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アビドス高等学校の敷地内にある体育館。
そこにいるのはホシノだった。その立ち姿は、どこか緊張しているように思える。
体育館の入り口辺りから、こちらに向かって駆けてくる音が聞こえた。
「ごめん。待たせちゃったね、ホシノ」
「ううん。いいんだよ、先生」
扉を開けて、足を踏み入れたのは先生だった。
体育館の中央辺りに先生が歩いてきたところで、ホシノが駆け寄る。
「それで……本当なの? 例の件」
「うん。調べ終わったよ。過去に、退学して行方不明になった生徒について」
「っ……!」
柴関で出会ったアル達を送った後、ホシノを含め対策委員会達は先生と『
その最中、先生から伝えられたのだ。
『例の調査が終わった』と。
「うへ。それにしても、仕事が早いね〜先生。結構な人数いたんじゃないの?」
「あはは……まあね。少し睡眠時間を削っちゃった。ブイブイっ」
「いやいや。そこはVサインするところじゃないでしょ〜? ……頼んだおじさんが言えることじゃないけど」
「遠慮しないで! 私は先生で、ホシノより大人なんだから」
少し表情に陰が差すホシノに、先生は前屈みになって正面から笑ってみせる。
胸が大きくて、長髪で、太陽のようなその笑顔。勝手にその姿に、過去いた自分の先輩が重なる。
「っ……うへ。流石、頼りになるなぁ」
ホシノは顔を背けたかった。だが出来ない。
なので、微妙な笑みを浮かべるだけに留めた。
何か話さなければ、心が沈んでいきそうだ。なのでホシノは口を開く。
「でも、あまり無理しないでね。大人とはいえ、身体を壊しちゃう」
「大丈夫っ。私には『顔無し』がいるし。私が無理すると、すぐに助けてくれるんだ」
先生は嬉しそうに続けた。
「アビドスにいる間、同じホテルで過ごしてるんだけどね? 徹夜して眠った私をわざわざベッドまで運んで寝かせてくれたんだ。本当に優しい子だよ、『顔無し』は」
「……へー。紳士だね」
にへにへ、と笑う先生にホシノが白けた目を向ける。
生徒……ではないが、年下の男の子を思い出す時の顔じゃないと思われたのかもしれない。
今の自分は、10代の少年の身体の感触や彼による介抱を思い出し、顔を喜色に染める20代女性だ。犯罪臭が凄い。
先生はそう考え、咳をする。そして真面目な表情を作った。
「それでね……結果についてなんだけど、いいかな?」
「……うん」
先生から向けられる視線に、ホシノは頷く。
そしてそんな彼女を見て……先生は申し訳なさそうな表情で言った。
「退学者は何百人、何千人もいた。でもね……行方不明者は誰もいなかったよ」
「ッ……!!」
すると、ホシノは拳を強く握る。
強く歯を噛み、吊り上げられた目尻からは涙が零れ落ちた。
先生は様子が変わったホシノに驚く。
「ホシノ!?」
「ごめん、斑目……! 私、バカだ、今更になってこんな……! 気付くのが遅過ぎるよ……!!!」
呼び掛ける先生の声は、ホシノには聞こえていない。
ただ、ごめん、ごめんと謝り続けている。
彼女の脳裏に浮かぶのは、自分に発砲されアビドス高等学校を後にする、同級生の姿。
彼が向かう先は暗闇だ。その姿が消えた後、見えたのは嗤う黒服の姿だった。
「黒服……!!!!」
怒りに染まったホシノは、地獄の底から響くような低い声を出す。
ホシノは斑目ユウの退学届をずっと保管していた。
それを連邦生徒会含め、現物も情報もアビドスの外に出したことはない。
手を差し伸べてくれない者達に、大切な同期の情報等渡したくないという、一種の独占欲のようなものだ。
だからもし、先生が『行方不明者がいた』と言ったのなら、怒りを向けるにしろ、黒服に対してここまでの感情を向けることはなかった。
それが表すのは黒服の証言が正しかったということだ。他校に、アビドスの借金を減らすために実験に参加し、行方不明となった生徒がいるのだと。
だが違った。他校に行方不明者はいない。
一方で、アビドスにはいる。
斑目ユウという人間が。
ホシノはようやく気付いたのだ。
実験体となり、黒服に身を差し出すことで借金を半額減らしてくれたのは……斑目だと。
「あぁぁぁぁぁ……っ!!!」
それに今になって気付いた。
ホシノは呪う。彼をそのような状況に追いやった、過去の自分の行動を。
ホシノは呪う。素直に黒服の言葉を鵜呑みにした自分を。
ホシノは抱く。同期を実験台にした黒服に対する殺意を。
あらゆる負の感情に襲われ、彼女の喉から苦しげな声が発せられる。
「ゔぁぁぁぁぁぁ……!!!!」
「ホシノ……」
彼女に何があったのかは分からない。
でも自分が容易に踏み込めるようなことではないと、先生は直感する。だからどう声を掛ければいいか、分からなかった。
そんな時だ。自分が持つ端末が震えた。
見てみると、モモトークに通知がある。『顔無し』からだった。
『先生。書記ちゃんが校舎南15km地点付近で、大規模な兵力を確認したようだ。日雇いの傭兵らしい』
『対策委員会の皆、指揮を待ってる。そこに委員長もいるか? いたら連れてきてくれ』
先生は視線をホシノに向ける。
「……ホシノ。ごめん、傭兵達が攻め込んできたって、『顔無し』が……いけ、そうかな?」
「!……ゔん。いけるよ……傭兵か、結構高いはずだけど」
『顔無し』、という単語にホシノが反応した。
立ち上がり、腕で力強く涙を拭き取って、力強く銃を握る。
そうだ。今は沈んでいる場合ではない。
それに自分の予想が正しければ、『彼は死んでいない』。
奇跡的に今、生きている。
姿を変えて、ずっと自分達を見守ってくれていた。
「よかった。じゃあ、『顔無し』に『これから向かう』って送っとくね」
「うへ。心配掛けてごめんね、先生」
体育館を出ていく先生に続くホシノ。
素早く終わらせる。そう意気込む彼女の瞳は、昏くなっていた。
場所は変わり、対策委員会の部室にて。
『顔無し』は先生からの返信を、部室にいる全員に伝えた。
「先生と委員長がこれから来るらしい。校門前で合流するだろうし、俺達も出よう。書記ちゃんはここでサポートよろしく」
「はい! 『顔無し』さん、皆さん、相手の兵力は大規模なものです。お気を付けて!」
全員がアヤネに頷きを返し、廊下に出る。
シロコが溜息と共に、ぽつりと呟いた。
「まさかヘルメット団の他に、傭兵まで攻めてくるなんて……」
「ヘルメット団の装備といい、今回の傭兵といい、相手の資金力は中々のようだな」
だとすれば、早めに決着をつけたい。
『顔無し』は砂漠の中で殆ど孤立した状態のアビドスが、このまま耐久戦を行うことになった場合を考えてみる。
生徒も資源も少ないこちらは、負ける確率の方が高い筈だ。
「ぐぬぬ……少しぐらいそのお金分けてくれればいいのにっ。卑怯よ卑怯!」
「卑怯ではないんじゃないか……? 俺等は力、敵は金。互いのアドバンテージで削りあってるだけだろ」
歯軋りを鳴らすセリカを『顔無し』が宥めていると、後ろから先生とホシノが合流する。
「いやぁ〜。ごめんごめん、待たせたねぇ。それじゃ、敵さんの顔を拝みに行こうかー」
そして校門前へ辿り着いた、アビドス一同。
部室内にいるアヤネが、声を上げた。
『前方に傭兵を率いている集団を確認!』
続いて、校門前にいる『顔無し』達も傭兵を率いる集団を視界に収める。そこには便利屋68の姿があった。
「あれ……ラーメン屋さんの……?」
「……600円以下のメニューを探してたの、これが原因か」
「ぐ、ぐぐっ……」
ノノミが呟き、『顔無し』は頭を掻く。
今回は傭兵を雇い過ぎたため、金欠になったことが分かった。
「誰かと思えばあんた達だったのね! ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!!」
まあでも、普通に散財するよりかはいくらかマシか。
気まずそうに顔を歪めるアルに対する、セリカの怒声をBGMにそう思うことにした。
俯いているアルと視線が合う。それが凄く弱々しく感じ、何か一つフォローしようと思った。
大人に叱られる子供に助け舟を出す、もう一人の大人になった気分だ。
「……あー。取り敢えず、警戒のためにお金を使ったのはいいことだ……成長したな。今度は使う額を考えような?」
「やめて! そうやって優しくされるのが、一番心にくるのォー!!」
頭を抱えて叫ぶと、迷いを振り払うようにアルはそのまま頭を振る。
そして、顔を上げビシッとアビドスの面々を指差した。
本調子じゃなくなる前に、攻撃に転じる。
「このままじゃいけないわ! 総員、攻撃!!」
「前回はしてやられたが、今回は俺のホームだ。勝たせてもらうぞ」
数も味方の数も、優位に立っているのはアル達だ。
だが今度は地平線が見える地上。味方も心強い。負ける気がしなかった。
VS便利屋68。
リベンジマッチ、開始。
足りないよ、ホシノ。
それは飽くまで、『斑目ユウ』の真実だ。
真相はね。君が思っているより、歪み淀んだ先にあるのだよ。
ゲラゲラゲラゲラ。
一つのイベントにつき、話数を使い過ぎ? 文字数とか内容を削った方がいい?
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使い過ぎ
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丁度良い
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寧ろ少ない!!