開発許可から6年 投資商品「みんなで大家さん成田」の遅れの経緯は
成田空港(千葉県)近くの開発用地への不動産投資商品「みんなで大家さん成田」の分配金支払いが遅れ、政府が100%出資する成田国際空港会社(NAA)は27日、不動産会社「共生バンク」(東京都千代田区)と結んでいる土地の賃貸借契約を11月末で終えると発表した。どんな投資商品で、いつ始まったのか。
年間旅客数3千万人の成田空港から北西に4キロほど。一帯の約45・6万平方メートルは、都市計画法上では原則、建物を建てられない市街化調整区域だった。
成田市、千葉県が許可 NAAが土地を貸し
成田市は共生バンクの申請に基づいて2019年10月、開発許可を出した。うち約6・3万平方メートルは同月、千葉県が農地からの転用を許可した。
土地全体の約4割はNAAが所有する。NAAは20年9月、共生バンクに年間賃料額約1800万円で貸す契約を結んだ。
20年11月、開発用地への投資をうたう「みんなで大家さん成田」の販売が始まった。不動産特定共同事業法(不特法)に基づき、共生バンク子会社の「みんなで大家さん販売」(販売社)が売り、グループ会社の「都市綜研インベストファンド」(ファンド社)が運用した。
共生バンクは開発用地に「ゲートウェイ成田」と称して、「5千席超のアリーナ」や「成田エリア最大級の客室数のホテル」を造ると主張している。
「不動産投資をもっと安心、簡単に」 想定利回りは「7%」
「不動産投資をもっと安心、簡単に」。みんなで大家さん成田の勧誘資料ではこう説明し、1口100万円から出資すれば「想定利回り7%」などとしていた。土地や募集時期ごとに商品を1~18号に分け、今年9月までに合計約1580億円を集めたという。テレビCMも流された。
ゲートウェイ成田は未完成だが、分配金はどのように調達しているのか。
共生バンクなどによると、例えば16号については、集めた資金でファンド社が別の子会社から開発予定地の一部を購入し、子会社「成田ゲートウェイプロジェクト4号」に貸して賃料を得る仕組みという。賃料について、この子会社はこれまでの朝日新聞の取材に「自己資金」だと共生バンクを通じて回答していた。
今年6月17日、東京都が販売社に、大阪府がファンド社に対して、それぞれ不特法に基づき、新規契約など業務の一部停止(30日間)などの行政処分を出した。
処分では16号を挙げ、開発許可の対象ではない土地を契約書類に記載し、事業プランの変更に関する出資者への説明が不十分だったなどと指摘した。
7月、分配金の支払いが遅れた。8月、9月、10月分も支払いはなかった。出資者の1191人がファンド社を相手取り、出資金計約114億の返還などを求めて大阪地裁に提訴したことを、代理人が11月5日に発表した。
11月25日には、成田市が開発登録簿の「工事完了予定年月日」について共生バンク側からの4回目の変更届を受理。「完了予定」は当初の21年3月が、いまは27年8月になっている。
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着工後の工事の遅れについて共生バンクは11月26日、朝日新聞の取材に文書で回答した。内容は以下の通り。
地盤改良の必要性や、各種インフラ設計の調整や国道の接続部分に関する関係各所との調整など、現場に起因する事象もございますが、長きに亘るコロナ禍とロシア・ウクライナ戦争による建設資材や諸物価の高騰などの外的影響により、開発事業者が事業計画の見直しを行い、プロジェクトそのものの価値を上げるために事業計画のブラッシュアップを行ったため、ブラッシュアップ期間の休工とその設計変更によることが最大の要因でございます。