シカのフン拾うロボット開発 奈良の中学生が国際大会へ

渡辺七海
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 地を駆け巡り、シカのフンだけを拾う。そんなロボットを奈良教育大付属中学校科学部の3人が開発した。3人は小中高生らによるロボットのコンテスト「ワールド・ロボット・オリンピアード」(WRO)の日本大会で最優秀賞を受け、18~21日にオンラインで開かれる国際大会に出場する。

 開発したのは科学部2年生の杉田光優さん、酒田悟充さん、市千輝さんでつくるチーム「Memories」。中学校に3人を訪ね、ロボットの躍動ぶりを見せてもらった。

 白い紙が敷かれた机の上をロボットが走り出す。正面にあったシカのフンを模した黒塗りの発泡スチロール玉を、回転ローラーで拾い上げた。有線でつないだパソコンには、ロボットに搭載したカメラによる映像が表示され、発泡スチロールを「Deer」(シカ)と判定。白い玉には反応しない。

 ロボットのカメラ映像をパソコンに送り、画像認識プログラムでシカのフンを検知、情報をBluetoothでロボットに送り、動かす仕組みだ。検知のために、フンとそれ以外の画像計1万枚以上を学習させ、「深層学習」(ディープラーニング)を利用した画像認識のプログラムを開発した。85%の精度でフンとそれ以外を見分けられる。

 3人はWROの中でも、あるテーマに対する解決策を、ロボットを開発して提示する「オープンカテゴリー」にエントリー。先月3日に開かれた日本大会決勝で最優秀賞を受け、国際大会への切符を手にした。

 今年のテーマは「PowerBots - The Future of Energy(エネルギーの未来)」。3人は「シカのフンをバイオマス発電に活用する」というアイデアのもとに、フン拾いロボットを作ったのだ。その正式名を「移動型シカ糞(ふん)バイオマス発電」という。

 まず発電について調べていた杉田さんが、家畜のフンから発生させたガスを発電に利用する方法に目をつけた。奈良人にとってフンといえばシカ。奈良公園にはシカが約1100頭もいる。「なるべく地元にあるモノを使いたいと考えたとき、シカのフンが有効活用できると思いました」と杉田さん。

 画像認識システムの開発には、科学部の先輩たちの先行研究が役に立った。3年生のチームは昨年、シカの交通事故被害を減らすため、カメラでシカを認識すると、音を発信したりして道路から遠ざけるという研究に取り組んでいた。

 そしてアメリカで開かれる別のコンテストの国際大会出場が決まっていた。だが大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。3人は、その3年生チームから学び、認識システムを応用、発展させていった。先輩たちの思いも胸に臨む国際大会になる。

 最優秀賞を受けた日本大会では、高度な画像認識システムの開発や、画像認識とロボットのモーターを制御するプログラムを別々の言語で開発し、リアルタイムで連動させることを可能にした技術力が評価された。市さんは「高度なプログラミング言語を使ったのは初めてで、苦労しました」と振り返る。

 国際大会のプレゼンでは英語で語りかけないといけない。酒田さんは「いままでは前に出るようなことをしてこなかった。新しい自分に変われるように頑張りたい」と意気込んでいる。

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