「固定資産税は600万」「今の住民はパチンコや医療・美容整形業界の社長ばかり」 日本一の高級住宅街《六麓荘》その知られざる住宅売買事情
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莫大な財産の持ち主は大豪邸を購入後、上物をすぐに解体する場合もある。更地にして土地だけをひとまず確保し、土地を寝かせている間に設計や材料の取り寄せなどに時間をかける。何年もかかってからようやく施工が始まり、基礎工事もまた大規模なものとなる。マンションを建設するかのような大掛かりな基礎工事で、完成した豪邸はまるで迎賓館のようになる。 「まだ売れていない物件まで含めると、私たちが引き受けているもので20億円という中古物件がありました。それも、六麓荘の物件です」(同前)
開発当時の六麓荘の地価は坪あたり25円、高価な場所でも45〜50円だった。今のJR芦屋駅の北側にあった田園地帯の地価が300坪で700円相当。それと比べれば、いかに高価だったかがわかるだろう。 ■秘密裏に売却していく 六麓荘で年間に売却される物件は4〜5軒程度と非常に希少で、以前は地元に根づく不動産会社が全体の7〜8割方の物件を扱っていた。 1980年代と今とでは土地の流通形態も変化して、不動産業者間での情報共有がかなり進んだ。土地を素早く売却したいというニーズに応じて、不動産業者が売却情報を閲覧できる専用サイトがあり、このサイトに登録業者がログインすると、売り物件の情報が簡単に拾えて、エンドユーザーにいち早く売却できるようになった。
もっと言えば、かつては不動産業者が情報を抱え込んで他所の業者には伝えなかったのだ。一度の契約で2倍稼ごうと、売り主と買い主の両方から仲介手数料を取るための囲い込みばかりが横行していた。 現在は、宅地建物取引業法の改正で、売却物件の情報共有が義務付けられた。北は北海道から南は沖縄まで、業者は全国中の物件情報を閲覧できる。 ただし──。 「なかには土地や建物を人様に目立たないように売却したい人もいる。そんな方々は『専任媒介契約』といって、特定の不動産業者だけに売却を依頼できます。場合によってはサイトにも掲載せず、業者間の共有もしないケースもあり、これは宅建業法に抵触する。売却したい人が複数の業者に依頼しないのは、所有者が売却情報の漏洩を嫌うからです。
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