ITサービス事業を軸とした業態変化を支えているのが人事制度改革だ。20代で部長級になったり、定年後に給与がアップしたりする例もある。経営戦略と人事戦略を連動させ、変化のスピードをさらに上げる考えだ。
富士通コーポレートデジタル本部の淺間康太郎シニアマネージャーは、1996年生まれの29歳。2025年4月、わずか入社5年目にして部長級に昇格した。今は社内向けシステム開発部門で20人強のチームを率いている。主な任務は、AI(人工知能)の社内活用に向けてどのようなサービス基盤を構築するか、投資額や人員体制も含め長期的な戦略を策定することだ。
「社内で転職している感覚」
淺間氏は24年、ポスティング(手挙げ)制度によって自ら現部署に異動した。以前は組織のカルチャー変革を推進する部門で、社員のキャリア支援などを担当していた。生成AIを活用したワークショップを開催するなどして次第にAIに熱中するようになり、現部署のマネージャーポストを志望した。「幹部社員としてマネジメントするに当たって、想像できていないこともたくさんあると分かった上で、覚悟を決めてやってみようと思った」と淺間氏は振り返る。そしてその翌年、部長級に昇格した。
富士通は20年度にポスティング制度を大幅に拡充し、自律的にキャリアを選択するよう促している。社内の空いているポジションが常時公開され、自ら応募することができる。ある社員は「社内で転職しているような感覚だ」と語る。ポスティング制度の拡充後、応募者数は計約3万5000人、異動者数は1万3000人を超えた。
同社はIT(情報技術)サービスの事業ブランド「Uvance(ユーバンス)」を打ち出し、事業ポートフォリオと、それに並行して人事制度を改革している。従来一般的な会社主導の人材配置や教育では、市場の目まぐるしい変化に対応することは難しい。成長が期待できる分野に、モチベーションを高く持って集まってもらう。ポスティングはそのための仕組みの一つだ。
これは同時に、従来型SI(システムインテグレーション)の枠組みを壊す取り組みでもある。長年同じ業界を担当するシステムエンジニア(SE)や営業担当者が多いことで風通しが悪くなり、組織が硬直化していたからだ。
(職務内容を明確に示す)ジョブ型雇用制度も進めてきた。20年に管理職を対象に導入し、段階的に拡大した。26年度以降の新卒入社者にも適用し、新卒一括採用や学歴別初任給を廃止した。
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