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高卒でメーカーに入るということ 何十年ぶりに再開された高卒採用枠で、 運良く大手メーカーに潜り込めました。 が、入ってからが地獄でした。 配属先は、技能五輪の金メダリストや、黄綬褒章、現代の名工の受章者がゴロゴロいるような部署。 周りはバケモノだらけ。 めちゃくちゃ居心地が悪かったです。 自分だけが何もできない素人。 当時はラダーの書き方一つで毎日のようによくしばかれたぁ…。 たくさん指導を受けましたが、 10数年経った今でも残ってるいるのがこの3つです。 1. モニターを5分睨んでわからんかったら、はよ聞け 動かない回路を前に、意地になってモニターを睨み続けていた私に、先輩はこう言いました。 「お前の頭の中で回路は繋がらん。 知識がないなら時間は溶けるだけや」 「プライドなんか捨てて、知ってる奴の知恵借りてでも装置を動かせ」 この言葉で目が覚めました。 悩む時間を5分で損切りし、金メダリストたちの脳みそを借りに行く。 結局、自分でうんうん唸るより、達人の回路を真似して盗むのが一番早かったんです。 2. 悩みを美徳とするな エンジニアはあくまで個人的見解ですが、 「うんうん唸って考えている時間」を 「仕事をしている時間」だと錯覚しがちです。 当時の私もそうでした。 席に座って、眉間にシワを寄せて 「頑張って考えている感」を出していましたが、朝はコーンフレークばかりでしたし、今思い返すとただの煩悩の塊でした。 でも、この職場ではそれが許されませんでした。 「悩んでいる自分に酔うな。手を動かして検証するか、人に聞いて解決するか、どっちかにしろ」 それ以来、質問を「丸投げ」ではなく 「仮説の答え合わせ」に変えました。 相手の時間も奪わず、自分の読みが合っていたかを確認する。 これが一番の近道でした。 3. 焦らず急げ 完璧な仕様を求めて手が止まる私。 逆に、焦ってラダーを書くと、横から画面を見た先「スパゲッティか!」とよく突っ込まれました。 「100点の美しい回路なんか待つな。でも、雑にはやるな」 「60点の出来でええから、とりあえずシリンダ一本動かしてこい」 机上で悩んでいる私を横目に、彼らは泥臭くテストプログラムを回し、誰よりも早く設備を立ち上げていました。 思考は深く、手は早く。 あの人たちの凄さは、才能というより、こういう泥臭い思考を息をするように続けていることでした。 当時は「とんでもない所に来てしまった」と毎日胃が痛かったですが、あの環境のおかげで、なんとかエンジニアとして飯が食えてます。 いつか、あの先輩たちと同じ黄綬褒章を獲ろうと本気で思ってます。 その時には顔出しします。🦮