②【後編】人生で初めてハマったソシャゲが「サービス縮小」すると聞いて、少し昔話をしようと思う。
6.参戦:界隈越境のススメ
(前回のあらすじ:ジャニオタの私がデレステ沼にハマり、神崎蘭子の担当Pになった話。)
そんなある日。
私はある現実に直面していた。
デレステは音楽ゲーム。当然、声優さんが歌って踊る「リアルライブ」が存在する。
しかし、前述の通り、我が担当・神崎蘭子の声優(内田真礼さん)は、超売れっ子である。
他の声優さんが「ライブ出演決定!」と発表される中、蘭子の名前はいつもない。
もはや彼女は、レアキャラ状態だった。
ところが…
「次回のライブ(大阪公演)、内田真礼 出演決定」
!!!????!!?
全私が泣いた。 これは、行かねば。
何としてでもチケットを取らねば。
私はジャニーズの現場で培ったノウハウと運を総動員し、見事チケットをもぎ取って大阪へ飛んだ。
会場に着いた私を待っていたのは、衝撃の光景だった。
「え……男しかいなくない……?」
普段、「ジャニーズ(現STARTO)」の現場(女子率90%超)に生息している私にとって、そこは異世界だった。
右を見ても「野郎」、左を見ても「兄ちゃん」。
花園ではなく「歴戦の戦士たちが集う駐屯地」。
アウェー感に震えながら中に入ってみると…… 「あ、いた。」
ぽつぽつとではあるが、女性の姿も確認できた。
「よかった…私だけじゃない…」 あの瞬間の安心感たるや。
あと、これは偏見まみれの懺悔なのだが。
「男性率9割越えの現場」=「ニオイとか…大丈夫そ?」と失礼ながら身構えていた。
結果:全然大丈夫だった。
冬だったから? それともPちゃんたちの民度が高いから?
とにかく、私の鼻は守られた。(本当に失礼な偏見でごめん)
肝心のライブはどうだったか。
……すごく、よかった。(語彙力消失)
神崎蘭子が、そこにいた。
内田真礼さんが、私のために(違う)、蘭子として歌っていた。
周りの野太い「オオオオオ!」というコールも、一体感があって悪くない。
さらに、終演後には感極まって泣き叫ぶオタ…失礼、プロデューサー(成人男性)が散見され、割とカオスな状況に感動さえ覚えた。
ジャニーズ現場では見ない、「男泣き」の最上級を見た気がした。
だがしかし…
「ライブ最高!」という感想以上に、私の脳裏に焼き付いて離れない「ある衝撃的な出来事」もあった。
むしろ、ライブの記憶の半分くらい、それに持っていかれたと言っても過言ではない。
※長くなりそうなので、その「忘れられない衝撃事件」については、また別の記事で詳しく書こうと思う。
とにかく、ライブは楽しかったし、本当に行ってよかった。
ジャニーズの現場とはまた違った、「アイマスP」たちの熱気。
「たまには違う界隈に飛び込むのも、人生のスパイスになるな」 そう実感した大阪の夜だった。
7. 離反:「解釈違い」と「お気持ち表明」
そんなこんなで、呼吸をするように課金し、長く続けていたデレステ生活。
しかし、終わりの足音は近づいていた。
別に嫌いになったわけじゃない。
ただ、今でいう「解釈違い」という名の厄介者が顔を出し始めたのだ。
決定打その1。
「衣装の布面積」問題。
誤解なきよう言っておくが、デレステの衣装クオリティは神だ。
変態的(褒めてる)なまでのこだわり。
「え、ネイルの色まで変わってる?」「レースの質感すごくない?」 実装されるたびに、その技術力には感動すら覚えていた。
だがしかし、たまに発生する「布不足問題」。
これだけはいただけない。
運営さんよ、聞いてくれ。
男性ユーザーが多いのはわかる。
「水着だ!セクシー衣装だ!オタクども課金しろ!」なのもわかる。
でも! 「清楚系アイドル」に「謎のセクシー衣装」を着せるとなると話が違ってくる。
ここで、脳内の「敏腕プロデューサー(私)」が会議室で机を叩く。
私(P):「おい!この子の売りは『清楚』だろ!こんな露出させてブランディングどうすんだ!NGだNG!!」
私(P):「ギャップ萌え?安易な露出でギャップ狙うな!もっとこう…ストーリー性で勝負せんかい!」
「普段清楚な子が、実は…」みたいなおじ達の手垢のついた妄想が見え透いてしまうと、一気に冷めてしまう。
これが私の「プロデューサーとしてのプライド(厄介オタクとも言う)」に触れてしまったのだ。
(幸いなことに、我が担当・神崎蘭子は「ゴスロリという名の装甲」に守られていたため、致命的な解釈不一致衣装は少なかった。ありがとう、ローゼンブルクエンゲル。)
そして、決定打その2。
「空気感」の変化。
ストーリーにおけるキャラの言動や扱いについて、私はそこまで気にしないタイプだった。
しかし、Twitter(現X)を開けば、流れてくるのは
「お気持ち表明」の嵐。
「今回のイベントのあのセリフ、〇〇ちゃんの性格と違う」 「運営は〇〇を優遇しすぎ」
このネガティブな空気感に当てられ、 「あれ、私、単純に楽しめてないかも…?」 と気づいてしまったのが、この頃だった。
8. 悟り:創造主(運営)は絶対である。
……と、ここまで脳内で机を叩いて熱弁したが、ふと我に返る。
「でも、運営は絶対なのだ。」
そう、この世界の創造主は運営だ。
私なんて、数えきれないほどいる、所詮1ユーザーに過ぎない。
1ユーザーが、創造主が提示した世界線に対して「それは違う、直せ」と文句を言うなんて、お門違いもいいところだ。
それはもはや「プロデュース」ではなく、「傲慢」である。
ふと、何かのドラマで聞いたセリフが脳裏をよぎる。
『勝手に期待して、勝手に失望するのは、オタクのエゴだ』
あ、これ、完全に今の私じゃん。
勝手に理想を押し付けて、勝手に「違う!」って騒いで、勝手に失望して。
まさにそんな気分になっている。
オタクのエゴそのものだ。
「嫌なら辞めろ」 ネットの冷酷な格言は、悲しいかな、真理をついている。
私は、この世界のルール(運営の方針)に、ついていけなくなっただけなのだ。
9.黄昏:廃墟となったTL「終わりの始まり」
「運営は絶対」と悟りを開いた私は、徐々にフェードアウト。
かつて「呼吸」だったログインは途絶え、気づけば「無料10連ガチャ」の時期だけハイエナのように現れる、とんでもない不良Pに成り下がっていた。
ただ、完全に縁を切ったわけではない。
ここ2、3年は、周年の時期だけ少し課金をし、「スカウトチケット(好きなアイドルを指名できる魔法のチケット)」で担当の蘭子をお迎えするという、「年貢」だけは納め続けていた。
「普段やらないけど、担当だけは確保する」
これが私に残された、最後のPとしての意地だったのかもしれません。
そして、その日はやってきた。
「2025年、サービス体制の大幅縮小」
「ああ…ついに、か。」
スマホの画面を見て、私は静かに空を仰いだ。
私は久々に、デレステ専用のTwitter(現X)アカウントにログインしてみた。 かつては、イベントのボーダーや新曲の感想が秒速でタイムラインに流れていた、あのアカウントだ。
……いない。
そこは、ゴーストタウンだった。
「デレステのことしかつぶやいてなかった人たち」が、ほぼ更新を停止しているか、アカウントごと消えている。
理由は人それぞれだろう。
私のように解釈違いか、生活環境の変化か。
みんな、それぞれの理由で「事務所」を去っていったのだ。
離れた人間が何を言う権利もないが、それでも、かつて同じ熱量で走った戦友たちの不在は、祭りの後のような切なさを感じさせた。
10. 感謝:魔法が解けてもずっと。
でも、これだけは胸を張って言える。
「デレステに出会えて、本当によかった。」
SSR封筒(刺繍入り)が出た時の、脳汁ドバドバのアドレナリン。
ハイスコアが出た時の、ガッツポーズ。
フルコンボした時の、指先の震えと快感。
そして何より、私の音ゲーの腕前は、間違いなくデレステによって鍛え上げられた。このスキルは、私の人生のどこか(ゲーセン?)で役に立つだろう。
サービス縮小は悲しい。
でも、まだ「終了」したわけではない。
今から毎日ログインして、昔のようにイベントを走ることは、正直もうないと思う。
でも、たまには ふと思い出した時にログインして、蘭子の顔を見て、一曲叩いてみようと思う。
唐突だけど、デレステって、本当に「いい曲」が多いんだよね。
(今さら気づくことでもないけど、やっぱり名曲揃いなのだ)
いつか0時を回って、完全に魔法が解ける日が来ても。
ふと流れてきた音楽を聴いた時、私はきっと、あの熱狂と、可愛かった担当のことを思い出すだろう。
「最高の魔法を、ありがとう。シンデレラたち。」
おまけ
11. 余談:課金先は「アイドル」から「競走馬」へ
ちなみに。 デレステを離れ始めた頃、私は何をしていたか。
世間を一世風靡したあの「ウマ娘」に、全力でハマっていた。
「アイドルへの課金が止まったから、お金が貯まるようになった?」
いいえ、 課金する先が「アイドル」から「競走馬(擬人化)」に変わっただけである。 よって、お金は全然たまらない。
さらに恐ろしいことに、私はそこから「リアル競馬」という、底なし沼に足を踏み入れている。
この話はまた別の時に…。
ゴシックな服着てるキャラ好きになりがち🌹


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