戸谷友則 (TOTANI, Tomonori)

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戸谷友則 (TOTANI, Tomonori)
@tomonoritotani
東京大学の天文学専攻で、研究と教育にあたっています。専門は宇宙論、銀河の形成と進化、超新星やガンマ線バーストなどの高エネルギー天体現象など。著書「宇宙の果てになにがあるのか」「爆発する宇宙」「宇宙になぜ生命があるのか」(以上ブルーバックス)「大学4年間の天文学が10時間でざっと学べる」(KADOKAWA)

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【拡散希望】国立天文台・水沢VLBI観測所の突然の予算半減のニュースが、衝撃を与えています。これは、国や文科省が悪いのではなく、国立天文台執行部が独善的に暴走している結果です。私は執行部に対する批判として、「執行部に対する評価報告書」を執筆し、研究者間で回覧してきました。今回の
arxiv.org/abs/1804.02001 最も近い恒星、プロキシマ・ケンタウリで巨大フレアが起き、68倍の明るさになって、普段の11等から6等級ぐらい、つまり裸眼で見える明るさになったという報告。継続時間は数分。このフレアにより、惑星のプロキシマbはオゾン層が消滅して生命はすめないだろうとのこと。
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水沢VLBI観測所の件を受けて、私の天文台執行部評価報告書がネット上で言及されることが増えてきたため、この報告書を公開することにしました。合わせて、天文学研究者や一般社会への説明のための文章を新たに書き起こしました。まずはこちらをお読みください。dropbox.com/s/yai9ss0p3ijs 評価報告書も
11月10日、重力波を観測しているLIGOが、連星合体などの既知の天体現象の波形と合わない、謎の重力波バーストを検出したというので世界中の理論家は色めき立ったであろうが、今日になって「すいません、人工的なノイズだったようです」というアナウンスが。ズコー。
arxiv.org/abs/1905.01336 地球に最も近い恒星の惑星として注目されていたプロキシマ・ケンタウリbですが、Spitzer 赤外線宇宙望遠鏡で観測したら、なかったとのこと。地上望遠鏡で発見したと思われたのは、この星の激しいフレア活動に起因するノイズだったのだろうと。何ともズコー
KADOKAWAさんの「大学4年間の〇〇学が10時間でざっと学べる」シリーズで、天文版を出させていただきました。様々な天体現象、スケールを扱う天文学は全体像が掴みにくいですが、最新の天文学の風景をざっと掴んでもらうための良いスタート地点となる本を目指しました。ご関心があればぜひ。
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trv-science.ru/en/2022/02/we- 国際天文学連合からのメールニュースで、ロシアの科学者たちがウクライナ侵攻に反対する声明を出していることを知る。「ヨーロッパで新しい戦争を引き起こした責任はすべてロシアにある」「ウクライナはロシアに何の脅威も与えていない」「この戦争は率直にナンセンス」(1/2)
arxiv.org/abs/2008.02296 白色矮星は、冷え切って「黒色矮星」になったら、(陽子崩壊がない場合は)永遠に存在し続けると思っていましたが、この論文によれば、中心部の核反応で炭素や酸素が鉄になり、電子が減ることでチャンドラセカール質量も減り、1.2太陽質量以上の白色矮星はやがて重力崩壊する
水沢観測所の予算削減の件、執行部の問題だけでなく、国の科学予算減の問題もあるだろう、というコメントを見るので、お応えします。それは別の問題として重要ですが、今回は関係ありません。水沢に突きつけられたのは、昨年12月になって、いきなり「次年度からの予算は半分ね」というものでした。
nikkei.com/article/DGXZQO この問題を社説に取り上げてくれたのは嬉しいが、一番肝心なポイントが抜けているように思える。博士号をとっても、任期なしの大学教員ポストが圧倒的に不足していて未来が描けないから、博士課程進学者が減っている。1/
最近、「反知性」とか「反知性主義」とかいう言葉を聞くことが増えて、嫌な気持ちになります。自分と意見の違う人を「反知性」と呼ぶ人に知性は感じませんし、そういう人は結局、自分の知性に自信が無いのではないかと思います。
無事、発売されたようです。「ブルー」バックスといいながら、表紙の色調は本によっていろいろのようで、私の本は赤が基調です。素晴らしい。「赤いな。実にいい色だ!」(私、お面の人と誕生日が同じなのですw)
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arxiv.org/abs/2004.07187 水星の近日点移動(公転の楕円軌道の長軸が1世紀で0.16度だけ変化していく)は、一般相対論の初期の証拠となったことは有名ですが、銀河系の中心の巨大ブラックホールのまわりを16年かけて公転している星S2の軌道でも近点移動が検出された。素晴らしい!
amazon.co.jp/%E5%AE%87%E5%A 初めて、一般社会向けの本を出すことになりました。「宇宙の果て」について、現在の科学でここまでは言えて、ここから先はよくわからない、その辺をしっかり書こうというコンセプトです。予備知識無しで読める宇宙論、天文学の入門書にもなってると思います。7/18発売です!
新刊「宇宙になぜ、生命があるのか」の表紙ができあがりました!編集部の皆さんのおかげで、超カッコいいです!ありがとうございます!7/19頃に書店に並ぶそうです。よろしくお願いします!
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bbc.com/japanese/43579 暗黒物質がない銀河を見つけたというニュース、すでにいくつか反論が出ていましたが、arxiv.org/abs/1806.10141 によれば、そもそも距離を20pcとしていたが正しくは13pcで、それを直したらごく普通の銀河になったという、なんともズコーな話
afpbb.com/articles/-/316 「暗黒物質がない銀河を発見」のネイチャー論文にも反論論文が…球状星団の運動速度から暗黒物質質量を求めますが、数が少なく測定誤差も大きいのでそんな強いことは言えないと
私の感覚では、ネイチャーに出た論文の1/3ぐらいは後で間違っていたと判明するパターンなのでは。ねつ造や不正は論外ですが、検出限界ギリギリのところで発見を主張するので、致し方ない面もある。大事なのはその後の第三者による検証。
jiji.com/jc/article?k=2 「存在しないはず」の、太陽の70倍という重いブラックホールが銀河系内で見つかり、びっくりしましたが、今日になって「いや、我々が解析したら、せいぜい4〜7倍の普通のブラックホールなんですけど」という論文が。
2011年3月の天文学会は、筑波大学で開催予定でしたが東日本大震災で中止になりました。その後筑波大での開催はなく、そして2020年3月、筑波大学で開催予定の天文学会がコロナウイルスで中止の危機。呪われているのか筑波は...
arxiv.org/abs/1804.06768 アインシュタインが宇宙定数を導入して後に撤回し、「生涯最大の失敗」と言ったことは有名ですが、実は一次ソースがなく、ガモフがそう書いているだけです。が、アインシュタインの言動を詳しく調べたこの論文によると、そういうことを言ったことはまず間違いなさそうとのこと
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博士課程の学生に経済支援を行っても、その先に展望が描けなければ、博士進学者は増えない。「一人前の研究者として処遇する」には、任期なしの若手教員ポストを増やすこと以外、抜本的な解決はない。国からの研究助成は、3年、5年といった短期的な研究費に偏っている。2/
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プロジェクト評価委員会でも、その予算削減の努力が評価され、「VERA の完遂を目指して欲しい」と結論されています。それを執行部が突然、「2年前倒しでやめろ。予算はすぐに半分な」と言ったわけです。そして観測所側が何度その根拠の説明を求めても、結局説明が無かった。もう滅茶苦茶ですよ
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「ウクライナがEUに入ろうとすることに共感」「ロシアはいまやのけ者の国」「ロシアは即座に軍事行動を停止し、ウクライナの主権を尊重せよ」など。素晴らしいが、署名した人たちに害が及ばないことを祈りたい(2/2)
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国立天文台全体の予算が、いきなり次年度から半分にすると文科省に言われたなら、理解できますが、もちろんそんなことはありません。そして元々、VERAは終了に向かっていて、2018-2022の四年をかけて、水沢の予算を半分にするという方針が、観測所と執行部の間で合意されていました。私が委員を務めた
arxiv.org/abs/2003.07627 遠方のクェーサーの吸収線から、微細構造定数の変化を調べた論文。天球上で見る方角によって微細構造定数が異なるモデルが、完全に定数の場合に比べて3.7σの有意性で好まれるという。事実なら、ノーベル賞10個分、ハッブル以来の大発見だが...
京都大学せいめい望遠鏡の完成お披露目。私が京大に在籍していた頃、実現するのはまだまだ先かなあと思っていましたが、古巣の皆さんの超人的な頑張りで本当にできてしまいました。感無量です。次は東大TAO望遠鏡の番です!
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昨日、文京区こどもカレッジで講演しました。「ニュートリノは地球でも太陽でも通り抜けてしまう」「ブラックホールに落ちたら光も出てこられない」などと話して、最後に出た質問「ではニュートリノはブラックホールを通り抜けることはできるのですか?」鋭い!まさに「矛盾」の故事。
sorae.info/030201/2019_3_ 小口径ながら広視野で、世界最高のサーベイ能力をもつ東大木曽観測所シュミット望遠鏡の新カメラ「トモエゴゼン」がいよいよ動き始めました。名前の由来はもちろん、木曽のヒロイン、巴御前から。是非、思いもよらない新種の変動天体を見つけて欲しい。
米国の今後10年の天文学の方向性を決める Decadal Survey 2020 が日本時間午前0時に発表されます。注目はTMTの順位。これは米国でTMTが予算を取れるかどうかに大きく影響するもので、それは参加国である日本の光赤外天文学の将来に直結。
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らしいです。そこまでにかかる時間はざっと10の1100乗年!その頃は普通の恒星はとっくに死に絶えているはずで、宇宙が熱的死を迎える前の、最後の天体現象かも。こういう、観測可能性をはなから度外視した研究、結構好きです。
arxiv.org/abs/2205.06880 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)が静止して見える系(宇宙の物質分布の静止系)に対して、太陽系が秒速370kmでかっ飛んでいることは、地球が向かう方向でCMBが明るく見えていることからよく知られていますが、この論文では電波で光る多数の銀河を調べたところ、(1/2)
政治的な話はツイッターではしないというルールを自ら課していたのですが、今回は当事者でもあるのと、さすがに腹に据えかねるものがあるので書くことにします。例の、天文学会からの安全保障研究についての声明の件です。
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「なかった」は早とちりだったかも。視線測度法で元々見つかったもので、「さらにトランジットでも見つかった」という報告があったが、それを否定するもので、惑星の存在そのものを否定するものではないかも知れません。
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それが、国力や身の丈にあった戦略だったと思う。その意味では、国力を無視して無理をした結果の「科学敗戦」(文春)と言われると反論しづらい面もある。KAGRAに限らず、日本の科学プロジェクトにはしばしばそういう面が見られ、飲み会で冗談半分に「太平洋戦争から変わってないよね」と話すことも。
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短期的研究ばかりに投資するのではなく、そのお金を、任期なしの若手研究者職を増やすために投資してほしい。短期の研究費で進むのは「流行りの研究」=「後追いの研究」であり、そんなところからはノーベル賞の研究は出てこない 3/
以前、暗黒物質がほとんど無い銀河が見つかって、標準宇宙モデルによる構造形成理論と合わない?と騒がれましたが、最新のシミュレーションによって、標準モデルの中でそういう銀河がたまにはできる、ということを示した論文。銀河と銀河が正面衝突すれば、暗黒物質は互いに