🎣「ねぇねぇ、いろはちゃん」
🍃「んん…なに…?」
いつもより狭いベッドで眠ろうとした時、隣にいるクロヱが声をかけてきた。風真は眠たい目を擦りながら寝返りを打ち、クロヱの方へと身体を向ける
そんな風真を急に呼んだクロヱの顔は、心做しか曇っているように見えた
少しだけ不安そうなクロヱの表情を見て、風真は眠気が徐々に薄れていく
🎣「いろはちゃんはさ、本当に沙花叉で良かったの?」
クロヱは風真の目を真っ直ぐ見つめ、心配そうにそう聞いてくる
…あぁ、そういうことか
風真は、すぐにクロヱが心配そうにしている理由を理解した
風真は今日、クロヱに告白した
前からずっとずっと好きで、一緒に傍にいたいと思ったから、クロヱと一緒ならどこへだって行けると思ったから、風真はクロヱに全てをぶつけた
それを聞いて泣いちゃった時はめちゃくちゃに焦ったけど……すぐに笑顔で返事を返してくれて、風真ももらい泣きしちゃった
🍃「…うん。クロヱが良い」
🎣「…なんで?沙花叉以外だって、いい人なんていっぱい…🍃「クロヱ」
だから、それくらい風真は好きなのだ
自分以外に良い人なんて、と言うクロヱに風真は口を挟んで止めさせる
そして、クロヱに近づいて、その身体を抱きしめた
🎣「…!」
🍃「…風真はね、あの時出会ってからずーっと、クロヱの事が好きだった。確かに、クロヱから見たら良い人が居たかもしれない。でも、風真から見たら、その良い人はクロヱしか有り得なかったんでござる。…それくらい、風真はクロヱが好き、大好き。…だから、心配しないで」
風真は今思ったことを全て正直に話した
クロヱの視点から見たら、もしかしたら色んな人が良い人に見えたかもしれない
確かに、風真の視点でも、いろんな優しい人達が居た。でも、その目線はずーっと、クロヱしか見ていなかった
風真が、クロヱが良いってずっと考えていたから。クロヱも、風真が良いって思っていたから、付き合うことができた
風真はクロヱが好きで、大好きだ
🎣「…えへへ……大好き、かぁ……」
🍃「…大好きだけじゃ、不満でござるか?」
🎣「ううん、大満足!」
そう言うクロヱの表情は、さっきの不安が混じった暗い表情から、明るく安心したような優しい笑顔に変わっていた
そんな晴れた表情も、風真がクロヱの好きなところの1つだった
🍃「…じゃあ、寝よっか?」
🎣「うん!」
風真達は抱きしめ合ったまま、晴れ晴れとした気持ちで夢の中へと向かっていった
(一緒ならどこへだっていける)か………ありがとうクロエ様