アレルギーが皮膚から起こる経緯をしりたい | アレルギーのしくみ

アレルギーが皮膚から起こる経緯をしりたい

テーマ:医学

英国ではピーナッツアレルギーに悩まされる乳幼児が多くいますが、子供たちはピーナッツを日常的に口にしているわけではないにもかかわらず、一定の割合でピーナッツアレルギーになります。

ギデオン・ラック教授は、この原因を調べていくなかで、皮膚に塗るベビーオイルにピーナッツオイルが含まれていることを突き止め、2003年、「食物アレルギーは食べ物からではなく皮膚から起こる可能性がある」という説を発表しました。

ピーナッツアレルギーを発症した49人を追跡調査した結果、じつに91%がピーナッツオイルを配合したピーナッツオイルを塗っていたのです。 

このラック説の裏付けになったのがら「フィラグリン」という皮膚のバリア機能を司るタンパク質の働きです。

2006年、「先天性魚鱗癬」という全身の皮膚が魚の鱗のようになってしまう珍しい病気の患者さんから含まれて遺伝子の変異が見つかり、この変異がアトピー性皮膚炎になる人にも多く見られることがわかりました。

フィラグリン遺伝子に変異のある人がアトピー性皮膚炎になる確率は、変異のない人のじつに4倍以上。アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくのように人口の10〜20%がかかるありふれた病気で、これほどまでの数字が出ることは滅多にありません。

こうした事実が明らかになることでアレルギーと皮膚の関わりに注目が集まり、徐々に保湿の重要性が認識されるようになり、現在では2009年にラック教授が発表した次の説(二重抗原曝露説)が主流となっています。

①皮膚で感染されたアレルゲンが食物アレルギーを発症させる

②口から摂取したアレルゲンは免疫寛容をうながし、アレルギーを防ぐ働きをする

消化管である腸には、毎日大量の食べ物が入ってきますから、体の維持に必要な成分には免疫の過剰反応が起こらないよう「免疫寛容」と呼ばれる現象が働きます。口から摂取したアレルゲンは、もともと消化されやすい面がありますが、この免疫寛容がうながされることでアレルギーの発症を防いでいる可能性があるのです。

ちなみに、この免疫寛容に関わっているのが「制御T細胞」です。過剰なヘルパーT細胞の働きを抑えることで、IgE抗体を作るTh2の働きが突出しないように制御する役割を担っています。

皮膚の表面にも制御性T細胞は存在していますが、消化管のように大きな分子の食べ物を分解する機能がないため、外敵と見なされやすい傾向にあります。傷口からアレルゲンが侵入してくることは異常事態にほかならず、腸のように免疫寛容がうまく働いてくれません。そのため、Th2の過剰反応が起こりやすくなるのです。