日本社会に食い込んだ異形の中国系巨大詐欺組織 人身売買や資金洗浄…首領は東京・港区に一時潜伏か
カンボジアの詐欺拠点では、日本人が拘束される事件も相次いでいる。プリンスグループとの関連はまだ不明だが、関係している可能性が高い。 ▽「日本カンボジア協会」に食い込むプリンス プリンスグループは英米だけでなく、アジア各国にも進出。そのうち韓国と台湾、シンガポールでは、当局が強制捜査を開始している。日本では現在、捜査機関が動いている情報はない。 しかし、すでにプリンスグループは、カンボジア現地の日本人社会や、日本国内へと触手を伸ばしていたことが判明した。 足掛かりの一つとなったのは、日本とカンボジアの経済、文化交流などを目的とした一般社団法人「日本カンボジア協会」(東京都新宿区に事務局)だ。 協会のホームページによると、1963年に外務省の認可を受けて設立。後の経団連会長となった故植村甲午郎氏が主導した。2014年から一般社団法人となり、現在は元駐カンボジア大使の高橋文明氏が会長を務めている。理事には安藤隆春元警察庁長官の名前があるほか、高村正彦元外相が名誉会長を務めており、民間の交流窓口となる公的性格が強い団体だ。
しかしカンボジア現地の日本人や協会関係者らによると、協会は近年、急速にプリンスグループと接近したという。 きっかけになったのは2022年、事務局長の男性がプリンスグループとの接点を持ったことだ。日本進出を企てるプリンスグループが開いた国内イベントで事務局長が講演。事務局長は「プリンスグループの役員の皆様が来られ、有意義な協議ができました」とフェイスブックに投稿した。 グループの関連会社を協会の会員に引き入れたのも事務局長だった。共同通信が入手した協会の内部メールによると、2023年6月、グループの日本子会社「プリンス・ジャパン」が入会を申し込んだ。事務局長の紹介だった。事務局長は次のような文面で、協会の理事らに承認を求めた。 理事の皆様へ プリンスホールディングスは、カンボジアのチェン・ジー氏が経営するコングロマリットです。 今回、イギリス、タイ、台湾に続き、日本に支社を開設することになり、日本の優れた製品やサービスをカンボジアで展開することを想定されております。