Vol.556「〈有事〉も〈集団的自衛権〉の意味も知らない高市早苗」
(2025.11.18)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…高市早苗首相の「台湾有事」発言の波紋が広がり続けている。中国政府は中国国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかける通知を公表、さらなる報復措置の発動も懸念されている。先週号でも書いたとおり、わし自身は『台湾論』の著者として台湾を守りたいと思っているし、そのためには、いざという場合には日本が武力行使できるようにすべきだという意見にも同意できる。だが、高市の台湾有事に関する考え方は完全に間違っており、台湾を守ることには何も繋がらない。そればかりか、無駄に危険な事態を招いているだけである。高市早苗首相の「台湾有事」発言、何が間違っていて、どう問題なのか、ネトウヨやサナ活ファンはわかっていないし、それどころか高市本人もまったく理解していない。ただただ勢いで、中国との緊張関係を煽っている。非常に危険な事態である!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…高市首相の「台湾有事」答弁に反発した中国政府が、日本への渡航自粛を呼びかけたというニュース、日曜夜の情報番組『Mr.サンデー』(フジテレビ)が、高市発言にはじまる日中関係の悪化について特集していた。番組では、日本に遊びに来ている中国人をつかまえて、「中国政府による渡航自粛の呼びかけについてどう思うか」というインタビューを試みていくが、 オーバーツーリズムの問題や中国人観光客のマナー違反などには一切触れず“日本寄り”の中国人コメントばかりを集める始末。さらには、高市首相答弁についての議論がはじまるのかと思ったら、ものすごい勢いで“高市絶賛大会”へとなだれ込んでいくのだ。高市早苗“絶賛バズ”大狂乱状態である!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…スーパー戦隊シリーズの女性出演者が未成年で飲酒した事で降板したことをどう思う?葛飾北斎や喜多川歌麿、山東京伝、恋川春町等が当時の「権力」とあの手この手で戦いながら表現を磨いていたことをどう思う?国会で高市早苗総理が「買春に罰則をつけることを検討する」と答えた件、どう考える?最近は推し活の時代、もっとお金をつぎ込みたいファンの受け皿も作ってよいのでは?高市を盲信して息巻いている信者達は、戦争なんてしょせん他人事なのでは?今後の『神功皇后論』、あのクマソの兄妹以上にもっと濃いキャラが出てくる?高市政権から提案された国旗損壊罪をどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第585回「〈有事〉も〈集団的自衛権〉の意味も知らない高市早苗」
高市早苗首相の「台湾有事」発言の波紋が広がり続けている。
中国政府は中国国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかける通知を公表、さらなる報復措置の発動も懸念されている。
先週号でも書いたとおり、わし自身は『台湾論』の著者として台湾を守りたいと思っているし、そのためには、いざという場合には日本が武力行使できるようにすべきだという意見にも同意できる。
だが、高市の台湾有事に関する考え方は完全に間違っており、台湾を守ることには何も繋がらない。そればかりか、無駄に危険な事態を招いているだけである。
高市の発言の誤りについては辻元清美が11月12日にⅩへの投稿で、恐るべき正確さで、しかも簡潔に書いているので、まずはそれを引いてまとめておこう。
高市は国会答弁において、台湾有事について
「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」
と発言した。
これについて辻元は、まずこう指摘する。
論点〈1〉
高市総理が「戦艦」と答弁した瞬間、「あれ」と思った。2025年11月現在、展示用のものを除き、世界に「戦艦」は存在しない(「戦艦」は「軍艦」の一つの種類を指す用語である)。米海軍の最後の「アイオワ級戦艦」4隻は湾岸戦争後に退役している。
現在「戦艦」は世界に存在しないのであって、この言葉を使用した時点で高市は、軍事に関して全く無知であることをさらけ出しているのである。
次に辻元はこう指摘する。
論点〈2〉
高市総理は、台湾を「国」ではなく「地域」と言い直した。
政府は「国際法上、自衛権を行使するのは国でありますので、密接な関係にある国というのは国家であります」と答弁している。
国連憲章第51条は集団的自衛権の発動を「国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合」と規定している。そして台湾は国連非加盟である。
そうであれば、台湾は存立危機事態の要件である「密接な関係にある他国」にはあたらないはずだ。
要するに国際法上、「国」ではなく「国連非加盟」である台湾と、日本の間で集団的自衛権が発動することはないのである。
そして辻元はこう続ける。
論点〈3〉
安保法制の議論は「台湾が米国に要請をし、米国(我が国と密接な関係にある他国)の軍隊が攻撃されるか、在日米軍基地が攻撃された場合」だった。しかし、高市答弁の「台湾有事は日本有事」は「台湾から日本が援助要請を受けて集団的自衛権を行使」するパターンのようで当てはまらない。
つまり、台湾有事の際に米軍が出動し、米軍が攻撃を受けて初めて日本は集団的自衛権が行使できるのであって、直接日本が台湾を救うために集団的自衛権を行使することはできないわけだ。
その上で、辻元はこう結論付ける。
以上3点から、高市答弁は「総理の自論」で、政府統一見解を逸脱していると考える。
いま各省庁は頭を抱えているはずで、統一見解を「出さない」のではなく「出せない」。
高市の答弁は明確に政府統一見解を逸脱しているのだ。
高市は官僚が事前に用意していたペーパーを無視して勝手にあんな答弁をしたわけで、そりゃ防衛省も外務省も頭を抱えるだろう。
従来の見解を逸脱した以上、新たな統一見解を出さなければいけないのだが、あまりにも実際の安保法制との齟齬がありすぎて、それはできない。
だったら発言を撤回するしかないのだが、高市は変に意地になってそれをやらなかった。さっさと撤回していればまだ傷が浅くて済んだのに、もう今となっては、中国が怒ったから取り消したという形になるから、絶対に引っ込みがつかないだろう。
それで政府は、「答弁は従来の政府見解の範囲内」などという大嘘をひたすら繰り返して、誤魔化す以外にない有様となっているのである。
さらに辻元はこうも書いているが、この指摘も全くその通りである。
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


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今のままでも充分いいと思いますが、よしりん先生のカラーリング姿を観てみたい気もしますね~ 毛根がしっかりしているならカラーリングしても禿げないかもしれませんね~ 私がやったら一気に禿げますが…🧑🦲
存立危機事態って例えば今ロシアがウクライナを侵攻しているわけだけど、もしウクライナが占領されてしまったら次は私達だってポーランドやバルト三国がそう訴えるのはよく分かる。彼らがウクライナのため、集団的自衛権を発動するのは自分の国を守る為必要なことだと理解できますな。