選挙事務所に車突入、被告は無罪を主張 地裁初公判
茨城県石岡市で昨年12月、県議選投開票日に保冷車が選挙事務所に突っ込み、候補者の叔父がひかれ死亡した事件で、殺人と窃盗、器物損壊の罪に問われた元暴力団幹部、設楽啓一被告(43)の裁判員裁判初公判が22日、水戸地裁(根本渉裁判長)で開かれた。設楽被告は「私は犯人ではありません。無実です」と無罪を主張した。
公判は被告が犯人かどうかを審理し、検察側の中間論告と弁護側の中間弁論を経ていったん評議。その後、殺意の有無を審理して論告求刑・最終弁論が行われ、量刑を判断する。2段階で論告・弁論を行うのは異例で、裁判員が争点ごとに判断しやすいようにとの配慮とみられる。判決言い渡しは12月22日の予定。
検察側は冒頭陳述で、目撃などの直接証拠はないとした上で「保冷車を盗んだのは被告で、動機があり、計画を他人に打ち明けていたことなどの証言による間接証拠から立証できる」とした。弁護側は「自白はなく、第三者の可能性が残らないよう慎重に判断してもらいたい」と述べた。
起訴状によると、昨年12月12日午前10時半ごろ、保冷車でプレハブ事務所に突入。戸井田利雄さん(当時62)を死なせるかもしれないと認識しながら急加速し、ひき殺したとしている。〔共同〕