令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の25日の第11回公判では、2回目の被告人質問を実施。この日の前半で弁護側の質問が終了し、検察側の反対質問に移った。被告は自作した銃のデザインは「アメリカのゲームを参考にした」などと銃や火薬を作り上げた詳細を説明した。
「被害広がる」と爆弾避け銃を選択
検察側はまず、被告が安倍氏を銃撃する以前に旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の幹部を狙った経緯を尋ねる。
被告は自殺を図った平成17年ごろから漠然と教団幹部の襲撃を考え、30年ごろに具体化していったと明かす。
検察官「30年に(教団トップの)韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が『さいたまスーパーアリーナ』を訪れた際も襲撃を考えたのか」
被告「会場が大規模で、あまりにも無謀なので直前でやめた」
検察側の冒頭陳述によると、被告は令和元年10月に韓総裁が愛知県に来日した際にも火炎瓶での襲撃を試みている。
検察官「韓総裁を狙ったのか」
被告「そうです」
検察官「火炎瓶は自分で作った?」
被告「そうです」
検察官「この件以降、火炎瓶以外の襲撃方法を考えた」
被告「銃があれば一番だが、当時は銃を作れると思っていなかった。爆弾など火薬を詰めたものを考えていた」
検察官「うまくいかなかった」
被告「爆弾を使用すると被害の範囲が広がるので、ある程度限定したほうがいいと」
検察官「銃になったのは旧統一教会の幹部を確実に仕留めたい意図か」
被告「幹部を確実に仕留めつつ、周囲に被害を広めないようにということだったと思います」
パソコンで「マスケット銃」検索も
尋問内容は銃を自作した方法に移る。証拠調べによると、被告はホームセンターやネット通販などで銃や火薬の材料を計847点(約60万円)購入していた。
検察官「銃の製造方法はどのように調べた」
被告「インターネットで調べると、特に米国で鉄パイプを使用した動画や水道管に市販の弾を込めて実際に撃っている動画もあった」
検察官「デザインで参考にしたものは」
被告「アメリカのゲームで出てきた銃を参考にした」
検察官「(一時期)仕事もしていたが、銃はいつ作ったのか」
被告「主に休日かと」
検察官「休日の中心は銃や火薬の製造をしていた」
被告「はい」
検察官「パソコンの履歴で『マスケット銃』と検索していた」
被告「ヨーロッパ中世に使われていた銃。黒色火薬しか使えないので、それを使用した銃を調べていた」
銃に続き、火薬の製造方法についても尋ねる。
検察官「火薬の作り方はどうやって調べた」
被告「海外のどこかのサイトにそういうものがあった」
検察官「どこで調合していたのか」
被告「ひと気のない広い駐車場に夜中に車を止め、車の後部座席で」
検察官「なぜそういう場所を選んだのか」
被告「万が一、爆発したときに被害が出ないように」
被告は令和3年12月~4年6月、山中の資材置き場で自作銃をベニヤ板に向けて試射し、その様子を動画で撮影。その動画はこれまでの公判で法廷で流された。
検察官「どうやって場所を見つけた」
被告「グーグルマップの航空写真で、山の中で開けた場所がないかと」
検察官「山の中で開けた場所が良かったのはなぜ」
被告「人目につくと困りますので」
検察官「山中には何回ぐらい行った」
被告「10回以上行っていると思う」
被告は平成14年に海上自衛隊に入隊したが、17年に自殺を図り、退官している。
検察官「自衛隊の訓練射撃の際、点数はついた」
被告「一応あった」
検察官「何点満点で何点」
被告「100点満点で1年目は90点、2年目は75点」
検察官「順位は」
被告「1年目のときは30人余りの最上位だった」
検察官「1番だったということ」
被告「はい」
銃や火薬の自作に関する質問は終わり、検察側は事件直前の言動などを確認する。
検察官「令和4年6月下旬に旧統一教会の浦和協会でのイベントに関するメッセージを送り、質問している」
被告「はい」
検察官「安倍氏を襲撃の対象としたのはこの後か」
被告「頭の片隅にはあった」
検察官「確定したのは、おおむね(同年)7月以降になるのか」
被告「はい」
検察側は、事件前日に被告が岡山県の選挙演説会場で安倍氏の銃撃を試みたことについて質問を始めるが、閉廷時間が迫り、質問をいったん終えた。続きは12月2日の次回公判で行われる。