収録中に「周囲の壁が迫ってきた」――“陽キャ”の芸人ゆってぃがパニック障害と診断されて #今つらいあなたへ
狭いブースにはスタッフを含めて3人がいたが、とにかく外に出なくてはダメだと思った。ここにいたら自分がどうにかなってしまいそうな恐怖だった。 「このままではやばいと思ったんで、もう一人のMCに冗談っぽく『トイレに行くわ』と言って外に飛び出しました」 ブースの重たいドアを開けて外に出ると「今、本番中だよ!」という笑い声が後ろから聞こえた。とっさの機転で笑いに変えられたことに安堵しつつも、その後は外のベンチに腰掛けたまま放心し、ブースに戻ることはなかった。戻ろうと思っても、体と心がいうことを聞かなかったからだ。ディレクターには「今日はちょっと無理かも」と伝えた。 「スタッフたちは心配してましたね」 しばらくすると先ほどの症状は治まり、スタッフにも「大丈夫」と笑顔で伝えたが、自分自身が大丈夫とは思えなかった。 「最初はコロナの症状かなとも思いました。でも熱もないし違うよなって。とにかく初めての経験だったんです」 自身のどこかに異変が起きていることは明らかで、車で自宅まで送ってくれたディレクターには病院に行くことを勧められた。
彼女もパニック障害と診断される
実はその10日ほど前、ゆってぃの周囲である変化があった。 「当時付き合っていた彼女から突然連絡が来たんです。『電車に乗れない』『ちょっとやばいかもしれない』」 電話では要領を得ないので、公園にいるという彼女を迎えに行った。聞けば仕事帰りに電車に乗っているのがつらくなって電車を降り、必死に自宅近くの公園までたどり着いたという。 「その日は安静にして次の日に病院に行きました。メンタル系の薬をもらったと聞きました」 その時は、デリケートな話題のような気がして、病状を詳しく聞かなかった。同時に、深刻な顔で心配するよりも、明るく振る舞うことのほうが大事だと思った。
だが、彼女の異変を経験した約10日後、今度は自分の身に発作が起こったのだ。 「ラジオのスタッフに車で送ってもらって家に帰りました。翌朝、病院に行ったところ、お医者さんに『よくあるやつだね』と軽い感じで言われて、薬をもらいました」 突然の激しい不安や恐怖。動悸、息苦しさ、めまいなどの身体症状。自分に起こった症状を思い出すうち、どうやら彼女と同じ病気なのかもしれないと思った。医師の診断は「パニック障害」。彼女の診断も同じだった。 自分のようにいい加減な人間がかかる病気だと思っていなかったから驚いたという。 「メンタル系の病気って、真面目で几帳面な人がなるんだと思っていたんです。自分とは全く縁がないことだと思ってたから、先生の診断の後も、パニック障害の『パニック』ってなんだよと思ってましたから」