サントリーにアサヒ…「やらかし連発」の飲料メーカー、陰で笑う「あの存在」とは
今秋、ビール業界は「事件のオンパレード」だ。サントリーホールディングス(以下、サントリー)会長を務めていた新浪剛史氏が違法薬物に関する騒動で退任したことに続いて、アサヒグループホールディングス(以下、アサヒ)がランサムウェア攻撃でシステム全停止という大ピンチに見舞われた。年末が来月に近づく中でビール業界はお歳暮商戦という書き入れ時だが、一連の混乱は、業界の勢力図に影響を及ぼすのだろうか。企業アナリストの大関暁夫氏が解説する。 【画像付き記事全文はこちら】
ここにきて「やらかし連発」の飲料業界
この秋、ビール・飲料業界が揺れ動いています。 事の始まりは、今年9月上旬に明るみに出た、サントリーホールディングス会長を務めていた新浪剛史氏のスキャンダル退任の件です。 新浪氏は、自身が個人輸入を人づてに頼んだサプリが、その手配人が逮捕されたことから新浪氏が依頼したものも違法なものではなかったのかとの疑惑が浮かんで、家宅捜索を受けたというのです。モノの存在が特定できず逮捕は免れたものの、事実を知ったサントリーは即刻、役員会で意思決定をはかり、新浪氏から辞任申し出を受ける形で退任に手続きを取りました。 実質的な解任とも言えるこの出来事ですが、極力組織へのダメージを抑えるための措置であったと思われます。サントリーが何より問題視したのは、自社がサプリメントを扱う企業であるということ。その企業のトップが、違法サプリメントの購入手続きを取っていたのではないかという疑惑の目を向けられたわけで、「捜査の結果を待つまでもなく、会長の要職に堪えない」と判断して実質更迭に動いたことは、迅速かつ明快であったと言えそうです。
サントリーが即座に「新浪切り」したワケ
ビールをはじめとした飲料商品は嗜好品であり、有名タレントを使っての派手なCM競争が展開されるなど、多額の宣伝広告費が投じられています。嗜好品の売上が企業イメージや商品イメージに大きく左右されるがゆえの、派手な宣伝広告戦略であるのです。一方で、企業不祥事の発生はそのブランドイメージを著しく損ない、商品の売上をもダウンさせかねない一大事です。 サントリーといえば、長年にわたって就職人気ランキング上位に位置するなど若者層を中心として圧倒的な支持を得て、ブランド力では同業他社を圧倒してきました。日経リサーチが公表している、企業のブランド力を測定・分析する2025年版の「ブランド戦略サーベイ」でも、キリン・アサヒ・サッポロといったほかの飲料メーカーを差し置いて、トップ15入りを果たしています。 また同社は、老舗3メーカーがひしめくビール業界に後発参入し、ブランド力と斬新な商品開発力をもって、2008年にはサッポロビールを抜いてシェア第3位に躍り出る快挙を成し遂げてもいます。 そんなサントリーにとってブランド力の低下は最も避けたい事態であり、たとえ三顧の礼をもって社長に迎え業績を大きく伸展させた新浪氏であっても、瞬時に会長職を解いたのは、ブランドイメージの棄損を最小限に抑えたいとの思いの現れであったと言えるでしょう。