台湾巡るトランプ米大統領の助言報道は事実ではない-官房長官が否定
Isabel Reynolds、照喜納明美-
米大統領から台湾問題で中国を挑発しないよう助言あったとWSJ報道
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記事の取り下げ求めるか問われ「既に申し入れ行った」と官房長官
トランプ米大統領が台湾に関連して高市早苗首相に助言したとされる報道について、日本政府は、事実に基づいたものではないと否定した。木原稔官房長官が27日午後の記者会見で明言した。
木原氏は、25日の日米首脳電話会談に関する報道で、トランプ大統領から台湾の主権に関する問題で中国政府を挑発しないよう助言があったとの記述があるが、「そのような事実はない点は明確にしておく」と述べた。
報道した米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に対して記事の取り下げを求めるか問われ、「既に申し入れを行った」と話した。

WSJは、トランプ大統領が高市首相に対し、台湾を巡る発言の語調を和らげるよう助言したと、事情に詳しい関係者からの情報を基に報じた。同紙によると、助言は控えめなもので、高市氏に発言の撤回を求めるような圧力はなかったという。
会見に先立ち、政府関係者は匿名を条件に、報道が事実でないことをブルームバーグに明らかにしていた。在日米国大使館にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
高市首相は25日の会談後、トランプ大統領から中国の習近平国家主席との電話会談で、最近の米中関係について説明があったとし、「日米間の緊密な連携を確認できた」と述べた。日米同盟の強化、インド太平洋地域が直面する情勢や諸課題について幅広く意見交換を行ったとしながらも、詳細については明らかにしなかった。
ロイター通信は27日、電話会談でトランプ大統領が高市首相に対し、日中関係悪化のさらなるエスカレーションを望まないとの考えを伝えていたと、複数の日米関係筋からの情報を基に報じた。トランプ氏から特別な注文があったわけではないとしている。
高市首相は7日の国会答弁で、台湾有事への対応について、戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうるケースだと考えると発言。その後、撤回を要求する中国との関係が急速に悪化している。26日には、事例を「具体的に言及したいとは思わなかった」と釈明していた。
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