「大丈夫」「何でもない」の裏側を立ち止まって考えて――。いじめの重大化を防ごうと、こども家庭庁と文部科学省は21日、教員ら周囲の大人の対応策をまとめた「留意事項集」を公表した。「児童生徒の話を傾聴する」「言葉以外のサインに注意する」など、児童生徒に寄り添い早期に発見・対応するための15項目を掲げている。
いじめの留意事項集の作成にあたり、こども家庭庁と文部科学省が分析に活用したいじめ重大事態調査報告書は32件にとどまった。
対象の報告書は2023年4月以降に収集したもので、全国の自治体から約400件集まった。第三者委員会による調査がなされ、記載内容の分析が可能と判断されたものに絞り込んだという。
大半の報告書は分析に生かされなかった形だが、こども庁の担当者は「分析に堪える報告書を、作業体制や時間の制約もある中で選んだ」と説明する。
そもそも、事案によって報告書の質には差がある。文科省によると、報告書の作成は第三者の弁護士らが担うケースもあれば、学校や教委が取りまとめる事例もある。児童生徒から聞き取った内容が羅列されていて事実関係の特定が難しく、再発防止策が明示されない報告書もあるという。
文科省の担当者は「いじめに組織的に対応し、当事者が納得できるよう解決することが重要であり、質の高い報告書をまとめることが目的ではない」としている。【斎藤文太郎】
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