大学の理系転換支援の3千億円基金 「予想以上の人気」一方で頓挫も
文部科学省が、大学の理系学部増を促し、理系の知識を備えた人材の育成を急ごうとしている。人工知能(AI)などの進展に育成が追いつかない危機感が背景にある。ただ、財源の確保だけでは成果につながらない例も出ている。
政府関係者によると、文科省は今年度補正予算で、理系学部新設のための基金を200億円増やす。基金は2022年度に作り、総額約3千億円。学部新設が決まる前の調査段階から支援する異例の事業だ。
その残金の一部と増額分の計約1千億円で、主に大都市圏の文系を中心とした大規模私大での理系転換や文理融合教育の強化を促す。
経済産業省は、2040年にAI・ロボットなどの活用を担う人材が約300万人、大学・大学院卒の理系人材が約100万人以上不足する恐れがあると推計する。逆に、事務職の需要が減り、大卒の文系は約30万人が余るとみる。
文科省は、理工農系や保健系を専攻する大学生の割合を、今の35%から2040年までに52%に上げる目標を掲げる。
24年度に初の理系学部「情報数理学部」(入学定員80人)を作った明治学院大(東京都)は基金の支援を受けた。校舎を新設し、3Dプリンターなども導入した。
「文系でも情報系学部志望できることに驚いた」
1・2年次で数学や情報シス…
- 【視点】
「理系」に期待するものが、文科省と「大都市圏の文系を中心とした大規模私大」の側とでずれているように見える。 前者は理系分野の博士号取得者が教える理系コースの増大を望んでいる。これはいわゆる研究大学の理工系研究者の発想と実は近い。しかし後者の
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