「固定資産税は600万」「今の住民はパチンコや医療・美容整形業界の社長ばかり」 日本一の高級住宅街《六麓荘》その知られざる住宅売買事情
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■築3年だろうと容赦なく解体 六麓荘の邸宅は、終の棲家となるのが前提である。移り住む人たちにとって妥協はできない。 たとえば、築3年と新築のようなキレイな豪邸が建っていようと、その物件を買った新しい家主は取り壊した後に、新しい豪邸を建築したがる。1つの敷地だけで建てて壊して建てて壊してを繰り返し、10年の間に3人も家主が代わり、建築物が3回建ったケースもある。 住民の話によると、バブル期に買われた大豪邸で入れ替わりが激しい物件があるという。バブルが弾けると、家主は事業に行き詰まったせいか、銀行に家屋を差し押さえられた。
すると、銀行は“住民の質”までは審査しないため、高く買ってくれる人に優先的に売る。こうして売却が繰り返されていく。 「最近、急成長した会社の社長宅も、もともとは同じ敷地に母屋と離れがある、大きなお家でした。それを壊して造ったのが、ヨーロピアン調のリゾートホテルのような超豪華なお家。上物はよっぽど歴史のあるおウチやないと、潰すことが多いんです(笑)」(六麓荘町の住民) 六麓荘に住むことは、人生の集大成といってもよい。この社長はもともと、六麓荘の南にある高級住宅街、岩園町に立派な豪邸を持っていた。会社が好調なのもあって、岩園の豪邸を売ってついに六麓荘に来たという。
いくら売却したとはいえ、自身の建てた家が解体されるのは快くないだろう。売り主の中には、買い主に「この家をぜひ、(解体せずに)使ってください」とお願いする人もいる。だが、別に「家を壊すべからず」という契約は結んでいない。 「家は物で、お金に換えた以上はそこで愛着を捨てないとダメです。中には、庭木すら切らないでほしいという売り主だっているんです。あの木は切っちゃ駄目だとか、この花壇はこうして育ててとか……」(同前)
愛着がありすぎて、売却寸前に契約破棄したケースもあったという。だったら、売りに出さなければよかったのに……。 ■最も高かった物件は「20億円超え」 六麓荘の物件を扱う不動産業者によると、「今まで取り扱った物件で一番高かったのは、20億円は軽く超えていた」という。 「六麓荘で一番高値がついたバブル期というのは、1988(昭和63)年から1992(平成4)年頃まで。坪単価で500万から700万円! 700万円といえば、駅前の一等地と同じくらいの値段で、短期間でしたが異常な値段でした。今、10億円の土地だったら、その3倍の値がつく計算。異常以外の何ものでもありませんでしたね(笑)」(芦屋市の不動産業者)
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