「治外法権」に罰則を 長崎のいじめ遺族、6万筆超の署名を国に提出
長崎県の私立海星高でのいじめ被害を訴える手記を残し、2017年に自殺した男子生徒(当時16歳)の両親が26日、いじめ防止対策推進法の改正を訴える6万4792筆の署名を衆参両院と文部科学省に提出した。いじめ対策を怠った学校法人や自治体に対する罰則規定の新設を求めている。 【写真で見る】いじめ訴える日記に担任がつけた花マル 署名は、法に基づく「いじめ重大事態」の調査結果が隠蔽(いんぺい)されたり虚偽だったりした場合に、学校を設置する法人や自治体に対する罰則を科す法改正を求める内容。23年12月からオンラインで集めた。 文科省に対しては、公立・私立を問わずいじめ事案を自治体内で一元管理し、いじめ重大事態の調査記録を永久保存して再発防止に役立てるよう求める要望書も提出した。 男子生徒は17年4月、いじめを示唆する遺書を残して命を絶った。学校法人が設置した第三者委員会は18年、男子生徒が受けていたいじめが自殺の主因になったとする報告書を作成したが、学校法人は受け入れを拒否。両親は22年、学校法人に損害賠償を求める訴訟を起こし、長崎地裁で係争中だ。 署名提出後に文科省で記者会見した両親は、県や国に相談しても私立高への対応をたらい回しにされたとした上で「私立がいじめを認めず、遺族に不誠実に対応してもそれがまかり通る。私立は治外法権のような状態だ」と主張。「子どもの命に私立も公立もない。息子の死を無駄にすることなく、いじめに苦しむ子どもや家族が少しでも救われる社会の実現に向け活動したい」と述べた。【斎藤文太郎】