(社説)中国軍機接近 あまりにも危険な行為
中国軍の戦闘機が西太平洋の公海上で2度にわたって海上自衛隊の哨戒機に異常接近した。偶発的な衝突を招きかねなかった。あまりに危険な行為だ。中国側に再発防止を強く求める。
防衛省によると、中国軍機による自衛隊機への異常接近は、2014年5、6月に東シナ海上空で起きて以来。今回は6月7日に40分間、8日に80分間、中国軍の戦闘機が自衛隊機につきまとって飛んだ。最も近づいたときは45メートルしか離れていなかった。自衛隊機のすぐ前を横切って飛んだこともあったという。
2日にわたったことを踏まえれば、パイロットの独断によるものではなく、組織としての意図的な行動とみるのが自然だろう。
01年4月、米中関係が緊迫した海南島事件があしき先例として思い出される。南シナ海上空で米海軍電子偵察機に中国軍戦闘機が接触して墜落し、中国軍パイロットが行方不明になった。米軍機は海南島に不時着し、乗員が中国側に拘束された。米中双方が互いにひけなくなり、危険な緊張状態が続いた。
今回の異常接近の背景には中国軍の意欲的な太平洋進出がある。現場は東シナ海周辺ではなく、大陸からはるか遠く離れている。接近した戦闘機は洋上の空母「山東」の艦載機だった。
時を同じくしてもう1隻の空母「遼寧」も太平洋に展開していた。伊豆諸島からグアムを結ぶ「第2列島線」を空母2隻が越えたことが初めて確認された。習近平(シーチンピン)政権の海洋進出へのこだわりは強いとみたほうがいい。
今回のように自衛隊が中国軍と遭遇する可能性のある海空域が、広がっていくおそれがある。その意味で中国との軍事的緊張関係は新たな段階に入ったと言える。
自衛隊の哨戒機は「山東」などを監視していた。そのことを捉えて中国国防省の報道官が「危険をもたらした」と非難しているが、そうだろうか。「山東」は日本の排他的経済水域にも一時入っており、自衛隊が監視するのは当然だ。危険が生じたのは中国機が接近したからである。
日中関係は改善傾向もみられる。しかし、外交が大事だからといって軍事的なパトロールをしないという選択肢はない。もちろん抑制的ではあるべきだろう。
日中双方は偶発的衝突を避けるため、7年前に防衛当局同士の海空連絡メカニズムを構築することで合意した。それが必ずしも機能していないと言われる。意思の疎通をはかる必要がある。