千葉県君津市の老舗酒蔵「宮崎酒造店」が、マグロをおいしく味わうためのユニークな地酒「純米大吟醸 まぐろ結び」の販売を始めた。スッキリとした酸味のある味わいで、赤身の魚と合わないとされている日本酒のイメージを覆す逸品。ふるさと納税の返礼品としても出品される予定で、君津の新たな名物として定着させたい考えだ。
宮崎酒造店は、来年で創業160年を迎える。令和5年に穴太(あのう)ホールディングス(木更津市)が事業承継し、伝統的な酒造りを引き継ぎながら商品開発を進め、まぐろ結びを生み出した。
本来、魚のにおいが強調されてしまうため、赤身の魚と日本酒はペアリングが難しいとされる。そこで、アルコール度数を抑え、甘さと酸味が際立つ味わいに仕上げ、マグロとの調和を実現。すしに欠かせないガリのようなイメージだという。米は地元で栽培された「粒すけ」を使った。
宮崎酒造店の戸波昇社長は「マグロとのペアリングのために日本酒らしさをあえてなくした。酸味で口の中をスッキリさせ、マグロの脂身とも合い、箸が進む」と強調する。
海外で和食文化が広がり、日本酒の認知度も高まる中、日本らしいマグロの魅力を引き立てる酒を造ることで、海外への輸出も狙いたいという。戸波社長は「最初はサーモンかマグロで悩んだ。私がマグロを好きだったからというのも理由の一つ」。
消費者の志向の多様化で、酒蔵も趣向を凝らした商品が求められている。引き立てる料理の対象をあえて絞ることで、ほかの酒との差別化を図る狙いもある。
マグロのイラストをあしらったスタイリッシュなデザインのラベルで、300ミリリットル(1500円)、720ミリリットル(3300円)の黒の瓶に詰めた。宮崎酒造店や穴太商店君津店などで販売している。
地元の地酒祭りで振る舞った際の評判も上々。戸波社長は「伝統をしっかりと守りつつ、新しい切り口の日本酒で、普段飲まないような人にも知ってもらうきっかけになれば」と話した。(松崎翼)