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世界を動かす環境問題への挑戦者たち
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【独自】データセンター・ブームの「影」。全米1240施設を徹底調査、深刻化する「AI環境問題」の実態が明らかに

AI(人工知能)がもたらす“約束”はまだ形成途上にある。しかし、その心臓部とも言えるデータセンターのコストはすでに現実のものとなっている。
AI(人工知能)がもたらす“約束”はまだ形成途上にある。しかし、その心臓部とも言えるデータセンターのコストはすでに現実のものとなっている。
John-David Richardson for BI
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データセンターの環境への影響に関しては、さまざまな推定値が飛び交っている。だが、Business Insiderはその裏付けとなる実データを入手した。

OpenAI「スターゲート構想」には、NY市1個分以上の電力が必要…でもそれは「氷山の一角」に過ぎない | Business Insider Japan

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ビッグテック5社で「50兆円投資」計画

高速道路の脇、ワイオミングの果てしない草原に面して、1つの建物が横たわっている。その建物は、ディズニーランドのイマジニア(テーマパークの企画・設計者)が人々に気づかれたくないものに使うような、緑がかった灰褐色で塗られている。

しかし、その長い側面に授乳中の子犬のように寄り添っている9つのセミトレーラーサイズの緑色の箱が、それが何であるかを物語っている。それらは巨大な熱交換器であり、中にある黒いピザボックス型のコンピュータ群を冷却するためのものだ。シリコンを通して電子を絞り出し、ストリーミング・ビデオから暗号通貨まで、あらゆるものを動かしている。

この施設は、ワイオミング州の州都シャイアンに複数あるデータセンターのうちの1つだ。これらの回路がうなりを上げる“巣箱”が現代のデジタル経済を支え、AIに必要な前例のない量のデータと計算を管理している。

テック企業各社は、AIを基盤にした不確かな未来の覇権をめぐってしのぎを削っている。アマゾン(Amazon)マイクロソフト(Microsoft)メタ(Meta)、そしてグーグル(Google)の親会社アルファベット(Alphabet)は、2025年だけで少なくとも計3200億ドル(約49兆1200億円、1ドル=153.5円換算、以下同)をデータセンターの施設・設備に投じると述べており、その大部分がAI向けだ。

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全米1240カ所のデータセンターを調査

Business Insiderの記者と編集者のチームは数カ月にわたり、この全国規模のインフラプロジェクトを徹底的に調査してきた。データセンターの包括的な全国リストを作成するために、私たちは施設の建設許可に関する膨大な書類を調べた。そして、各施設がどれだけの水と電力を使用しているのか、あるいは使用すると予想されるのか、さらには人々の日常生活にどのような影響を及ぼしているのか——を明らかにした。

Business Insiderは、1976年以降に運用を許可された1240カ所のデータセンターの記録を確認した。過去10年間で、都市並みの電力と、1日あたり数百万ガロン(1ガロン=約3.785リットル)もの水を消費する巨大データセンターの建設が急増した。データセンターのホットスポット(集積地)として、いくつかの地域が浮上している。その先頭に立っているのが、バージニア州北部とアリゾナ州マリコパ郡だ。
Business Insiderは、1976年以降に運用を許可された1240カ所のデータセンターの記録を確認した。過去10年間で、都市並みの電力と、1日あたり数百万ガロン(1ガロン=約3.785リットル)もの水を消費する巨大データセンターの建設が急増した。データセンターのホットスポット(集積地)として、いくつかの地域が浮上している。その先頭に立っているのが、バージニア州北部とアリゾナ州マリコパ郡だ。
Business Insider

Business Insiderは、2024年末時点でアメリカ国内に建設済み、または建設許可が下りているデータセンターが1240カ所あることを突き止めた。これはこれまでで最も包括的な集計だ。その数は2010年時点の約4倍に上る。うち数百カ所は主にAIを動かすために建設された「ハイパースケーラー」と呼ばれる巨大施設で、世界経済を数兆ドル規模で再構築する壮大な賭けが、物理的な形として現れたものだ。

テック企業は、AIアルゴリズムが医師に取って代わり、驚くほど正確に災害を予測し、宇宙観を変えるような理論を生み出し、パーソナルアシスタントとして機能し、子どもたちを教育し、さらには……人間の“相手”にもなり得る世界を思い描いている。

地域住民が支払っている“代償”

「創造する能力がなければダメですよね?」と語るのは、シャイアンのデータセンターを所有する、クラウドインフラやデータセンター運用を手掛けるルナヴィ(Lunavi)のCIO(最高情報責任者)兼共同創設者のコートニー・トンプソン(Cortney Thompson)氏だ。「それが他社のプラットフォーム上であれ、自社のインフラ上であれ、創造と革新のためのリソースを確保しておく必要があるんです」。

それがプラス面の可能性だ。しかし、Business Insiderの分析はその裏にあるマイナス面——つまり、いま私たちが支払っている代償——を明らかにした。

取材の結果、私たちはアメリカのデータセンターの10カ所に4カ所(全体の4割)が、深刻な水不足に悩む地域に立地している(あるいは今後そのような地域に建設される予定である)ことが分かった。中には、1日当たり数百万ガロン(1ガロン=約3.785リットル)の水を使用する許可を得ている施設もある。

Business Insiderの試算では、アメリカのデータセンター全体の電力消費量は、まもなく人口3660万人のポーランドが2023年に使用した電力量を上回る可能性がある。連邦政府の推計によると、その消費量は今後3年間で最大3倍に達する見通しだ。

Business Insiderの推計によると、その需要を賄う発電所が排出する汚染物質によって、年間57億ドルから92億ドル(約8755億円から1兆4122億円)規模の公衆衛生コストが発生する見込みだ。

納税者が支えるAIブーム

アメリカのデータセンター数の推移

建設許可が下りた年別にまとめた全米のデータセンター数の推移。
建設許可が下りた年別にまとめた全米のデータセンター数の推移。
Business Insider

地方自治体は、自らの地域を高給のハイテク産業拠点へと再構築することを期待してプロジェクトを奪い合っており、その結果、このブームの多くを納税者が補助金という形で支えている。Business Insiderの調査によると、オハイオ州中部などの多くの都市ではテック大手に対して大規模な税優遇措置を講じており、地域に企業がもたらす雇用1人当たりの金額に換算すると、1人当たり100万ドル(1億5350万円)以上もの税収を注ぎ込んでいるケースもある。

業界関係者は、こうした負の側面を軽減または相殺するための取り組みを進めていると説明する。年間数十億ドル規模の投資をグリーンエネルギー・インフラの整備に充てたり、水源の回復費用を負担したり、より効率的な技術の開発を進めたりしているという。彼らはアプリやデバイスだけでなく、社会そのものを変革し得る技術を求める消費者や企業からの需要に応えているのだと強調する。そして、そうした投資は最終的に十分な価値を生むと信じている。

いずれにせよ、その代償の“支払い期限”は迫っている。


データについて:Business Insiderは、データセンターの非常用発電機に対し発行された大気排出許可をもとに各施設の所在地と所有者を特定し、電力使用量を推定した。全米50州のうち、4州を除くすべての州とワシントンD.C.から許可情報を取得している。データセンターの増加がもたらす影響をどのように調査し、推定したのか、その詳細はこちらを参照。

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