第1章
法然とその時代

相次ぐ戦乱、頻発する天災や疫病、逃れられない貧困など、平安時代末期の人々は苦悩に満ちた「末法(まっぽう)」の世に生きていました。この時代に生を享けた法然は、比叡山で天台僧としての修行を積みますが、43歳の承安5年(1175)、唐の善導の著作によって専修念仏の道を選びました。「南無阿弥陀仏」と称えれば救われるという教えは幅広い階層の信者を得ます。しかし、既存の仏教界からは念仏を止めることが強く求められ、ついに法然は75歳のとき讃岐国(香川県)へ配流されるに至りました。やがて帰京し、80歳で往生を遂げます。本章では、浄土宗の歴史のはじまりである、祖師・法然の事績や思想をたどります。

重要文化財「選択本願念仏集」

帖首

冒頭が宗祖・法然の自筆と伝わる、浄土宗の根本宗典

重要文化財選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)廬山寺本(ろざんじぼん)

鎌倉時代・12~13世紀 京都・廬山寺蔵 前期[10月7日(火)~11月3日(月・祝)]

建久9年(1198)九条兼実の要請によって法然が撰述したとされる。念仏こそが末法の世にふさわしい行であることを体系的に述べた日本仏教史上重要な文献。本書は冒頭に法然の自筆が含まれるといわれるもの。

重要文化財「法然上人坐像」

数少ない鎌倉時代の作、法然の肖像彫刻

重要文化財法然上人坐像(ほうねんしょうにんざぞう)

鎌倉時代・14世紀 奈良・當麻寺奥院蔵(画像提供:奈良国立博物館) [通期]

鎌倉時代に造られた数少ない法然の彫像である。頭の頂が平らで角張った形が肖像画からうかがえる法然の特徴だが、この像の頭部は丸い。年齢は数ある画像より若い壮年期に見える。肖像画を写したのではなく、記憶から造ったのかもしれない。

宗祖・法然の足跡をたどる長大な聖典

重要文化財「法然上人坐像」

(部分)

国宝法然上人絵伝(ほうねんしょうにんえでん) 巻第六

鎌倉時代・14世紀 京都・知恩院蔵 後期[11月5日(水)~11月30日(日)]

全48巻に及ぶ大部の法然伝。法然の生涯だけでなく、浄土宗に帰依した公家・武家や弟子たちの事績までをも収めた、数ある法然伝の集大成といえるもの。「四十八巻伝」、または後伏見上皇の勅命でつくられたと伝わることから「勅修御伝」とも呼ばれる。


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