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【採択者が語る研究助成金獲得のコツ】はじめての研究助成金 Part3:採択率を高める「伝わる申請書」- 審査員経験者が徹底解説

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【採択者が語る研究助成金獲得のコツ】はじめての研究助成金 Part3:採択率を高める「伝わる申請書」- 審査員経験者が徹底解説

2025.11.27

研究助成金の申請書は、限られた紙面の中で研究の価値を伝え切らなければならない、いわば“内容と、読み手への伝わりやすさの勝負”です。

特に民間助成金では、科研費以上に文量が制限されるため、誤字脱字や表記ゆれといった細かなミスが減点につながりやすく、“読みづらさ”はそのまま採択率の低下につながります。

本記事では、誰でもすぐに実践できる「採択率を高める、伝わる申請書」を作成するためののコツを、専門用語の扱いや文章のレイアウト、タイトルの工夫まで含めて具体的に紹介します。

内容を“どう書くか”ではなく、“どう伝えるか”に踏み込んだ、実務に直結するノウハウをまとめました。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 審査員の理解を妨げる細かなミスを徹底的に排除する方法

  • 専門用語を伝わる形に整えるコツ

  • 魅力的で誤解のない申請書に仕上げるレイアウトとタイトル設計の技法

この記事は誰に向けて書かれているのか

  • これから研究を始める大学院生や若手研究者の方

  • 科研費や研究助成金の申請に初めて挑戦しようとしている方

  • 何度か申請したものの、なかなか研究助成を獲得できていない方

採択者が語る研究助成金獲得のコツ シリーズ

執筆者の紹介

氏 名:山本 直史
所 属:愛媛大学社会共創学部
専門性:博士(体育学)。身体活動と健康に関するエビデンスを蓄積することを目的に、地域住民を対象としたコホート研究を軸に研究を進めている。「現場から課題を見つけ、研究する」というスタンスを大切にし、健康づくりの現場における実践活動の評価といった実践的研究にも取り組んでいる。また、こうした現場志向の研究を通して、研究、教育、地域貢献がつながるような関わり方を模索している。競争的外部資金の獲得は代表者として6件、分担者として11件。学内や学会で助成金等の審査委員も務める。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

1.民間助成金の採択率を高める申請書の整え方

申請書作成の基本を押さえる

前回の「はじめての研究助成金 Part2:助成金の選び方」では、助成金が単に金額の大小だけでなく、目的・対象・使途・報告義務など多面的な条件を踏まえて検討すべきものであることを確認しました。

それらの条件を丁寧に読み込み、自身の研究の目的やキャリアの方向性と合う助成金を探す姿勢が不可欠である点も強調しました。

今回は、「採択率を高める“伝わる申請書”」と題し、特に 申請書の“整え方” に焦点を当て、書き方の基本から民間助成金特有の留意点まで実践的な内容を紹介します。


なお、申請書作成の基本的な考え方や“記載の型”については、すでに充実した書籍およびWeb連載がありますので、まずは代表的なものをしっかりと押さえておくことが大切です。

書籍としては、「科研費獲得の方法とコツ(第9版) 実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略」(児島将康 著)が、言わずと知れた名著であり、科研費申請書の書き方を体系的に学ぶうえで大変参考になります。

Web連載としては、mMEDICI Library で公開されている「採択者が語る科研費獲得のコツ vol.1〜7」が、実際の採択者による具体的な工夫や視点を知る上で有益です。(全ての記事を無料でご覧いただけます。)

採択者が語る科研費獲得のコツ シリーズ
vol.1:科研費とは何かを知り、スタートで差をつけろ
vol.2:「審査員の視点」で申請書を徹底解説
vol.3:採択確率を上げる第三者チェックという裏ワザ
vol.4:具体例で学ぶ「採択される研究計画調書」の書き方
vol.5:科研費「不採択」から再挑戦するあなたへ - 「採択される」戦略を徹底解説
vol.6:具体例で学ぶ「採択される予算計画」の書き方
vol.7:科研費を継続して獲得するための「具体的戦略」

また、前回紹介した研究助成情報のデータベースである「助成・奨学金情報navi」においても、助成金の応募に関するアドバイスが記載されています。

助成金の活用や応募に関するアドバイス
https://jyosei-navi.jfc.or.jp/category/advice/

申請書作成の“型”や核心部分については、まずこれらの資料を参照していただくのが良いと思います。

民間助成金ならではの注意点と実践的工夫

科研費と民間助成金では、書き方の基本姿勢は大きく変わりません。しかし、民間助成金の多くは科研費よりも申請書の文量が短く設定されている点が大きな違いです。

文量が限られている申請書では、審査が減点法になる傾向がより強まります。紙面が少ない分、誤字脱字や表記ゆれといった些細なミスでも目立ちやすく、「この申請書には熱意が感じられない」と受け取られる可能性があります。

その結果、例え申請書の内容や研究テーマが良くても「整っていないこと」で減点され、不採用となる可能性が高まってしまうのです。

そこで本稿では、実践的しやすい工夫点から順に、著者自身の経験を踏まえた「申請書の整え方」を紹介し、審査員に伝わる申請書を作成するためのコツをご紹介します。

2.まずは、細かな表記ミスを徹底的に潰す

誤字脱字・表記ゆれ・助詞・助動詞のチェック

まずは、誤字脱字、タイプミス、助詞・助動詞の誤り、句読点の不統一、用語や表記のゆれなど、細かなミスをつぶさにチェックすることが肝要です。

当たり前のことのように思われるかもしれませんが、意外にこれらがきちんとできていない書類は多く見受けられます

例えば、句読点が「、。」と「,.」で混在していたり、「さまざま」と「様々」のように表記が統一されていないケースは少なくありません。

また、助詞・助動詞の誤りは、文章を分かりにくくさせたり誤読の原因になったりするにもかかわらず、そのまま残っている例も多く見られます。

これらは、文章を書き換える際に一部を消し忘れたり、助詞だけ修正して助動詞に手が及ばなかったりと、作業途中のわずかな不注意で生じるものだと思われます。

例えば、「データを分析する」を「データの分析を行う」に書き換える際、前半の「を」を修正し忘れ、「データを分析を行う」のように助詞が二重になる例は典型的です。

禁則処理やファイル設定も整える

ミスというわけではないかもしれませんが、審査員の視点からすると禁則処理が適切に設定されていない申請書も多少気になることがあります。

例えば、本来、行頭に置くべきではない文字(「っ」「、」「。」など)が来てしまっているケースです。

Wordではバージョンによって禁則処理の標準設定が異なることがありますし、他者から提供されたファイルを開いた際に設定が引き継がれていない場合もあります。

そのため、自身が使用しているWordの禁則処理設定、およびダウンロードした申請書ファイルの設定を必ず確認しておくとよいでしょう。

あまりWordの禁則処理設定に馴染みのない方も多いかと思いますので、設定方法を簡単にご紹介します。

[ファイル]タブ → [オプション] → [文字体裁]から禁則文字の設定を確認できます。ここで「高レベル」に設定されていれば、禁則処理が正しく動作し、問題が生じない場合が多いです。

こうしたミスを防ぐためには、月並みではありますが、何度も読み直すことが最も確実です。印刷して確認したり、音読したりすることで、画面上では見落としがちな誤りに気づきやすくなります。

第3者チェックの力を活用しよう

どれだけ注意深くチェックしていても、自分では気づきにくいミスや、思い込みによる見落としは必ず残ってしまうものです。

細かなミスを見落とさないようにするために、第3者にチェックしてもらうことは非常に有効です。

少し話は変わりますが、研究分担者として他者の申請書を確認する機会もあると思います。

申請内容の本質に踏み込みづらい相手でも、誤字脱字や表記ゆれの指摘だけでも十分に貢献できる点は強調しておきたいところです。

申請書の確認を求められた際に、特に、諸先輩方の申請書に対しては、本筋の内容に踏み込んだコメントはしづらい場面も少なくありません。

しかし、誤字脱字や表記ゆれといった細かなミスの指摘であれば比較的行いやすく、それだけでも十分に評価されます。むしろ、こうした細かなミスを丁寧に整えてくれる共同研究者は大変貴重な存在です。


ここまでに紹介した「よくあるミス」をなくすことは当然のことにも思えますが、実際には細部にまで整えられていない申請書が多いことも事実です。

まずは、この章で紹介したポイントを踏まえて「細かな表記ミスを徹底的に潰し、丁寧に整える」ことを心がけることが、申請書の採択率を高めるための第一歩です。

3.より丁寧に整える:専門用語と略語は読み手に優しい形で扱う

専門用語は“伝わること”を最優先する

選考委員は、必ずしも応募内容の専門家とは限りません。学会等が実施する、比較的分野が絞られた研究助成であれば、審査員は応募内容に関する一定の専門知識を有している場合が多いと考えられます。

しかし、広く他分野に開かれた研究助成では、審査員の専門性は多様であり、応募内容に対する知識の平均水準は必ずしも高くない可能性があります。審査員が公開されていない助成金に応募する場合には、こうした点を踏まえて「どの程度平易な表現を用いるか」を検討することが重要です。

私たちの分野で「身体活動」と言えば、「骨格筋の収縮によって生じる、安静時を上回るエネルギー消費を伴うすべての身体の動き(Caspersen et al., 1985)」という古典的定義が即座に思い浮かびます。

しかし、専門以外の方には、「身体活動=運動・スポーツ」と捉えられたり、「睡眠も含まれる」と捉えられたりすることもあります。

審査員とこちらの理解がずれてしますと、研究内容が正しく伝わらず、適切な評価につながりません。

そのため、申請において特に重要なキーワードについては、初出の際に、くどくない範囲で短い説明を添えておくことが有効です。

例えば、「運動だけでなく、家事や仕事など覚醒時間におけるあらゆる身体の動きを指す“身体活動”は、~」といった形で枕詞をつけることで、審査員の理解を揃えやすくなります。

統計手法の説明は“方法論”より“目的との結びつき”

また、近年は統計ソフトやプログラミング環境の発展により、複雑な解析を比較的容易に実施できるようになりました。そのため、こうした分析手法を“売り”にした研究申請も増えているように感じます。高度な分析手法を使う研究ほど、つい分析手法そのものの説明に文字数を割いてしまいがちです。

審査する立場からすると、分析手法の方法論的な説明や学術的な妥当性の説明よりも、「なぜその手法が必要なのか」という研究目的との結びつきを明確にしてほしいと思っています。

例えば、「実社会に存在する生活習慣の特徴をパターン化するために、潜在クラス分析を用いる」といった形で、手法を選択した理由を目的論的に添えることで、審査員は研究の狙いや本質的な価値を理解しやすくなります。

こうした専門用語の解説を行う際には、場合によっては、学術的な厳密さよりも“伝わること”を優先した説明に切り替える必要があります。

論文執筆には慣れているものの研究助成申請には不慣れな研究者ほど、この“大胆に噛み砕く”行為に最初は抵抗を感じるかもしれません。

しかし、助成金申請では、審査員の理解を確実に揃えることが、学術的な厳密性よりも優先される場面もあることを念頭に置くことが大切です。

略語は必要最小限に

記載できる文量が限られていると、つい少しでもスペースを節約しようとして略語を多用したくなります。

しかし、助成金申請書における略語の使用は、基本的には「慎重であるべきもの」だと考えた方がよいでしょう。

例えば、身体活動(Physical Activity)は一般的に「PA」と略されますので、私たちの分野ではPAと書かれていれば自然と身体活動のことだと読み取れます。ところが最近では、位相角(Phase Angle)もPAと略されることが増えており、場合によっては誤読の可能性があります。

さらに、審査員は必ずしも最初から順番に読むとは限りません。途中の段落だけを拾い読みすることもあります。その際、略語が突然出てくると、意味を確認するために文面内を探さなければなりません。

また、専門用語の略語は特に頭に入りにくいため、順番どおりに読んでいても思い出せず、前の文章に戻って確認しなければならない場面も生じます。略語の定義がそもそも書かれていなければ、その時点で読解が滞り、内容が正確に伝わらなくなってしまいます。

略語の使用は、文量を節約したい申請者側にとってはメリットがあります。しかし、審査員にとっては理解の負担が増えることが多く、むしろデメリットの方が大きいように思います。

略語の扱いについては、次の三つの原則を意識するだけで、読みやすさが大きく向上します。

  1. 本当に必要な略語だけを使う
    文字数を削るためだけに安易に略さず、「この略語は繰り返し出てきて、フルスペルだと明らかに読みにくい」といった場合に限定して使用する。

  2. 略語を用いる際は、初出時に必ず定義を書く
    「身体活動(Physical Activity:PA)」のように、最初に登場する箇所でフルスペルと略語をセットで示しておく。これを怠ると、その時点で読解が滞り、内容が正確に伝わらなくなる。

  3. 研究の核となる主要概念は、可能な限り略さない
    研究の目的やアウトカムに直結するキーワードほど、略語ではなくフルスペルで書く。多少文字数が増えても、「何を対象にした研究なのか」が一目で分かることを優先する。

審査員に余計な確認作業を強いる略語は極力減らし、「多少長くても、その場で意味が分かる表現」を優先することが、結果として申請書全体の説得力と評価のしやすさにつながります。

4.見た目も整える:レイアウトと視覚的デザイン

申請書のレイアウト調整や視覚的デザインにおいて、私が意識している点は以下の4点です。

①余白と段落で読みやすさを作る
民間助成金(特に単年度型)では、申請書の文量が限られているため、つい情報を“ぎゅうぎゅうに”詰め込んでしまいがちです。

しかし、可読性を損なうと内容が伝わりにくくなるため、適度な余白やレイアウトの工夫が重要です。

詰め込みすぎた紙面は、審査者にとって大きな負担となりかねません。

文量にもよりますが、小見出しを付けたり、パラグラフ間に一行の改行を入れたりすることで、読みやすさは大きく向上します。

これらが難しい場合でも、パラグラフの最終行を少し短めにするだけで、紙面に「余白のリズム」が生まれ、すっきりとした印象になります(図)。


強調文を多用しすぎない
1つのパラグラフにつき強調文は1か所までとし、読み手が強調部分だけを拾い読みしても内容の骨格が理解できるように構成することを心がけています(図の右側)。

余白と強調文の工夫


フォントを多用しすぎない
日本語には MS 明朝英数字には Times New Roman を用い、強調が必要な箇所のみ MS ゴシック+下線を使うなど、フォントの種類はできるだけ絞るようにしています。


パラグラフをページまたぎにしない
読み手の負担を避けるため、1つのパラグラフがページをまたがないように調整しています。わずかでもページをまたぐと、論理のかたまりが視覚的に分断され、読み手の集中が途切れやすくなるためです。

紙面が限られるため、図を入れるかどうかは悩ましいところですが、審査を担当する立場としては、適切に整理された図表があることで内容の理解が格段に進むと感じています。

特に、「研究の概念図」「先行的な検討結果・予備的データ」などは、限られたスペースの中でも研究の構想や準備状況を的確に伝えるうえで有効です。

図の作成に関しては、以下の書籍を参考にしています。

中嶋亮太(2022)「狙って獲りにいく!科研費 採択される申請書のまとめ方」すばる舎.

このように考えると、申請書づくりには「削る美学」が求められているのかもしれません。

「どうしても削れない」と感じる文章があっても、本当に必要な情報か、別の簡潔な言い回しに置き換えられないか、一度立ち止まって考えてみてください。


同様に、「強調文が1文では収まりきらない」と感じる場合は、内容そのものがまだ十分に整理されていない可能性があります。

本来、1パラグラフのキーセンテンスは1文で表現できるはずです。


レイアウトと対話するようなつもりで文章を見直し、「どの情報を残し、どこを削るのか」を吟味しながら、表現を精査していきましょう。

5.タイトルを整える:一瞬で研究の魅力を伝える

申請書の文量が限られている分、科研費以上にタイトル(研究課題名)の重要性が高いと言っても過言ではありません。

タイトルを読むだけで研究計画の全体像が伝わることは当然として、審査員の関心を引く魅力をどのように込めるかという工夫も重要です。

以下に、筆者が実際に助成金申請の際に使用したタイトルを三つ示します。

1.目を引くタイトルでも誤解が生じないよう配慮する

サルコペニア予防としての日常生活における階段利用の有効性:若年成人女性を対象とした基礎的介入研究(日本体育測定評価学会,研究助成(単年))

サルコペニアのコンセンサスが発表されたタイミングだったため、「サルコペニア予防」という注目度の高いワードをタイトル冒頭に取り入れました。

ただし、「サルコペニア予防としての日常生活における階段利用の有効性」だけだと、高年齢者を対象とした観察研究で、サルコペニア発生をアウトカムとする設計と誤解されるおそれがあります。

そのため、副題に「若年成人女性を対象とした基礎的介入研究」と明記し、対象が若年者であること、サロゲートマーカーを用いた介入研究であることを示すようにしました。

審査員としての自身の経験からも、タイトルと内容の間に印象のズレがあると、申請書全体の信頼性に影響すると感じています。

審査の文脈では、タイトルから受ける第一印象と実際の研究内容が一貫していることが非常に重要だと考えます。

2.タイトルの工夫で訴求力を高める

ゴルファー増加を目指した普及戦略の構築に向けた基礎的研究:ゴルフ行動の規定因の同定(笹川スポーツ財団,研究助成(単年))

本研究は、ゴルフ実施行動を左右する規定因子を探索する内容ですが、このままでは「基礎的な探索研究」という印象にとどまり、助成の趣旨に照らすと訴求力が弱いと感じられました。

とりわけ、スポーツ財団の助成は「スポーツの振興やスポーツ政策への波及効果が期待される研究」を明確に対象としており、研究が社会にどのような影響をもたらすのかが強く問われます。

そのため、タイトルに「ゴルファー増加を目指した普及戦略の構築」という応用的な視点を置くことで、

  • 研究の最終的な方向性(普及戦略の確立)

  • 社会的意義(競技人口の増加によるスポーツ振興)

  • 助成テーマとの整合性

といったポイントを冒頭で明確に提示する構成としました。

また、タイトルの冒頭に応用的な展望を配置することで、
「この研究は単なる要因探索ではなく、社会課題の解決につながる」
というメッセージを読み手が瞬時に受け取れるようにし、助成金の趣旨に対する訴求力を高めています。

3.インパクトのあるワードを取り入れる

高齢者の就労促進および就労寿命の延伸を目指した身体活動・体力科学的アプローチ(科研費,基盤研究(C))

タイトルは審査者が最初に目にする情報であり、短い時間で研究の狙いと重要性を理解してもらう必要があります。

そこで、より目を引く表現とするため、当時の日経新聞の記事に掲載されていた「就労寿命」というインパクトのあるワードをタイトルに取り入れました。

科研費の審査は多分野の研究者が担当するため、専門外の審査者にも目的が伝わりやすいタイトル構成が求められます。

そのため、社会的に注目度の高いキーワードをタイトルに取り入れることで、専門性と社会的意義が両立し、研究の狙いを一瞬で伝えることを狙いました。

6.まとめ:細部を整え、審査員に伝わる文章にする

本記事では、申請書作成の“型”や核心部分については他の優れた資料に委ね、どちらかというと些末に見えるような点を中心に紹介してきました。

しかし、申請書づくりにおいて “自分が伝えたいこと”を、“相手が受け取れる形に整えること”は、決して些末ではなく極めて重要な要素です。

審査員も、限られた期間で大量の申請書を読まなければならない状況にあります。

だからこそ、細部を整え、読みやすさに徹底的に配慮することが、研究内容そのものの価値を一層引き立てます。

「このくらい大丈夫だろう」「読めばわかるだろう」ではなく、“審査員がどう受け取るか”を主語にした申請書づくりこそが、本質的な勝負どころです。

次回は、キャリアステージに応じた資金調達の工夫など、今後の研究活動を見据えた資金戦略の立て方について取り上げる予定です。引き続きご覧いただければ幸いです。

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