「クルド人がいないと解体業が成り立たない」への意外な反論 危険な現場でクルド人の死亡事故も
先の参議院選挙前後から注目度が高まっている「外国人問題」。その象徴として語られることが多いのが、「クルド人問題」である。 【写真を見る】「知らなかった…」 「民家の解体」は、坪いくら?
日本にいるクルド人の多くは、迫害されたかわいそうな難民なのか、それとも単に仕事を求めてきた出稼ぎなのか――こんな論点もよく取り上げられる。 前者の立場の人の中には「クルド人問題」という言葉自体も問題だとする人もいる。特定の人種にのみ問題があるような印象を広める、ということだ。 また、後者の見解は認めつつも、「彼らなしでは解体業が立ちゆかなくなる」といった事情からクルド人への共感や連帯を示す人は少なくない。なんにせよ貴重な労働力だ、という意見である。
ジャーナリストの三好範英氏の著書『移民リスク』には、クルド人自身のこんな主張が紹介されている。 「外国人はいなきゃいけない存在になっている。クルド人の解体業者は百何十社あって、毎日関東で500〜600件、仕事をやっている。それが1週間、1か月、なくなったらどうなる。関東の経済に影響する」 実際はどうなのだろうか。 たしかに日本人が嫌がる仕事を多く請け負っている面はあるのだろう。しかし、日本人の解体業者は複雑な心境を抱いているようだ。 その当事者の本心がメディアで伝えられる機会は少ない。 同書で三好氏は、日本人業者への取材も行っている。すると、クルド人側の「いなきゃいけない存在論」に対する意外な反論が返ってきた。 (以下、『移民リスク』(新潮新書)から抜粋、一部再構成しました) ***
不法就労者の劣悪な就労環境
関東地方で解体工事を請け負っている大橋解体工業(茨城県結城市)の大橋紀之専務(32歳)は、X(旧ツイッター)で解体業の実態や問題について発信している。その中にはクルド系解体業者の問題を扱ったものもあったので、業界の実態について話を聞いた。 大橋専務によれば、「わが社なら坪5万円でないとやらない物件を、クルド系の中には、2万円台で受注している業者がある。社会保険、工事保険、車両保険に非加入で、不法就労や不法投棄を行い、日当8000〜1万5000円で作業員を雇わなければとても成り立たない」 「解体工法や重機の選定も無茶が多く、壁がそのまま後ろに倒れるとか、いつ起きてもおかしくない。このままだと作業員だけでなく、第三者を巻き込んだ死亡、けが、物損事故などが起きると思いますよ」 2020年にはクルド人作業員の死亡事故が起きている。