意事項と目的をご確認いただければと思います。
【ご留意いただきたい点と本稿の目的】
⚫︎私は、法律の専門家ではありません。
⚫︎本稿は、加害者にならないための戒めを主目的としており、刑事告訴や民事訴訟を推奨、または助長する意図はございません。
⚫︎内容は、ネット公開情報や書物、AIの知識を基に構成しており、正確性を保証するものではありません。
⚫︎本稿は、合法か違法かの判断基準を示すものではありません。法解釈は、専門家の中でも分かれるものです。一つの「目安」としてお受け止めください。
⚫︎万が一、記載内容に誤りがございましたら、ご指摘いただけると幸いです。
⚫︎法解釈に関するご質問には一切お答えできませんので、ご了承ください。
⚫︎本稿を鵜呑みにして起こした行動が係争に発展しても、筆者は一切責任を負いかねます。
さて、一口に「誹謗中傷」といっても、「誹謗」と「中傷」は別個の概念であり、適用される法的責任も異なります。
これらは、ネットを利用する限りは、誰にとっても決して無関係とは言い切れない身近な問題ですので、自衛の為にも最低限の知識は身に付けておくに越したことはないでしょう。
ネット利用においては、誰もが意図せず加害者となったり、あるいは被害者やトラブルの原因者(遠因)として疑われる立場として、また傍観者として、こうした問題に巻き込まれるリスクとは常に隣り合わせです。
本稿では、特定の人物や事象への言及は避け、あくまで一般的なケースとして、ネット上の誹謗中傷に関する法的枠組みを概観していこうと思います。
ご興味のございます方は、お付き合いいただければと思います。
「誹謗」と「中傷」の定義および適用され得る罪状
【誹謗】
他人を悪く言うこと、そしること。 罵(ののし)る行為。 悪口や罵倒が中心。内容の真偽は問わない悪口。刑法231条の「侮辱罪」に問われる可能性あり。
【中傷】
根拠のない嘘やでたらめを言いふらし、他人の名誉を傷つけること。 虚偽(嘘)の情報の捏造や発信、またはデマを流す行為。
刑法230条の「名誉毀損罪」に問われる可能性あり。
【誹謗中傷】
「誹謗」と「中傷」、すなわち、他人を悪く言ったり、根拠のない嘘を言いふらしたりして、人を傷つける行為の総称。悪意のある言動全般を指すこともある。
侮辱罪や名誉毀損罪などの刑事罰に問われる可能性あり。
また、いずれの場合も、民事上の不法行為(損害賠償請求)に問われる可能性もある。
【具体的な事例のイメージ】
⚫︎誹謗の例:「Aさんはバカだ」「ブス」「キモい」など、具体的な事実を伴わず、相手の人格や外見などを否定・侮辱する悪口。
⚫︎中傷の例:「Bさんは浮気をしている(真偽不明)」「C店はネズミがいる(デマ)」など、根拠のない虚偽の情報を流布して名誉を傷つける行為。
二つの罪状に関する詳細
(1)名誉毀損罪(刑法第230条)
⚫︎成立要件 :公然と、事実を摘示し、人の名誉(社会的評価)を毀損すること。
⚫︎重要なポイント:「事実の摘示」 が必要。「脱税している」「前科がある」などといった、具体的な事柄の指摘。
⚫︎真偽の扱い:原則として真偽は問わない。摘示された事実の真偽によらず、名誉毀損罪は成立する。
⚫︎法定刑:3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金。
【真実性の証明と例外規定】
名誉毀損罪は、摘示された事実が真実であっても成立するのが原則です。これは、刑法が「個人の社会的評価」を保護の対象としているためです。
ただし、以下の3つの要件すべてを満たした場合に限り、刑法第230条の2第1項により、例外的に罰せられない(不処罰)と定められています。
①公共性:公共の利害に関する事実であること。(例:政治家の汚職、企業の不祥事など)
②公益目的:専ら公益を図る目的であったこと。私的な恨みなどではないこと。
③真実性:その事実が真実であると証明されたこと。または、真実であると信じられる相当の理由があったこと。
三要件全てを認められた場合、その行為は罰せられない(不処罰)と定められています。
【虚偽(デマ)が事実であった場合の考察】
デマ、あるいは確証がないことを認識しながら、情報を流布して名誉を毀損した行為は、たとえ後にそのデマが事実だったと判明したとしても、原則として名誉毀損罪が成立する可能性が極めて高いです。
犯罪の成立は「行為時」の認識(故意)に基づいて判断されるため、行為時(デマを流した時点)に「虚偽である」という認識があった場合、若しくは、事実である確証が何もなかった場合、「専ら公益を図る目的」の要件を満たすことが難しく、例外規定の適用を受けることは困難となります。
(2)侮辱罪(刑法第231条)
⚫︎成立要件:事実を摘示せず、公然と人を侮辱(社会的評価を下げる抽象的な言動)すること。
⚫︎重要なポイント:「事実の摘示がない」 ことが名誉毀損との決定的な違いである。
(例:「バカ」「アホ」「キモい」などの抽象的な罵倒など)
⚫︎真偽の扱い:侮辱罪は事実の摘示がないため、真偽は一切問われない。
⚫︎法定刑:1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料。名誉毀損罪よりも軽い刑罰になっている。
両罪の共通要件と補足事項
⚫︎共通要件:両罪の成立には、「公然」と 行為が行われることが必要です。これは、不特定または多数の人が認識できる状況を意味します。
⚫︎該当する例:インターネット上の掲示板、公開SNSやブログ、不特定多数に伝播する可能性のある場所での発言。
⚫︎原則として該当しない例:1対1の非公開なメッセージや手紙など。
【親告罪と民事上の責任】
名誉毀損罪と侮辱罪は、被害者からの告訴がなければ公訴を提起できない「親告罪」です。
また、刑事上の責任とは別に、被害者は「不法行為(民法第709条)」に基づき、民事上の損害賠償(慰謝料など)を請求することが可能です。
プライバシーの侵害
日本の法律には、プライバシー(権)の侵害そのものを直接罰する刑法上の罪はありません。
しかし、プライバシーを侵害する行為は、その内容によっては法律違反に該当する場合もあります。
中でも、刑事罰の対象となる可能性がある罪をあげてみます。主な罪は以下の通りです。
(1)名誉毀損罪(刑法230条)
⚫︎前述しましたので略します。
(2)脅迫罪(刑法222条)
⚫︎成立要件:相手の生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知し、脅したと認められる場合。
⚫︎例:プライバシー情報を公表すると脅す、あるいは住所を特定した上で「家に行く」などと告知した場合など。
⚫︎法定刑:2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
(3)不正アクセス禁止法違反
⚫︎成立要件:他人のIDやパスワードを無断で使用したり、セキュリティの隙を突いたりして、コンピューターやサーバーに不正にアクセスした場合。
⚫︎例:他人のSNSアカウントやメールに不正にログインし、プライベートな情報を閲覧・取得した場合。
⚫︎法定刑:3年以下の懲役または100万円以下の罰金。
(4)個人情報保護法違反
⚫︎成立要件:個人情報取扱事業者が、個人情報保護委員会の命令に違反したり、不正な利益を図る目的で個人情報データベース等を不正に提供・盗用したりした場合など。主に事業者に対して適用される。
⚫︎例:企業や従業員が、顧客の個人情報を不正に持ち出したり漏洩させたりした場合。
⚫︎法定刑:違反内容によって異なりますが、懲役刑や高額の罰金刑(法人に対しては1億円以下の罰金など)が科されます。
【民事上の責任】
刑事罰とは別に、プライバシー権の侵害は民事上の不法行為(民法709条)に該当します。したがって、被害者は加害者に対して損害賠償(慰謝料など)を請求したり、侵害行為の差止めを求めたりすることができます。
信用毀損罪および業務妨害罪
名誉毀損罪が、個人の「社会的評価」を保護するのに対し、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法第233条)は、法人や個人の「経済的な信用」や「業務活動」を保護するための犯罪です。
(1)信用毀損罪
⚫︎概要:虚偽の風説の流布または偽計により、人の経済的信用(支払能力や商品の品質など)を毀損すること。
⚫︎法定刑:3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
(2)業務妨害罪
⚫︎概要:虚偽の風説の流布、偽計または威力により、人の業務(経済的活動、公益的活動)を妨害すること。
⚫︎法定刑:3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
【「業務」の定義】
刑法上の「業務」とは、社会生活上の地位に基づき継続的に行う活動を指します。
また、営利目的の活動(ネットショップ、YouTuber、オンラインサロン、アフィリエイター、ウェブライターなど)だけでなく、非営利の公益的活動(学校、病院、NPO法人など)も含まれます。
【実際にあったネット上での信用毀損罪の適用例】
⚫︎イラスタレーターに対し、「この人の作品はすべて盗作である」という虚偽の情報を流布し、売上と評判を落とした。
⚫︎ハンドメイド作家に対し、「素材を偽装している」という虚偽の情報を流布し、売上や評判を大きく落とした。
⚫︎個人の投資家やコンサルタントに対し、「あの人は破産寸前で、顧客の資金を流用している」という虚偽の情報を流布した。
「信用毀損罪」および「業務妨害罪」は、あくまで経済活動や仕事という側面を害した場合に成立する犯罪であり、近年、ネット上でも、主にネットビジネスでのトラブルにおいて適用されるケースが増加傾向にあります。
おわりに
以上、インターネット上で頻繁に発生する「誹謗中傷」「プライバシーの侵害」「業務妨害(信用毀損)」という三つの主要な法的トラブルについて、その概要をまとめてみました。
インターネット上では、これら以外にも「著作権」や「肖像権」に関する紛争なども多発しています。
しかし、これらの権利侵害は、専門性が高いことと、本稿の一番の焦点である「誹謗中傷」などの人格権や信用に関する問題とは若干性質が異なるため、今回は取り上げませんでした。
本稿を通じて最も強調したい核心は、インターネット上での何気ない言動であっても、予期せず重大な法的責任を伴う可能性があるという点です。
私たちは、自身が被害者となる事態に対しては過敏になりますが、知らず知らずのうちに加害者となっている可能性については、往々にして意識が及びにくいものです。
自身の発言が、いずれかの法的問題に発展し得るという強い自覚を持つこと……それこそが、インターネットを賢明かつ安全に活用するための基礎となります。
この機会に、ご自身のオンラインでの振る舞いを振り返り、「加害者」になっていないか、改めて検証してみることを推奨させていただきます。
かくいう私も、ですが。


すごくわかりやすい説明、ありがとうございます。 みなさんが冷静に読んで、学んでくれるとうれしいですけど…。 しかし、必ずしも、思うようにいきませんね。 背を打たれる日々が続いている中、福田さんが退会されました。無念の思いを痛感しています。 私も、新たに思うことを追加して、記事を書…
私もまゆさんと同じ即席の裏アカなので、何を書いても信用されないことは承知していますが、どちらかに強く肩入れすると、一層信用を失うことは分かっているので、裏アカが裏アカに何を言ってるんだ、って話になりますが、まゆさんの投稿やコメントには客観性が欠けていたと思います。 身も蓋もないこ…