絵で成功したいときに「絶対にしてはいけないこと」とは? -『絵師サバイバルガイド』chap.1無料公開②-
絵を仕事にしたいと考えている方、そして現在クリエーターとしてお仕事をされている方の悩みを解決する書籍『コレで生き残れる!! 絵師サバイバルガイド』が12月12日(金)に発売いたします!
プロのイラストレーター・YouTuberとして活躍するさいとうなおきさんによる新刊です。こちらの発売を記念して、第1章を無料公開中✨
今回は、『絵で成功したいときに絶対にしてはいけないこと』をお届け!
▼前回の①『自分に合った制作の頻度を考える』はこちら
▼書籍詳細はこちら
著:さいとうなおき
イラストレーター。1982年生まれ、山形県出身。多摩美術大学卒業後、コナミデジタルエンタテインメント入社、現在はフリーランスで活動している。クリエーターに役立つ情報を発信するYouTuberとしても活動中。著書に『うまく描くの禁止 ツラくないイラスト上達法』『技の書 キャラクターイラスト徹底解説』(小社刊)などがある。
X:https://x.com/_NaokiSaito
YouTube:https://www.youtube.com/@saitonaoki2
『コレで生き残れる!! 絵師サバイバルガイド』(著:さいとうなおき)
【CHAPTER1 1カ月に1枚しか描けなくてもいい?】より
【2】絵で成功したいときに絶対にしてはいけないこと
趣味で描く分には意識しなくてもいいのですが、あなたが絵で成功したいなら、特に最初は絶対にしてはいけないことがあります。
それは、絵やコンテンツを作るとき、多くの人が楽しめるものにしたかったら、
最初は絶対に豪華な作りにしてはいけません!
必ず、これだけは無ければいけない要素だけでできた、つまり最少単位で絵やコンテンツを作り上げてください。
「豪華な方がいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、僕がこのように考える理由は3つあります。
<理由1>魅力が曖昧になる
「これだけは無ければいけない要素だけでできた」は、「余計なモノは極力入れない」ともいえます。
「そんなの当たり前だよ」と思う人もいるかもしれませんが、人はその絵に対して本気であればあるほど、余計なモノを入れたくなります。
「これで本当に十分だろうか」と不安になって、キャラクターの人数を増やしたり、エフェクトを追加したり、描こうと考えていた以外のモノを追加したい衝動に駆られます。
ですが、これをしてしまうと魅力が分散してしまって、一番見てほしいメインの魅力が失われてしまう大きな原因になります。
さらに言えば、魅力が十分ではないものに、他の魅力を足して誤魔化そうとする場合さえあります。
特にあなたが駆け出しのクリエーターの場合、描くものはできるだけ最小限に抑え、その限られたものに全ての魅力を注ぎ込むことをおすすめします。
<理由2>面白さや楽しさは「豪華さ」ではない
もう少し具体的な話をしましょう。
僕がよく見かける失敗例として、次のようなものがあります。
1 きちんとした設定を作る
2 絵を豪華にする
3 作品に関わる人を増やす(アシスタント・外注など)
僕は、これらのことは全て後でいいと思っています。
なぜなら、人が「面白い! 楽しい!」と感じることの中に「豪華さ」はあまり含まれていないように感じるからです。
極端な例ですが、子育て2コマ漫画の犬犬さんが分かりやすい例でしょう。次のページを見てください。この漫画はものの見事に「豪華さ」を全て排除して、最小単位の魅力だけで人々の興味を引いています。
妻の証言を元に作成しています 本日の育児してない漫画です 5/26 pic.twitter.com/NiLCXnfVVu
— 犬犬 (@inu_eat_inu) May 26, 2022
塗りや線はもちろんのこと、人物の造形や描き込みに至るまで、全てが「簡素」な作りです。「豪華」からは程遠いように感じますが、この漫画のポストには9万以上の「いいね」がつきました!
ものすごい注目度ですよね。
これは最も極端な例かもしれませんが、イラストの場合においても、他の分野においても、同じことがいえると思います。
<理由3>継続できない
そして最小単位で作る方がいい最大の理由がコレ。継続性です。
いくらSNSが発達した現代とはいえ、創作を長い間続けていかなければ、多くの人に魅力を伝えることはできません。
たとえ魅力的な絵を作り出せたとしても、継続できなければ、見つけてもらいにくくなるからです。
そのような状況で今の自分ができる、最大限に豪華な作りにしてしまうと、その継続性が脅かされます。
調子がいいときはいいかもしれませんが、調子が悪いときでも安定して作り続けなければいけない場合があります。
それに、自分以外の他人を巻き込むときは最小の人員にしておかなければ、誰かの都合で作品を完成させられないということも起こり得ます。
一番良いのは、最初は自分一人で作れる範囲で作品を作ることでしょう。
豪華にすればするほど、クリエーターにとって最も重要な継続性が失われてしまい、露出する機会を失ってしまうのです。それでは元も子もないですよね。
逆に継続していれば次のステップへとつながる人に発見される確率が高まるので、駆け出しのクリエーターにとってできるだけ豪華にしない努力は、実は重要な観点だと思います。
以上3つの理由から、僕は絵やコンテンツ作りにおいて「最初は絶対に豪華な作りにしない」ことをおすすめしています。
もちろん、何がなんでも豪華にしてはいけないというわけではありません。
先ほどの犬犬さんの漫画は単行本化されて、綺麗なカラーの表紙がつきました。
そうなんです。そのコンテンツが人気になれば、豪華さは後でついてくるものなのです。
クオリティーや丁寧さ、そして豪華さを一般の人よりも敏感に察知してしまう僕らクリエーターだからこそ「豪華さは後でいい」ということを、あえて意識する必要があるかもしれません。
【CHAPTER1 1カ月に1枚しか描けなくてもいい?】より、『絵で成功したいときに絶対にしてはいけないこと』でした。
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次回更新は12月3日(水)を予定しています。お楽しみに!
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