感謝もしているのに…誕生日ケーキを用意した80歳の父を残し、家を飛び出した40歳無職男性のやるせない気持ちに共感
漫画『夜廻り猫』【家族】
深谷 かほる
FRaUマンガ部
「泣く子はいねが〜」
これは漫画『夜廻り猫』で、夜の街を歩く一匹の猫・遠藤平蔵の常套句。本作は作者である深谷かほるさんが2015年、Twitter(現X)で投稿したことがきっかけで誕生した。
“涙の匂い”を嗅ぎつけると、平蔵はその場所へ向かう。そして彼らの話に耳を傾け、そっと寄り添う――。登場する人間や動物の涙の匂いには孤独や寂しさ、無念などさまざまな感情に胸がつまる。そして作品にはその痛みを癒やす平蔵の優しさが随所に宿っている。
11月29日に行われる「FRaU×KANEBO こどもコンテストワークショップ 2025 秋期講習」では、漫画『夜廻り猫』の作者・深谷かほるさんが講師として登壇。ワークショップ開催に向け、漫画『夜廻り猫』の名作をプレイバック。今回は「家族」をテーマにした物語をお届けする。
パワハラ被害で働けなくなった男の“涙の匂い”
会社でパワハラを受け、心身の不調をきたし辞職した四十歳男性が、夜の公園に佇んで知る。その姿を見つけた平蔵は、彼に近寄る。
男性は実家に戻って1年が経ったが、まだ働くことができないでいるという。決して楽しい状況ではない中で誕生日を迎えた今日、膝の悪い老いた父がわざわざ誕生日ケーキを用意してくれていたのだという。
父親の笑顔を見た男性は、いたたまれなくなり家を飛び出してきてしまったのだ。
情けないし惨めだと嘆く男性に平蔵がかけた言葉とは――。
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