まじむりもうやだがっこうやめる   作:ピピス。

10 / 10
気が乗ったので書きました。
まだ読んでくれている人がいることに驚きました。




たまには立ち止まるのも大事なこと

本来なら人通りが多く賑わっている大通りも、先程の事件のせいで誰一人見当たらない。

 

 

『身体が重い...、意識が遠のく...。』

 

さっきの戦闘で多くの怪我をした身体をなんとか引きずって歩く。

 

...遠くで救護騎士団の子達が忙しく救助活動をしているのが見える。

その中に見覚えのある顔がいるのに気づいた。

 

『あの子は...救護騎士団に入っている後輩の子...。』

 

遠くにいたその子は傷だらけの私に気づいたのか、近くにいた団員達と共にこっちに走ってくる。

 

「エミ先輩!その傷はどうしたのですか!?」

 

「不味いです、これは重症です。」

「今すぐ搬送しないと命が危ないかもしれません!」

 

「そちらの方は救護車の要請を!」

「私達は応急処置をします!」

 

よく、きこえない...。

 

もう、だめだ...。

 

少し安心して、気合だけで立っていた体から力が抜けてしまう。

 

 

バタッ......。

 

「先輩!先輩!」

 

後輩の子がこちらに手を伸ばしたのを最後に、私の意識は沈んでいった。

 

 




 

 

『またこの夢かぁ...。』

 

白い砂浜と眼の前に広がる青い海。

 

思い出に残っている中で一番綺麗だった景色。

 

そして。

 

 

振り返れば...。

 

「ありがとうございます、エミさん。」

 

(ナギサ。)

 

「私達のために準備してくれたの!?」

 

(ミカ。)

 

「こうやって四人で出かけるのは久しぶりだね。」

 

(セイア。)

 

また三人がいる。

 

 

私が一番嫌いで、忘れたかった思い出。

 

『はぁ...。』

 

思わずため息が出る。

 

『あとこの夢を何回見ればいいんだろう。』

 

慣れたように、いつの間にか持っている自分の銃を額に押し付ける。

 

『次は空を飛ぶ夢でも見たいな。』

 

そうやって引き金を引く。

 

頭に衝撃が加わったような、何も起こってないような曖昧な感覚のまま眼の前が暗くなって...。

 

 


 

 

 

......まぶたを開けると薄暗い天井が見えた。

 

 

枕元のモニターの電子音と全身に巻かれた包帯からここが病院のベッドの上だと察する。

 

窓の外を見れば雲に覆われた空から雨が降っている。

 

 

「エミ先輩、目が覚めたんですね。」

 

声がした方に体を向けるようと動かすが、包帯が巻かれた頭がズキズキと痛む。

 

『うぐっ.....。』

 

「駄目です先輩!これ以上体を動かそうとしないで下さい!」

 

「全身の骨が折れてたんですよ...、今動けるのが奇跡なんですよ。」

 

『ごめんね..."セリナ"。』

 

「どうしてあなたはいつも自分の体を大事にしないのですか!」

 

『うぅ......何も言えない...。』

 

いつもは温厚な後輩に怒られて少し...、申し訳なくなる。

 

「はぁ...、先生はなんとか無事ですよ。」

 

「もう退院されました。」

 

『はは、私なんかよりも先生のほうがよっぽどタフじゃん。』

 

安心して、少し笑ってしまう。

 

「先輩...?」

 

『いやっ、そういうことじゃなくて...。』

 

『私も誰かしらの助けにはなったのかな、ってさ。』

 

「私はそういうのが駄目だって言ってるんですよ?」

 

「いいですから、先輩はあと数日は寝ていてくださいよ。」

 

『はい....。』

 

「先輩がいなくなると悲しむ人は沢山いるんですからね?」

 

それだけ言い残すとセリナは病室から去って行った。

 

『もう少しだけ、休もうかな。』

 

 

『自分の体を大切にして、かぁ...。』

 

セリナに言われた言葉が心の中で何度も反響する。

 

 

……。

 

やがて考えるのに疲れて、もう一度ベッドに横になり瞼を閉じた。

 

 




続...くわけない。
これもう全部、一話の蛇足みたいなものですから。

あと二話くらいで終わるんじゃ。

どれが良い?選ばれなかったやつはIFで書こうと思ってます。とりま正史を決めたい。

  • 幸せに!なるんだよ!(ハッピーエンド真)
  • 曇らせ?晴らさなきゃ…(ハッピーエンド)
  • 曇らせ?もっとやれ…(バットエンド)
  • お前の所為だ。(どうしようもない終わり)
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