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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
虚塔の宴

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VSスカベンジャー ROUND6

元から説明する事にした。

久々の4000字超えとは……

『では、今日のニュース解説です。

 未だ国政を揺るがす樺太疑獄こと樺太銀行のマネーロンダリング事件についてですが、経済部の〇〇さんとコメンテーターの神戸教授にお話を聞きたいと思っております』


『よろしくおねがいします』


『では、〇〇さん。

 そもそもの話になるのですが、マネーロンダリングとは何なのでしょうか?』


『はい。

 まず前提として現代社会はマフィアをはじめとした反社会組織と対峙しており、反社会組織およびその関連企業との取引を禁止しています。

 これは、彼ら反社会組織の稼いだ資金の殆どが売春・麻薬販売・暴力行為を伴う脅迫からなっており、犯罪だからです。

 よって、このままでは彼らは莫大な資金を持ちながらそれを使う事ができません。

 それを解決するためにお金を洗濯、つまり反社会組織が稼いだ資金を第三者の企業を介する事で使えるようにする。

 それがマネーロンダリングなのです』


『なるほど。

 具体的な例をだしてもらっていいでしょうか?』


『たとえば、反社会組織が金融機関を通じてお金を扱うとしましょう。

 もちろん取引が禁止されているため、何もしなければ金融機関に預ける事すらできません。

 そのため、反社会組織は組織に関与していない第三者の名義を借りる事で金融機関にお金を預けるのです。

 大体この第三者は、反社会組織から多額の借金をしている債務者とか、反社会組織の違法風俗店で働いている女性とか、反社会組織の脅迫を受けている企業とかで、反社会組織のいいなりになっている人や企業がほとんどです。

 一旦金融機関に預けてしまえば、金融機関の融資という形でそれが経済の中に組み込まれ、利息や配当という形で第三者の所に返ってきます。

 この時点で、これらのお金は『反社会組織が違法行為によって稼いだ資金』ではなく、『金融機関の経済行為によって得た利息や配当』になって、第三者から反社会組織に返されます。

 この際にもそのまま返す事は禁止されているので、反社会組織の息がかった企業に融資するとかその企業からお金を借りているという形にして、反社会組織と表向きは関わらないようにしている訳です』 


『なるほど。

 話を聞くと反社会組織が姿を隠してビジネスをしている感じなのですが、他に特徴的な点はあるのでしょうか?』


『はい。

 マネーロンダリングにおいて重要なのは、資金と反社会組織の名義を切り離すことです。そのためには損が出ても洗浄代金と見なす、つまり利益を度外視できてしまう所が厄介なのです。

 これらの反社会組織が違法行為で稼ぐ資金は年間で数百億ドルと言われています。

 この莫大な資金を全て洗浄するのは不可能で、ある程度の損失については許容すると言われています。

 中でも、赤字事業に投資をするというのはマネーロンダリングの古典的な手法の一つです。

 赤字事業は当然、常に資金を投入しないと破綻します。

 たとえば、ある会社が一億円のものを買って、九千万円で売るとしましょう。

 これだと一千万円の赤字となり、本来ならばビジネスが成り立ちません。

 ですが、会社も、売った相手も反社会組織が絡むと話が変わってきます。

 物の売り買いという経済行為によって、反社会組織が稼いだ資金が隠されてしまう。

 これがマネーロンダリングなのです』


『損が出ても構わないというのは我々にとって中々理解しにくいですね』


『そしてこの話の厄介な所が、寄付もこの構図に当たるという点です。

 欧米には寄付による節税を認めている国が多くあります。

 貧しい人たちや支援する団体に寄付をした場合、その金額の税金が控除されるのです。

 更にその支援団体に寄付をすることで、助けられた人たちが必然的に反社会組織の構成員となったり反社会組織に都合のいい第三者になったりするので、マネーロンダリングがなくならない一因となっています。

 発展途上国においてはマフィアが稼ぐ資金から出た寄付がなくなったら貧困層が窮乏する例すらあるのです。

 また、反社会組織と言っても違法行為だけで資金を稼いでいる訳ではなく、合法的行為でも資金を稼いでいるのですが、合法的行為で資金を稼ぐ場合、必然的に税金を支払います。

 その税金を安くするために、先に上げた赤字事業を費用として計上する事で節税対策としているのです。

 年間数十億ドル、日本円にして数千億円の経済規模ですから、節税対策によって浮く資金は軽く数十億円から下手したら数百億円になりかねません』


『なるほど。

 では、今回の樺太銀行のマネーロンダリング事件について解説してください』


『この事件が特異な点は、第三者を使うのではなく、樺太銀行という表の金融機関が反社会組織と手を組んで、積極的にマネーロンダリングに関与していたことです。

 元々、社会主義経済下の樺太では汚職と縁故が蔓延していた上に、統一後の経済格差から来る樺太経済の地盤沈下によって、樺太銀行の経営は思わしくありませんでした。

 元中央銀行である樺太銀行を一旦国有化し、他の樺太の民間銀行と合併させて市場経済に慣らしてから民営化というのが政府が描いていた計画だったのですが、90年代後半からのバブル崩壊は樺太銀行にも打撃を与えていたのです。

 そこに近寄ってきたのが、ロシアに拠点を持っていたロシアンマフィアです。

 彼らは米国や欧州において違法行為によって稼いだ資金を洗浄する場所を探していました。

 旧東側として縁故があり、同時に日系金融機関としてニューヨークのウォール街やロンドンのシティに支店を持つ樺太銀行は格好の獲物に見えたのでしょう。

 彼らはロシアで集めた資金の名義変更からニューヨークへの送金、合法的事業への投資やその返済という金融機関の業務の全てを用いてマネーロンダリングを行っていました。

 事件は樺太銀行ニューヨーク支店を舞台に、日本、ロシアをまたぐ巨大金融事件に発展し、現在百人を超える逮捕者と自殺者を出していますが、未だ全貌が見えていません』


『本当に全貌が分かるのかなぁ?』


『おや?

 神戸教授は何か気になる事があるのですか?』


『いや、散々ここでも樺太疑獄が取り上げられたけど、樺太絡みは最終的には不逮捕特権で闇に葬られるじゃないですか。

 事実、樺太銀行の経営陣は旧北日本政府高官だった事もあって、キーマンはのきなみ統一後に与えられた華族の不逮捕特権で逮捕から逃れている上に、舞台となったウォール街で関与していたファンドの捜査も行われていますが未だ全体像が見えてこない。

 この問題はマフィアのマネーロンダリング問題が主題ではあるけど、十年前の北日本政府崩壊と樺太併合への歴史的評価が絡んでいる点を忘れてはいけないと思ってね』


『じゃあ、神戸教授はこのまま捜査が終わる可能性もあると思っているのですか?』


『今年夏までは捜査は続けられるでしょう。

 今年の夏は参議院選挙があります。

 しかも、今度の選挙は与党が大敗した98年の改選です。

 このマネーロンダリング事件は、野党側の方がダメージが大きかった事は忘れてはいけません。

 現在の野党の源流の一つに社会主義政党があり、その社会主義政党は冷戦下で北日本政府と繋がっていました。

 事実、去年の衆議院選挙ではこのマネーロンダリング事件は野党の逆風となって襲い掛かりました。

 恋住総理はそれを忘れてはいないと思いますよ。

 あと、今年は米国で大統領選挙が行われる事も忘れてはいけません。

 同時に上院議員の1/3、下院議員全員の改選も行われます。

 米国議会の動向も見ておく必要があるでしょう』


『では、そこまでは捜査は続けられると?』


『私は政府の人間ではないから、断言はできないのだけどね。

 ただ、終わらせる禊としての選挙は都合がいいとだけ言っておきましょう』


『ありがとうございます。

 〇〇さん。

 捜査の展望について教えてください』


『はい。

 日本国内の捜査についてはほぼ終了しており、現場で関与した行員や樺太で活動していたロシアンマフィアはほぼ逮捕し終えています。

 問題は現場に指示した幹部たちで、彼らの多くは叙爵されており捕まえるためには華族の不逮捕特権が邪魔になっています。

 恋住内閣が去年秋の臨時国会において樺太三点セット、つまり樺太特区法と派遣法改正の次に華族の不逮捕特権剥奪を視野に入れた枢密院改革法が入ったのはこういう理由がありましたが、党内抵抗勢力の必死の抵抗によって見送る結果となってしまいました』


『華族の不逮捕特権は以前から問題になっていたのですが、そのたびに改革が見送られているのはどういう理由なのでしょうか?』


『元々この不逮捕特権は、戦争犯罪に対する理不尽な訴追を逃れるために作られました。

 第二次世界大戦終結後、敗戦国ドイツにおいて行われたニュルンベルク裁判は「戦勝国が敗戦国に正当性を押し付けた裁判」であり、これが戦後世界に多くの硬直性を与えました。

 我が国は開戦時枢軸国だった事でこの戦争犯罪に対する訴追を連合国から要請される可能性があり、それを国内法で処理できない形にする事で、訴追を逃れようとしたのです。

 例えば現在行われているイラク戦争も、米国はイラク大統領を独裁者として処罰するという目的を掲げており、その中で首都が陥落してイラク指導部が地下に隠れた結果、米国はイラク大統領支持者の敵意を集めてしまい、イラク中部で泥沼のゲリラ戦に陥っています。

 イラク大統領が捕まらない限り、本当の意味でイラク戦争は終わらないでしょう。

 東西冷戦が東側諸国の崩壊で終結した際、多くの国では革命や内戦が勃発し、旧政府の指導者が逮捕されて社会不安が増大しました。

 それを見ていた我が国は、北日本政府崩壊時に彼ら北日本政府指導層を叙爵する事で「罪は問わないから統治に協力しろ」と実質的な司法取引を持ち掛けたのです。

 事実、それは成功したと言えるでしょう。

 統一後の社会混乱については、他の東側諸国よりはるかにましなレベルに落ち着いています。

 ただ、北日本政府指導者層も働かねば食えない事と、彼らの働く能力と意思が我々より低かった事、旧東側の縁故からロシアンマフィアと繋がりやすかった事が今回の事件を招いたと言えるでしょう』


『〇〇さん。ありがとうございました。

 神戸教授。

 こうやって解説を聞くとこの問題の解決は長引きそうですね』


『ええ。

 近く開かれる通常国会は、先に民事再生法を申請して破綻した帝興エアラインの件で野党が追及するでしょうし、予算審議も絡んで恋住内閣は難しい国会運営を迫られると思います。

 とはいえ、政権内部の抵抗勢力の牙城の一つである参議院は今年選挙が行われる訳で、恋住総理は退くつもりはないでしょう。

 国会運営を厳しくしている原因の大半は勢力が拮抗している参議院の扱いであり、与党参議院は「独立王国」と呼ばれるぐらい自主性が強い所ですが、彼らの多くは2001年に恋住総理によって大勝利を得た事を忘れていません。

 恋住総理は悲願の郵政民営化に向けた党内整備の為にも参議院選挙の勝利が必須であり、このマネーロンダリング問題で野党を叩きながら与党内部を牽制するつもりなのでしょう』


『ありがとうございました。

 CMの後は芸能コーナーです。

 ついに日本でもTV放映され、サメブームを巻き起こした『サムライサメ亡霊VS水着公爵令嬢』ですが、TV放映の視聴率39.7%を記録し一大サメブームが……』

ウォール街の連中

 リーマンの後、捜査が行われたがそのほとんどが司直の手を逃れた。

 映画『インサイド・ジョブ』は実に胸糞が悪くなるドキュメンタリーである。


イラク大統領

 現実では2003年12月に逮捕されている。

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― 新着の感想 ―
桂華院嬢って言われてみれば国内最大級のジュニアアイドルなのか。大きなお友達から小さなお友達までみんなお猿さん。 ………そういや篠崎愛なんてのがいたなあ。懐かしや。
[一言] > そしてこの話の厄介な所が、寄付もこの構図に当たるという点です。 > 欧米には寄付による節税を認めている国が多くあります。 > 貧しい人たちや支援する団体に寄付をした場合、その金額の税金が…
[一言] >『サムライサメ亡霊VS水着公爵令嬢』ですが >TV放映の視聴率39.7%を記録し一大サメブームが 日本の青少年が、十万人単位で性癖歪んじゃう
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